【旅行記】アセアンの国全部行く(前編)
先日プロジェクト明けに3日間の休暇をゲットしたので、東南アジアのブルネイという国に行きました。
ブルネイは楽しい国でしたが、今回ブルネイに行くことそのものが、自分にとって大きな意味のあることでした。
すなわち、
アセアン10ヵ国に全部行ったということ。
アセアン(Association of South‐East Asian Nations, ASEAN:東南アジア諸国連合)
東南アジア10か国から成る国家連合。1967年の「バンコク宣言」によって設立された。
原加盟国はタイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5か国。1980年代以降ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオスが加盟した。
アセアンは高い経済成長を見せており、今後世界の「開かれた成長センター」となる潜在力が注目されている。
2017年に設立50周年を迎えた。
出所:日本国外務省ウェブサイト
以下、初めて訪れた順にどんなところだったか、簡単にまとめていきます。
(入国スタンプを押された日を訪れた時とし、乗継等は考慮に入れない)
東南アジアを旅したい方の参考に少しでもなれば幸いです。
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■ 評価ポイント・方法
評価のポイントは以下の6項目。
・アクセス・・・行きやすさ
・観光地・・・観光資源の質、豊富さ
・食事・・・ローカル食の味、レパートリー
・治安・・・犯罪危険度
・物価・・・現地でそこそこの質の滞在をしたいときの物価
★総合おススメ度(★1から10まで)
※あくまでも筆者の経験の範囲内での主観的評価であり、この情報を参考としたことで被ったあらゆる損害について筆者は責任を負いません※
① ベトナム(2015年3月):記念すべき初ASEAN
・アクセス・・・ホーチミン、ハノイ、ダナンに直行便あり
・観光地・・・主要都市ごとに色が異なっていて飽きない
・食事・・・日本人の口に合いやすい
・治安・・・良好。ホーチミンは夜でも一人歩きできる
・物価・・・安めだけど最近は経済成長に伴って上がり気味
★総合おススメ度(★1から10まで)・・・★★★★★★★★★☆
【思い出話】
ひとりきりのASEANスタンプラリーはベトナムから始まった。ベトナムに行った理由は単純で、父が当時ホーチミンに駐在しており、私が就職前の春休みで暇を持て余していたからだ。
父の計らいもあって、ハノイを除いて主だった観光地を巡ることができた。最大の商業都市ホーチミン、日本とのかかわりも深いホイアン、ビーチリゾートとして名高いダナン、かつての王朝跡を残すフエなど、ベトナムは様々な顔を見せる。
訪れた以外にも世界遺産のハロン湾、フーコック島などのアイランドリゾート、北部丘陵地帯のサパなど、見どころには枚挙に暇がない。
ベトナム料理は日本でも人気が高いが、地方によって味付けが異なったり、
主要都市には地ビールがあったりと、食文化も多様だ。
一方、ベトナムは地勢的に戦乱の歴史を色濃く持つ国でもある。伝統的には中国に度重なる侵略を受けてそれを退けてきた。そして何といってもベトナム戦争を避けてこの国について考えることは難しい。
枯葉剤の被害を今に伝える写真や、戦争の終結を象徴する戦車などが博物館に展示されている。日本に対して対米援助を名指しで非難するビラも残されている。
それでも変に米国や当時の西側諸国との関係を拗らせることなく、東南アジアでも随一の高成長を遂げているベトナムの姿に、静かな誇りを垣間見た。
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旅行に何を求めるかは人によって様々だ。
ある人はショッピングを楽しみたいと思うし、別の人は世界遺産を訪れたいと思う。
