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『逃げ恥』から読める「オクテな彼の行動スイッチ」が押される瞬間・2つの法則〔第6話より〕


『逃げ恥』から読める「うまくいく男女の法則」第2弾は〔第6話編〕をお届けします。
 おそらく『逃げ恥』ウォッチャーにとって、第6話ほど謎めいた回はなかったでしょう。

 何しろ、この回の津崎平匡(ひらまさ・星野源)の行動は、一見すると矛盾のカタマリのように感じられます。
 まず彼は、契約妻で従業員である森山みくり(新垣結衣)と出かけた、表向きは「新婚旅行」、実質は「社員旅行」の宿泊先で、「もしかして、男女の関係を求められるかも?」と期待したみくりを完全放置。なんとアイマスク+耳栓という完全武装でもって、同室なのに独り寝をまっとうしてのけます。
 しかし「もっと近づきたい」という思いがまったくの自分の独り相撲だったと落ち込むみくりを、さらに裏切ってきたのが、ラストシーンでのあまりに唐突な平匡からのファースト・キス。

 第1の法則:決めたゴールの達成感でハイになる男

「いったいこの男は、何を考えているんだ?!」というはてなマークの嵐が次回まで引き継がれるわけですが、実はこの平匡の行動は、男性に特有のいくつかの心理を考えると「ごく自然な流れ」だったとも読めるのです。
 確かに、宿泊先での平匡の行動は、みくりに「私のことなんて従業員としか思ってないんだ」と思わせるに十分だったでしょう。しかし、平匡の立場からすれば、自ら名づけた「プロの独身」という称号にふさわしく、世間の「肉食獣のような男」とは違って「女性への肉欲などに惑わされない、平穏な自分」を貫くことに意味があったのです。

 男性に特徴的な心理傾向の一つとして、決められた目的を達成しようとする欲求が強いことが挙げられます。それというのも、何事かをうまくやり遂げた達成感によって脳内で湧き出てくる報酬(ごほうび)の快感ホルモン・ドーパミンが、女性よりも男性の方が出る量が多いからかもしれません。
 その典型的な例として思い出されるのが、2004年のアテネ五輪の平泳ぎ種目で金メダルを獲得した北島康介選手が、勝利インタビューで放った「チョー気持ちイイ!」というひと言。その年の流行語大賞にまでなりましたが、これぞまさに、目的達成を快感に導くドーパミンのなせるわざ。この強烈な快感が、多くの男性にとって生き甲斐となりやすいのです。

 そんなわけで、自分で決めた目的を「やりきった」翌朝の平匡は、快い自己肯定感に満たされた「ナチュラル・ハイ」の状態にあったわけです。(次の第7話で平匡が「自分は調子に乗っていた」と深く反省していたのは、これが原因ですね。)
 この点、自己価値が落ちて気分最低なみくりと、そんな女心にはまったく思い至らずに気分上々の平匡との対比は、男女の違いが象徴的に描かれていて、切なくもコミカルでした。

逃げ恥電車席

第2の法則:女が無欲になった時、男は行動に転じる

 では、この状況が、どうして衝撃のラストにつながったのか見ていきましょう。
 人間はどんな性別の人でも、「女性性」と「男性性」の両方の要素を持っています。
 「男性性」とは、陰か陽かで分けると「陽」に当たり、自分からグイグイ行動していく、能動的な性質。それに対して「女性性」は「陰」に当たり、自分から動かずじっと待っている受け身な性質と言えます。特に恋愛関係では、この陰と陽、「受け」と「能動」がタイミングよくかみ合うとコトが進みやすいのです。

 これまでの二人の関係では、どちらかと言うと、みくりが能動側に立って、平匡を導いてきた感がありました。そのためにみくりは、やや男性的な「陽」の力を発揮してきたのですが、元々決して男性的なキャラではないみくりにとって、ここに来て自分の行動に「空回り感」を覚えて「もう疲れた」となったわけです。

 この時、みくりの心の声
──もう、何もしない── こそが、起動ボタンとなったのです。
 その瞬間、みくりが完全な「受け」である「陰」に徹したことで、平匡の秘められた「陽」の行動力が、自然に発揮されたんですね。その結果が、好きな女性に触れたい衝動のままのキス、となったというわけ。みくりの「無欲」が、結果的に平匡の男性性を引き出した、鮮やかな化学反応だったと言えるでしょう。

《「男の行動スイッチ」を自然に引き出す2つの法則》

1)彼のこだわり目的の行動は、自分が後回しになっても落ち込まず、温かく見守ること。

2)自分の希望や気持ちは正直に伝えた後、もうひと押しの行動は相手に任せてみること。

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