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支援者の知恵袋

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支援者の皆さんから聞いたアイデアや工夫をここで共有します。もちろん私自身のアイデアも。
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#つくるのはたのしい

「好き」を支える〜エピソード1〜

「好き」を支える〜エピソード1〜

 久しぶりの投稿です。支援の現場でも、ご本人の好きなことが、やりとりや学習を組立てる上で足がかりになることが多くあります。
 今回は京王線が大好きな高等部生徒さんの「好き」を支えながらツースイッチ操作の向上を目指す工夫です。将来的には文字盤の列や文字の「選択」と「決定」を可能にして、自由に文章を綴れるところまで支えて行きたいです。
 ご本人の主な困難さは見えにくさと運動のコントロールです。
 教材

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「見るシステム」〜手元を写すカメラ台の作成〜

「見るシステム」〜手元を写すカメラ台の作成〜

久しぶりの投稿になります。今回は、運動や感覚の使い方の困難さにより通常の環境では手元を見ることができない方のための支援機器「見るシステム」の紹介です。私の大先輩、最近noteも始めた奥山さんからの教わったアイデアです。その有用性について詳しくは以下をご覧ください。

■視機能支援部他(2019)リーフレット「見ることの支援の基礎」日本特殊教育学会第􏰅􏰆回大会 自主シンポジウム 「特別支援学校に

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「選ぶ」を支える エピソード2〜「色を選ぶ」支援〜

「選ぶ」を支える エピソード2〜「色を選ぶ」支援〜

美術の時間。「言葉でやりとりが(今は)できない全盲の方の色選びってどうしたらいいんだろう?」とある同僚が呟いていました。そこで、以前、研修会で聞いた「りんごの赤色」など身近な実物と関連づけて提示するアイデアを話しました。

アイデアがあってもそれを実際に形するためにはハードルがありますが、その同僚はすぐに下の写真のような色の手がかり半実物カードを作ってしまいました。ほんと素晴らしい。

さらにその

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たかがトレイされどトレイ〜始点と終点をわかりやすく伝える名脇役〜

たかがトレイされどトレイ〜始点と終点をわかりやすく伝える名脇役〜

子どもとの学び合いに教材は欠かせませんが、トレイたちも始点や終点をわかりやすく伝えるという重要な役割を果たします。

「そのトレイどこで買ったの?」ときかれることも多いので、ここにまとめておきます。参考にして頂けたら幸いです。

最初に紹介するのはこちら

名称:キッチン整理 黒 S
購入場所:セリア
寸法:約179×131×45Hmm

目と手の協応課題の定番「円柱差し」や「石けり入れ」の部品を

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スイッチ接続の方法のまとめ「ディスコライトを題材にして」〜第三回 乾電池の場合〜

スイッチ接続の方法のまとめ「ディスコライトを題材にして」〜第三回 乾電池の場合〜

前回に引き続き、乾電池、USB給電、AC電源(コンセント)の3種類の電源に対応した優れものディスコライトを題材にスイッチ接続の方法をまとめていきます。

最終回の今回は 乾電池編。

乾電池を電源とする場合のスイッチ接続には一般に「BDアダプターを使う」「本体を改造してスイッチ接続用のジャックをつける」「MaBeeeを使う」の3つの方法があります。
以下一つ一つ解説していきます。

■BDアダプタ

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スイッチ接続の方法のまとめ「ディスコライトを題材にして」〜第二回 AC電源(コンセント) の場合〜

スイッチ接続の方法のまとめ「ディスコライトを題材にして」〜第二回 AC電源(コンセント) の場合〜

前回に引き続き、乾電池、USB給電、AC電源(コンセント)の3種類の電源に対応した優れものディスコライトを題材にスイッチ接続の方法をまとめていきます。

2回目の今回は、AC電源(コンセント)の場合です。このディスコライトには、電源アダプターがついていませんので、家にあった12V対応のアダプターを使いました。12Vということで、実はもともと車のシガーライターソケットから電源が取れるように作られてい

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スイッチ接続の方法のまとめ「ディスコライトを題材にして」〜第一回 USB 給電の場合〜

スイッチ接続の方法のまとめ「ディスコライトを題材にして」〜第一回 USB 給電の場合〜

クリスマスシーズンは光ものの季節。コロナ禍で少ないとはいえ街でも家でもピカピカしていますね。
支援の現場では季節を問わず1年間通して視認知性がよくキレイで子どもたちがよく見てくれる光物は大活躍です。
今回はよく使われるディスコライトを題材にスイッチ使いの子どもたちのために市販のグッズのスイッチ接続の方法を考えます。クリスマスでも子どもたちが光物をつける役目ができたら楽しいですね。

今回題材とする

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「選ぶ」を支える  エピソード1〜「歌を選ぶ」支援〜

「選ぶ」を支える エピソード1〜「歌を選ぶ」支援〜

 障がいの重い方々の自己選択・自己決定の重要性について頭では理解していても実際どのように支えるかについては多くの課題があります。学校生活の中では、子どもたちが自分で選ばなければならない場面が多くありますが、どの場面でも子どもたちの選択を丁寧に支援できているかと問われると自信を持って「はい」とは言えない現実があります。支援しなければならないことが山ほどあるのに手が付けられず日常が忙しく流れていく。そ

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「因果関係の理解」を越えて

「因果関係の理解」を越えて

 障がいが重い方とのかかわりを記録する場合、例えばスイッチを押すと音がなることがわかるというような「因果関係の理解」の記述から何年間も脱することが出来ないことがあります。実際、制約が大きい方との学習では、すでに紹介しているスイッチ教材(例えばこちら)やiPadなどを使用することも多くその活動の目的が「因果関係の理解」集約されることがよくあります。私もなんとかこの状況から脱したいと日頃からアンテナを

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「切る」を支える

「切る」を支える

「紙を切る」ことは、図工や美術などでの作品作りに限らずあらゆる生活場面で必要なことですが運動の困難さがある方が自分でできるように支援するのは意外と難しいことです。

「紙を切る」ことで最初に思い浮かぶのは、ハサミやカッターの使用です。ハサミに関しては押すだけで切れる

のようなユニバーサルデザインのハサミや

のような電動バサミをスイッチを接続できるように改造する方法です。

しかし、肢体不自由の

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iPad・iphoneのタッチ調整<繰り返しを無視>

iPad・iphoneのタッチ調整<繰り返しを無視>

すでに多くの支援者にとって既知の内容かもしれませんが、今回は、iPad、iphoneの「タッチ調整」により「繰り返しを無視」、つまり複数回タッチしても1回のタッチとみなす設定をメモしておきます。どのような場面で必要かというと例えば、下のような「プレゼンテーションタイプ」を「リンク」のみにして、四角で囲った2つのボタンを選択してタッチするようなkeynoteの学習プレゼンに取り組む場面。子どものタッ

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