現地のグルメを味わいたい人、ビーチでのんびりバカンスをしたい人もいる。
日常の疲れを癒やすことを求める人もいれば、現地の歴史を知り、深く入り込みたい人もいる。
旅に危険がつきものだと割り切る冒険野郎もいるし、リスクを極力避けたい、賢い人もいる。
ベトナムは観光資源とエキゾチックさと過ごしやすさを非常に高いレベルで備えており、どんな人のニーズにもこたえられる懐の深い国だと思う。
ビアホイと呼ばれる飲み屋で
ベトナム戦争批判ビラ
ホイアンの日本橋
ダナンのビーチ
ホーチミン(ホーおじさん)の肖像
② カンボジア(2015年3月):夜明けのアンコールワットを見ずに死ねるか
・アクセス・・・プノンペンに直行便あり
・観光地・・・アンコール遺跡のあるシェムリアップ一強
・食事・・・シェムリアップは妙にアメリカナイズされていて微妙
・治安・・・深夜の一人歩きは避けるべき。衛生面も気を付けよう
・物価・・・安い。シングルベッドの安宿で5ドル/泊くらい
★総合おススメ度(★1から10まで)・・・★★★★★★★☆☆☆
【思い出話】
2ヵ国目のカンボジアはベトナムと同じ旅行で訪れた。ホーチミンから直行便で1時間、カンボジアのシェムリアップに到着。
飛行機を降りて、そのまま空港を歩いて到着ロビーまで移動したとき、そして空港カウンターで流れ作業的にアライバルビザを取得したときの、「ああ、自分は途上国に来たのだな」という感覚は今でも忘れられない。
シェムリアップはアンコールワットの最寄り空港だ。予め宿を通じて手配したトゥクトゥクでアンコールワットの遺跡を廻ってもらうことにした。
この旅までの自分はパッケージツアーか人に手配してもらう形でしか海外に行ったことがなかったので、自分で宿を手配するとか交通手段を確保するとか、そういったことも初めてだった。
夜にシェムリアップに到着したが、ナイトマーケットを巡るでもなく就寝。
翌朝4時ごろ叩き起こされて向かったアンコールワットの夜明けは、世界中から人が集まるだけの価値は間違いなくある光景だった。
旅をしていると、ごく稀に「自分はこのためにわざわざここまで来たのだ」とわかる(わかる、という言い方はおかしいが、直観的なものだ)風景に出会うことがある。旅に出る理由は、きっとそんな風景を探すためなのだ。
アンコールワットの夜明け、厳密には日が差し始める前の、まだ月が沈み切っておらず、空気に朝の気配が漂い始める時ごろの光景もその一つだ。
夜明け前のアンコールワット
バンテアイ・スレイ寺院のデヴァター像
アンコール・トム
ナイトマーケット
軍事博物館
③ マレーシア(2015年3月):滞在3時間の近代国家
※筆者はマレーシアに3時間しか滞在経験がないため、項目評価は差し控えたい※
【思い出話】
マレーシアには、カンボジアから香港に向かう際の乗り継ぎで訪れた。乗継時間は3時間と少し。普通なら、市外に出るのは諦めて空港でお土産を買ったりコーヒーを飲んだりして過ごすところだ。
しかし当時の私は世間知らずな学生であり、初めて訪れる国を訪れるだけですますのはいかにも無粋だと信じていた(そういうリスクテイクは世渡りの上ではたいがい不要だ)。ギリギリの乗継時間をやりくりしてなんとか観光してやろうと考えたのだ。
というわけで、空港からクアラルンプールの市街地まで出ている特急列車(KLIA Exspres)で市内の中心部にアクセスし、スーツケースを預けもせずに転がして国立博物館を見学。そのままとんぼ返りで空港に戻って何食わぬ顔で乗継便に乗った。
市内はすでに近代国家の様相を呈しており、今どうなっているのかとても気になる。
空港で無駄にデカいスイーツを頼んだ
市内と空港を結ぶ特急チケット
博物館
④ タイ(2015年9月):濃い出会いの多い国
・アクセス・・・バンコクに直行便あり
・観光地・・・遺跡あり、繁華街あり、リゾートあり
・食事・・・高級レストランは素晴らしい。屋台のメシは激辛
