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北海道松前町立 大島小学校の”いま”|まつまえ未来ラボ編集部

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日本最北の城下町である北海道松前町の小学校「松前町立 大島小学校」で行われるリアルな教育の「今」を発信します。
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記事一覧

5月7日 町内全小学校合同で乗り入れ授業「ワークスクール」実施

『再生可能エネルギー、漁業、観光』をテーマにタブレットを使い授業をスタート  松前中学校の教室をお借りして、松城小学校、小島小学校、大島小学校の生徒を対象に、学習アプリ「Workschool」を使った地元松前町の主要産業等を理解するクイズを取り入れながら授業を行いました。  講師は小学校の教員ではなく東急不動産(株)松前事務所所長の関口が担当させていただきスタート。 再生可能エネルギー 児童にはそれぞれ自分専用のタブレット(iPad)が支給されていて、インストール済みの

松前町立大島小学校だより【2月号】

『言葉の力』(前) ―言葉には創造する力がある― 校長 神   龍 治 〈人生とは言葉そのもの〉〈言葉は自分そのもの〉…読み手を挑発するかのようなこの言葉は、中学3年国語教科書に掲載されている、『言葉の力』の一節です。筆者は、かつて『14歳からの哲学』で話題を呼んだ、池田晶子氏です。 『言葉の力』で池田氏はまず、人間が当たり前に言葉を話すことを、「本当に不思議なことだ」と断言します。なぜなら、 からです。言葉には、人間を超えた何かがあるのです。  次に池田氏は、新約聖書

松前町立大島小学校だより【1月号】

「花咲か爺」~存在する意味 試練の意味~ 校長 神  龍 治 …正直者のばあさが、川上から流れてきた柿を持ち帰ると、柿は臼の中で子犬に変わります。犬はじいさの目をつぶらせて野原に連れて行き、宝物を掘り当てさせます。それを知った隣のじいさは、無理やり犬を借りますが、汚い水を掘り当てたことに腹を立て、くわで犬をなぐり殺してしまいます…。  1月17日の始業式で、「花咲か爺」のお話をしました。長い話でしたが、児童は最後まで耳を傾けることができました。 「花咲か爺」が伝える知恵を

松前町立大島小学校だより【12月号】

「雪わたり」 ー信じ合う喜びー校長 神  龍 治  5年国語教科書『雪わたり』は、宮沢賢治の美しい歌物語です。かつて治癒教育の先生から、「宮沢賢治は、心に見えた情景を、一息に書いてから、読点「、」をつけたのでしょう。ですから、「、」までは、息継ぎをせず一息に読むと、賢治のイメージした絵がより正確に伝わるのです」と教わりました。次にご紹介する冒頭分には、「、」が一つしかありません。雪と空を描写する長い分ですが、息継ぎは一回だけでお読みください。  …こおった野原が一枚の板の

松前町立大島小学校だより【11月号】

大地の人 大河の人 -人間の四つの気質(後)-校長 神  龍 治  憂鬱質(ゆううつしつ)の人は、悩みや迷いを、しばしば心に抱えます。「先生に言わなきゃいけないかな。」「でも、嫌われたら、どうしよう。」イエスかノーか、決められません。「どうしたいの?」「はっきりして。」等、せきたてられると、相手を恐れて、本心と逆の判断をしてしまったりします。決めた後でも、「やっぱり逆の方がよかったかな。」と引きずり続けます。  憂鬱質には、細身で長身の人が多く、前かがみの傾向があります。青

松前町立大島小学校だより【10月号】

風の人 炎の人 ~人間の4つの気質(前)~校長 神  龍 治  30年ほど前、私が的場中学校で担任したF君は、「多血質」が強い生徒でした。暑くなってきたある日、授業が始まると、F君は私に、「上着を脱いでいいですか?」と、申し出ました。許可を受けた彼がブレザーを脱ぐと、〈ま、まずい!〉ワイシャツの下に着ている体育用の的場中Tシャツのロゴマークが、左胸ではなく、背中に浮き出ているではありませんか!  隠してやる間もなく、目ざとい女子が、後ろ前になっている彼のTシャツを指さしてし

松前町立大島小学校だより【9月号】

プロフェッショナル校長 神  龍 治  6年国語で、「地域の防災」について話し合う学習を行ったときのことです。インターネットで検索したサイトの資料を基に、児童が作成した「松前町の過去の災害年表」を見て、私は違和感を覚えました。 「…1097年は、まだ平安時代だ。発動機船なんて、あるはずがない。いい加減なサイトではないか?」  校長室に備え付けていただいている「松前町史」に、1097年や1053年の記事は出てきません。インターネットの検索でも、手掛かりが得られません。 困っ

松前町立大島小学校だより【8月号】

「一寸法師」 ~調和を得て生きる~校長 神 龍 治 21日の始業式では、「一寸法師」のお話をしました。低学年の児童を意識して語りましたが、どの学年も4分間、しっかりと耳を傾けることができました。 今回のお話では、仲の良い夫婦が出てきます。二人は、【ようやく子どもを授かったのだが、いつまでたっても成長しなかったので、一寸法師を追い出す】ことにします。小さい姿にとらわれた夫婦は、一寸法師の良さに気づかなかったのです。これに対し、立派な家では、【一寸法師は小さいが、

松前町立大島小学校だより【7月号】

米づくり 人づくり校長 神 龍 治 5年生が「最強の米作り会社グランプリ」を開きました。社会の時間、5年生は笹森教諭監修のもと、「最強の米を作ろう」をテーマに、米作りの魅力や苦労を学んできました。米農家では、販売量の減少や後継者不足などの問題が深刻だと知り、6名は、課題解決のため、「最強の米づくり会社を起ち上げる」企画書をそれぞれ作りました。そして、3・4・6年生と教職員を招き、プレゼンテーションを行い、「ウチの会社に入りませんか」と、社員を募集しました。以下は、それぞ

松前町立大島小学校だより【6月号】

「考える」校長 神  龍 治  木曜日の2時間目、低学年が算数を学んでいました。2年生は、計算の練習問題を、2人でさくさくと進め、解き終えると、「〇番の答えは〇〇です。」「いいです。」と、交互に読み上げ、答えを確かめていきます。どの答えもぴたりと合います。〈3けたの数の計算問題〉や、〈不等式の問題〉もできています。進め方も解き方も、よく身に付いています。習熟した学びぶりに、感心しました。 1年生は、「長さをくらべるには、どうしたらよいか」という課題への取組の2回目で

松前町立大島小学校だより【5月号】

自ら学ぶ力校長 神  龍 治   四月も末の水曜日、中学年教室では、3年生と4年生のそれぞれが、社会の課題に集中していました。  4年生の課題は、「福岡県のどこで、工業がさかんなのだろう」です。担任が3年生を指導する間、2人は互いの答えをホワイトボードで確認します。  そんなことを考えていると、土田教諭が3年生側から戻り、金額まで調べたことをほめ、4年生と学び始めます。  福岡県には大きな港が4つあることを、2人は見つけます。そして海に面していると工業に有利な理由として、

松前町立大島小学校だより【4月号】

あの坂をのぼれば 校長 神  龍 治  6年国語教科書の冒頭を飾る物語、『あの坂をのぼれば』(杉みき子作)は、平易で美しい文章です。 __________________________________  ―あの坂をのぼれば、海が見える。 少年は、今、どうしても海を見たいのだった。細かくいえばきりもないが、やりたくてやれないことの数々の重荷が背に積もり積もった時、少年は、磁石が北をさすように、まっすぐに海を思ったのである。自分の足で、海を見てこよう。山一つこえたら、本当に海