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【旅行記】中東の風に吹かれにオマーンに行ってみた(その2)

日本人になじみの薄い中東・アラブ世界の中でも特にどマイナーな国、オマーンに行ってみた旅の記録です。アラブ世界を象徴する砂漠はもちろん、意外と豊かな水資源にも注目です。

■砂漠ツアーに行ってみよう

アラビア半島はクウェートやカタールなど小国が多いですが、オマーンの総面積は31万平方キロメートルと、日本(38万平方キロメートル)より少し狭いくらいです。
その広さに加え、山脈で沿岸部と内陸部が隔てられているため地域によって気候や暮らしも大いに異なり、国全体で見た時の文化・自然といった観光資源の多様性が生まれています。
オマーン滞在2日目に訪れたのは、同国の多様な自然を代表する景観の一つ、ワヒバ砂漠。面積は約16,000平方キロメートル、東京ドームに換算すると34万個分くらい(よりわかりにくい…?)。砂漠行きには現地のツアー会社を利用した。1人で車を1日借り切って75ドルくらいでした。

■ 枯れ川を眺める

朝7時にドライバーがホテルに迎えに来てくれ、ピカピカの4WD車で首都マスカットから、車で3時間ほど南東に位置するワヒバ砂漠へ向かいます。
ガイドを兼ねたドライバーのおじさんは観光シーズン(9月~翌3月)しかツアーガイドの仕事をしないそうで、それ以外のシーズンは漁などの日雇い仕事で生計を立てているらしい。オマーンの暑さのピークは4月から10月で、その時期になると気温40度超えもザラらしいため、オマーンを訪れる観光客が相当少なくなるそうです。
途中でドライバーが路肩に車を止めて降りろという。道路から眺めてみると大きな枯れ川(ワディ。雨季だけ出現する川)でした。その時は水もなく、代わりにナツメヤシ園となっていましたが、冬に雨が降ると一気に水が戻るらしい。

枯れ川。手前にナツメヤシ園、奥が水があるときの流路

■ いざ、砂漠へ

10時頃、砂漠の最寄りの町に到着。ここで車は小さな自動車整備工場に入っていきます。タイヤの空気を抜いて、空気圧をある程度弱くしておかないと、そのままでは砂に嵌って立ち往生してしまうらしい。周囲には私の乗ってきたのと同じようなツアー会社のロゴの入った4WDが何台も止まっており、欧米人らしき観光客がタイヤの処理を待っていました。

自動車工のおじさん

十分にタイヤの空気圧を抜き、砂漠へ突入。「砂」漠と言いつつ、世界的に見れば砂ばかりの砂漠は少なく、多くは岩石交じりですが、ワヒバ砂漠はイメージ通りの一面のサラサラした砂が広がっています。車の轍が残りある程度ルートはあるものの、不安定な砂の上で車は左右上下に大きく揺れる。事前にドライバーが「シートベルト締めろ」と何度も言っていた理由がよくわかった。アトラクション気分で大揺れする車を楽しめます。車酔いする人にとっては地獄ですが・・・
途中で撮影タイムとして何ヵ所か停車。車を降りると沿岸部と同様強烈な日差しに襲われますが、ここでは妙に当然のように感じられるのが不思議な感覚でした。ドライバーに「砂漠は初めてか」と聞かれたので、5年前のヨルダン旅行以来2回目だと答えると、「ここはヨルダンよりいいだろう」とよくわからないポイントで妙に胸を張る。オマーン人はかつての海洋覇権国家(昔はアフリカにも領土を持っていた)のプライドを強く持っていると言われていますが、その一端でしょうか。

一面の砂に囲まれている

砂漠で同じように写真を撮っていた旅行者の男性に話しかけると、ノルウェー人でした。妻と子供たちから離れて1週間で中東を4ヵ国旅する予定とのことでした。「1週間で4ヵ国はタイトなんじゃないの?」と聞くと、「入念に準備をすればOK」との回答。常に無計画な旅行をして時間を浪費している自分としてはたいへん耳が痛かったですが、逆に普段無駄にしないようにしている時間を無駄にする機会として旅があるのだと自分に言い聞かせることで、事なきを得ました(現実逃避しているだけとも言う)。

■ 変わる砂漠の生活

その後ベドウィン(砂漠の遊牧民)の住む家に招かれ、デーツ(ナツメヤシの実)と不思議な風味のアラビックコーヒーのもてなしにあずかりました。砂漠の民といっても、政府に生活を保証され、住居も無料、納税義務もないのだそうです。
それっぽくラクダを飼っているものの、運搬手段は彼らの保有する4WD車に取って代わられており、専ら観光客と一緒に写真を撮ったり、彼らを背中に乗せたりする用になっていました。家も大変綺麗に(おそらくは見せる用に)設えられており、屋内では女性が(手作りかどうかもわからない)雑貨類を売っていました。砂漠の暮らしも相当に変わっているようです。

ラクダが飼われている

■ オマーンの水資源を堪能する

その後再び砂漠を走破し、再び砂漠入口の整備工場でタイヤの空気圧を戻したあと、車は1時間ぶりに舗装された道路へ。
当初はオマーン東部沿岸の港町スールの「ダウ」と呼ばれる木製船の作られている現場を見に行く予定だったのですが、造船所が午後は空いていないとのことで、ドライバーの勧めで沿岸部をドライブすることに。アラビア湾沿いに対岸にイランやインドを望むルートの景観が大変素晴らしかったです。

海岸沿いの長いストレート

沿岸部のドライブでまず立ち寄ったのは「ワディ・シャーブ」。ワディには水がないところも多いのですが、ここは年中澄んだエメラルドグリーンの水が残り、岸辺にテントを張ってキャンプをする地元住民や観光客も多いといいます。砂漠から一転して、豊かな水景を堪能できる面白い場所でした。

キャンプ地としても有名なワディ・シャーブ

続いて「バマ」というところにあるシンクホール(地下にできた陥没坑)に立ち寄りました。自然公園のような形で道路やベンチが整備されている敷地内を奥に向かって歩いていくと、やがて底に透明度の高い水を湛えた巨大な縦穴が見えてきます。水の中で泳ぐこともでき、何人か水着姿の観光客がいました。

バマのシンクホール

■ やせい の ○○ が あらわれた

私は水着を持ってきていなかったので、手足を水につけてみると軽くツンツンと突かれるような感触がありました。よく見ると手足に小魚が大量に寄ってきており、どうやら皮膚を啄んでいるらしい。
これは以前日本でも流行ったアレかと思い調べてみると、予想通り、オマーンにはドクターフィッシュの野生種が生息しているらしいです。通常の水域では巨大な人など警戒の対象でしかないのですが、ここのように外界から閉鎖され栄養に乏しい環境では、ドクターフィッシュのように人の古くなった皮膚や角質を絶好の餌として食べるようになるそうです。折角なのでしばらく角質を食べてもらい(美容効果のほどは不明)、ついでに岸辺で甲羅干しをした後、マスカットに戻りました。

ドクターフィッシュ


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