・治安・・・悪くない。深夜の一人歩きは避けるべき
・物価・・・そこそこ
★総合おススメ度(★1から10まで)・・・★★★★★★☆☆☆☆
【思い出話】
社会人になって初めての夏季休暇は、タイとラオスに行った。
当時は東南アジア関連の仕事をしていたので、同僚からは「いずれ出張で行く国なのになんでわざわざ」と突っ込まれたものだが、結果的にこの2か国に出張で行くことはなかった。
バンコクは異国感と都市化のバランスがちょうどよい。屋台の食べ物がどれも容赦なく辛いのには閉口した(ちょっと泣いた)
渡航直前に市内のエラワン・プーン廟がテロの標的になったのを知り好奇心から訪れてみたのだが、多くの人たちが訪れており、現地の人々の信仰心の篤さに感心したものだ。
泊まったドミトリー形式の宿ではドイツ、アルゼンチン、韓国など各国の旅行者と酒を飲んだり一緒に市場に繰り出したりして仲良く遊んだ。バンコクはバックパッカーの聖地と名高いカオサン通りを擁するだけあって、旅行者はみなフレンドリーで非日常に飢えているような感じがあった。
広大な仏教遺跡アユタヤでは同じく一人旅のドイツ人(マレーシア駐在)とトゥクトゥクを借りて一緒に回った。不思議なものだが最後まで名前を聞くこともなく、連絡先も交換しなかったのでもう出会うことはないだろう。一期一会を体現したような出会いだった。
ちなみにバンコク滞在後ラオスのルアンパバーンに移動する予定で
チケットを取っていたのだが、チェックイン期限をミスって乗れなかった。タイ国際航空、時間に厳しい。
バンコク市内のスカイトレイン
週末に立つチャトゥチャック・マーケット
アユタヤ
エラワン・プーン祠
屋台メシ
⑤ ラオス(2015年9月):もののけ姫の世界観
・アクセス・・・直行便なし。タイや中国経由が多く出ている
・観光地・・・豊かな自然と仏教寺院
・食事・・・タイとベトナムのいいとこ取りで美味しい
・治安・・・そんなに悪くない
・物価・・・輸入品は高いが全然許容可能
★総合おススメ度(★1から10まで)・・・★★★★★★★★★☆
【思い出話】
ASEAN10ヵ国スタンプラリー(仮)の折り返し地点となったのはラオス。最近は村上春樹の紀行文「ラオスにいったい何があるというんですか?」で
一躍注目の的になった国だ。東南アジアで唯一の内陸国にして小国。日本の6割ほどの面積の国土に650万人(千葉県と同程度)が暮らす。
ラオス地勢図
ルアンパバーン行の飛行機を乗り過ごしたためカウンターで急きょチケットを手配し、バンコクから飛行機で1時間半、首都ビエンチャンに着く。適当な安宿で一泊してから、ルアンパバーンに向かった。
ラオスの国内移動は人生初のプロペラ機だった。いよいよ当時の自分にとっては未知の場所に足を踏み入れるのだな、と今となっては気恥ずかしい感慨を抱いたのを覚えている。
フランス植民地時代の面影を随所に残すルアンパバーンは、町全体が世界遺産に登録されつつ、普通に人々が暮らしている稀有な場所だ。
毎晩メインストリートで開かれる夜市で得体のしれないものを食べながら
味も色も薄いローカルビールを飲む。それだけで旅は楽しいと、実感したのもこの地が初めてだった。
またルアンパバーンから、タイ北部に住む日本人の知り合いに会うためバスで国境を越えた。
碌に舗装もされていない道をグラグラと揺れながら進むバスの車窓から眺めた風景は、ジブリ映画「もののけ姫」の冒頭、アシタカが故郷を離れタタラ場に向かう時の美しい山々の景色とそっくりだった。
それ以来私はラオスはどんな国か聞かれたら、「実写版もののけ姫」と答えることにしている。のんびりとするためだけにでも、行く価値のある国だ。
緑豊かな山々
ルアンパバーンの空港
ルアンパバーン市内を一望する
ナイトマーケット
麺料理が美味
前半はここまで。お読みくださりありがとうございました!
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