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初期段階のイチゴの植物工場で陥りやすい技術課題

初期段階のイチゴの植物工場システム開発で陥りやすい技術課題を少し話したいと思います。

現役のイチゴ農家が参加していない開発
現役でイチゴを生産し、それを一般消費者に販売して生計を立てているイチゴ農家が参加していない場合、栽培に関する本当のノウハウをシステムに活かすことができず、品質面で大きな不安を抱えることになります。
この「美味しいイチゴを安定的、かつ収量を確保する」という技術はアナログ的なノウハウの塊のようなもので、一番長けているのは、現役のイチゴ農家ということになります。
大学の農学部や農業系企業の研究者にはできないか、現役のイチゴ農家には全くかなわない部分です。
一般的に工業系の人や会社経営陣は農業を甘くみており、簡単に考える印象があります。

イチゴの特性を理解していない基本システム
イチゴは光の量に大きく左右される作物の一つです。一見、イチゴが収穫できているような状態を初期段階で見せれることはある程度できるのですが、その後、なり疲れという現象が起き、2ヶ月ほど実をつけなくなります。
とちおとめや紅ほっぺなどはその傾向が顕著で、システム全体の見直しをしない限り、同様な現象が繰り返されます。

ピートモスなどの土壌を使用による病気の発生
ピートモスや土を使った培地を使用すると先ずは害虫の発生が永遠に続きます。イチゴにとって育ちやすい良い環境は、害虫にとっても住心地のよい環境となり、農薬などを使って駆除することは不可能です。そもそも農薬は使用回数などが厳密に決まっているので、植物工場の利点の一つである長期間の栽培ではその使用回数もすぐに上限に達し、打つ手がなくなります。

小規模で2~3ヶ月間という期間を見れば、ある程度の設備でイチゴの実をつけることは比較的容易にできるのですが、これを1年以上の複数年、安定的に栽培を行おうと思うと根本からシステムを構築することが必須となり、そこにはイチゴの生理学上の特徴やLED等の工業系の知識、その他諸々を上手く噛み合わせることが大切になります。

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