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【旅行記】中東の風に吹かれにオマーンに行ってみた(その1)

日本人になじみの薄い中東・アラブ世界の中でも特にどマイナーな国、オマーンに行ってみた旅の記録です(2017年にSNSに載せた内容をマイナーチェンジして再掲)。

■0日目:旅に出るまで

さて、「オマーン」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。

ふつうは首都のマスカット、サッカーファンの方は日本代表とオマーン代表の親善試合、世界遺産に詳しい方は同国のアラビアオリックスの保護区が登録抹消されたことをご記憶かもしれません。小学生男子であれば国際空港でしょうか(ド下ネタですみません。オマーンの名誉のために付言すると、同国の名前を冠した国際空港は存在しません)。
オマーンはアラビア半島の最東端に位置する国で、西にアラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビア、南側にイエメンと接しています。2014年にテレビで「日本人の99%が行かない国」として秘境扱いで特集されたこともあるらしく、なんだかんだニュースになりがちな他のアラブ諸国よりも知名度は格段に低いと言えるでしょう。


オマーン地勢図

そんなマイナー国に行こうと思った理由は主に2つ。1つはイスラム圏に久しぶりに行ってみたくなったこと。今年はウズベキスタンやパキスタンに行きたかったのですが、ウズベクは事前にビザが必要(補:2019年時点で、観光ビザは不要です。同国の旅行記はまた別の機会に)、かつ休みの取れる10月になると気温が下がり過ぎ旅行に適さないこと、パキスタンは首都含め全域の治安が良好でないことから却下されました。
もう1つは、たまたま手に入れた中東の雑誌でオマーン駐在の商社マンの紀行文を読んだことでした。曰く、著名なスーク(市場)、海あり砂漠ありの風光明媚な自然、良い保存状態で残されている歴史の遺構(同国には世界遺産が4ヵ所)など観光スポットに恵まれているとのこと。興味を持って調べてみるとビザはアライバルで取得可、治安も全域で良好、10月辺りから観光シーズンとのことで、今回の旅行先に選定されました。

■心配性のブラジル人

当然、と言っては失礼かもしれませんが2017年10月時点で日本とオマーン間に直行便は存在せず、スタンダードなルートはカタール航空でドーハ乗継、安い路線だとインド国営航空なども利用可能です。
民間利用される国際空港は北部の首都マスカットと、現スルタンの出身地で南部の中心都市でもあるサラーラにあり、ドバイからサラーラへ乗り継いで入国するパターンもあるそうです。私はドーハ経由を選択しましたが、土曜日の22時半ごろ成田発→ドーハまで12時間。ドーハ便で隣の女性と少し話しました。どう見ても外国人だったので英語で話しかけたところ、「英語はわかりません」と流暢な日本語で返されて驚いて聞いてみると、ブラジルの方でした。日本に20年住んでおり今回は旦那さんやお子さん達を残して12年ぶりの里帰りとのこと。飛行機も久しぶりらしく、スクリーンの操作方法やトレーの出し方などを教え、お礼?にポルトガル語を教えてもらったりのど飴をもらったりしました。
そんなこんなで乗継先のドーハに着いたのは現地時間で朝4時半ごろ。ドバイに並ぶアラビア半島のハブ空港のドーハはとにかく広いので、不安そうなブラジル人と乗継ゲートを一緒に確認してゲート近くまで送っていく。余程みすぼらしい見た目をしていたからか「あなたは大丈夫?」「心配だわ」としきりに心配されました。乗継までの2時間弱は空港内を散歩して朝早くからやっている免税店を覗いたり、デカい熊のオブジェ類の写真を撮ったりして過ごしました。


空港のシンボル、巨大クマ(ドーハ)

ドーハからマスカットまでは1時間半、現地時間の日曜10時ごろにマスカットに到着。この国は観光でもビザが必要ですが、空港内のカウンターで外貨をオマーン通貨(リエル・オマーニ:RO、1RO≒300円)に両替し、ビザ代を引いた分をROで返してくれます。両替レシートをイミグレーションカウンターで見せるとアライバルビザを押してもらえます。
荷物をピックアップして1週間有効のSIMカードを購入し、ホテルへ向かうべく外に出ました。
※ちなみに、オマーンは2017年時点でLINEが通じないので、日本との連絡手段には注意が必要です(ときどき受信だけできることもありました)。

