念願の、待望の、「ん」から。

コピーライター歴30年以上!とはいっても。まったくコピーが浮かばないときがある。アイデアのカケラさえ見つからないときが。

そんなとき必要なのは(私の場合だが...)、「遊び心」と「縛り心(こんな言葉ある?)」だ。たとえば、とりあえず五十音順に、「あ」から始まるコピー、「い」から、「う」から...と考えていけば、なんとか50ほどコピーが書ける。じゃあ今回は、英語のキャッチフレーズで!と考えてみるのも悪くない(私の場合だが...)。

そんな“縛り遊び”(ヤバい趣味というか、ヘキに聞こえるか!?)をやっていると、しょうもない野望みたいなものが、フツフツとわいてくる。もう20年ほど前になるが、受け点「、」から始まるキャッチフレーズって無いよなぁ?と思い。いつか!!!と、チャンスをうかがっていた。しばらくすると、ある空気清浄機の担当になった。

今もそうだが空気清浄機といえば白か黒と相場が決まっていた。しかし、それは表面部分が7色(カラフル!)から選べて、しかも、その表面部分は取り替え可能という代物。つまり、気分によって色が替えられる。よーく考えると、そんなもんいるか?必要か?ってものだけど。でも一番の売り、というか、売りらしい売りは、そこだけだった。(機能的には他社と大差なし)

取り替え可能...7色...カラフルかぁ...なんやかんや考えていて、これって曜日ごとにいろんな色を着回す、いろんな色に着替えるシャツみたいや!と、デザイナーに伝えたところ、確かにこの表面、カットソーに見えないこともないわ!となった。ってな訳で、7体のトルソーに7色のカットソーと、着替えられる7色の空気清浄機が並べられた、カラフルな中吊りポスターと新聞広告が完成した。キャッチフレーズは...「、みたいな。」だった。当時、「○○みたいな」という言い回しが流行って
いたこともあり、宣伝担当者も面白がってくれ、すぐ採用!となった。ま、しかし、でも、だけど。商品は、それほど(あんまり!)売れなかった。

さて、そんな縛り遊びの一つ「五十音コピー」だが、「ん」から始まるコピーは、なかなか採用されることはなかった。(そりゃ、ムリヤリ感もあるしね)しかし、でも、だけど。この度、やっと採用!日の目を見ることとなった!!もし大阪にお勤めやお住まいの方でバスを利用されるなら、一番前の右側(運転士さんのすぐ後ろ)に貼ってある路線図をご覧ください。その上部に広告スペースがあります。この12月から掲載予定で、3タイプあるコピーのうち一つが「ん」から始まっています。

さて、次は。う〜ん、どんなコピーを書こうか。

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