■ 白い街に出てみよう

瞬間、視界がホワイトアウト。日本と勢いが段違いの強烈な日差しで一瞬めまいが起こるほどでした。現地気温は約35℃で日本の真夏と同程度ながら雲一つない快晴と、白を基調とした伝統的な石造りの建物からの太陽光反射が激烈。
さらにマスカットはアラビア湾に面した港湾都市のため、湿度も高く蒸し暑いのが特徴(要は日本の真夏の上位互換…!)。現地人も昼間の暑い時間帯にはほとんど出歩かず、店の開店時間も早朝や夕方以降がメインです。

マスカット国際空港

ホテルまで12RO(≒3,600円)のタクシーを交渉で8RO(≒2,400円)まで値切ってホテルへ。空港から市内へ向かう道路は綺麗に整備されており、道沿いに君主カーブース・ビン・サイードの名前を冠した壮麗なモスクが見られます。一般公開もされているのですが、行く機会がありませんでした。
マスカット市内中心部へは渋滞がなければ車で約20分。渋滞がなければという条件付きですが、実際に渋滞に巻き込まれたことはほとんどなく、車の数も少なければ運転マナーも良好!後日聞いたところ、インドやパキスタン系の運転手が多いドバイやアブダビと違ってオマーンでは自分で運転する人が多いためとのこと。インド人には失礼ですが、少し納得。道もよく整備されているので、国際免許を持っていればレンタカーで回るのもいいかもしれません。


最初に泊まったホテルは市内でも中心エリアのルイ(Ruwi)とマトラ(Muttrah)の間にあるマトラホテル。1970年営業開始のマスカットで最も古いホテルの1つで、ウェス・アンダーソン監督の映画「グランド・ブダペスト・ホテル」のような歴史ある重厚な雰囲気。さすがに長旅の疲れもあり、しかも暑い時間帯に差し掛かっていたので部屋で一眠り。

落ち着いた雰囲気のホテル

■ 匂いのない街、マスカットを歩く

起床後、フロントで市内の地図をもらい、午後3時ごろ沿岸のマトラへ徒歩で移動。今まで行ったことのあるアジアや中東の町と比べて圧倒的に人が少ないのはもちろん、街独特の匂いがないことに気付きました。街はよく整備されているものの、左右には切り立った崖が間近に迫り、かつての城砦が残されています。

かつての砦(フォート)跡

15分ほど歩いてマトラ名物のスーク(市場)に到着。広さはそれほどでもないものの、入り組んだ路地が迷路のようになっているので地図の読めない人はお気をつけて。主に民族衣装(帽子、羽織、スカート)や特産品の乳香・香油、金銀製品を売る店が並びますが、観光客への声掛けもそれほどしつこくなく、地元の人の利用も多いよう。
何度か道に迷いつつスークを突っ切った反対側は沿岸部の主要道(コルネーシュ)に面しており、オマーン湾を見渡せるようになっています。

湾側のスーク入口

欧米人の邸宅として使われた建物を改装した博物館を見学し、5時半ごろ近くのパキスタン系レストランで早めの夕食。産油国のオマーンには出稼ぎのインド、パキスタン、フィリピン系住民が多く、そうした人たち向け?の食堂は安くて美味しいのでよく利用していました。この日はラムのカレー。「パンいるか?」「飯は足りているか?」と学生街の食堂みたいに世話を焼いてくれるオッサンのカレーは絶品でした。

ラムカレー

6時ごろ外に出ると日没を迎えたところで、気温も下がり過ごしやすくなっています。夕暮れの沿岸道路のベンチには主に現地の人が集まって憩いの場所に。モスクで礼拝を促すアザーンが響き、イスラム圏に来たと実感しました。

オマーン湾夕景

まずはここまで。読んでくださりありがとうございました!

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