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顧客理解に執念を燃やせ! アマゾン成功の14原則を学ぶ

おはようございます。ドドルあおけんです。

このnoteでは、月〜金日替りテーマでIT系のビジネストレンドなどをできるだけ噛み砕いてご紹介しています。

経営戦略・事業開発の火曜日。今日は、年間で30兆円以上の売上を叩き出し、一代で時価総額158兆円という規模の事業にアマゾンを育てたジェフ・ベゾスの成長原則について書かれた「ベゾス・レター」から、アマゾン成功の秘訣をざくっと理解できる回となっています。

この本自体はベゾスが書いた本ではなくて、アマゾンウォッチャーが書いたものなので、補足として本人がその成長のポイントなどを語る動画からの情報も盛り込んでみたいと思います。

ジェフ・ベゾスCEO プロフィール・経歴

ジェフリー・プレストン・ベゾス(Jeffrey Preston Bezos、1964年1月12日 - )は、アメリカ合衆国の実業家、投資家、フィランソロピスト。Amazon.com の共同創設者でありCEO、取締役会長、社長
世界最大の資産家であり、フォーブスの長者番付によると2020年時点で1663億ドル(18兆円!)の資産を有する。2013年に米有力新聞ワシントン・ポストを買収しオーナーとなった。
経歴:
1986年にプリンストン大学を卒業したベゾスはインテル、ベル研究所、アーサー・アンダーセンなどからオファーを受けた。
彼が最初に就職したのは金融決済システムを手がけるスタートアップ企業Fitelで、貿易情報のネットワーク構築に従事した。ベゾスは、その後開発部門と顧客サービスの責任者に昇進している。
その後に大手金融サービス会社バンカース・トラストでプロダクト・マネージャーとなり、銀行業界に籍を移して1988年から1990年まで働いた。
その後1990年から1994年まで新興のヘッジファンドであるD.E.ショーで仕事をし、30歳のときには同社で4人目のシニア・バイス・プレジデントとなった。 
1993年の後半に、ベゾスはオンライン書店を始めることを決める。彼はD.E.ショーを退職して、ニューヨークからシアトルへの移動中に事業計画を書き上げ、自宅のガレージでAmazonを起業した。1994年7月のことだった。
また、2000年9月、ベゾスは有人宇宙飛行事業を目的とする民間企業であるブルーオリジンを設立している。

30歳にしてヘッジファンドのエグゼクティブになっていたベゾスさん。そのままいけば安泰だったのに、すべてを捨てて、ガレージで起業。この決断、なかなかできるもんじゃありません。

それでは燃える起業家魂を持つベゾスCEOの成功原則ひとつずつ見ていきたいと思います。ちなみに日本語は、日本版がいまいちしっくり来ない訳もあり僕が勝手にアレンジしているので正しいニュアンスは原文の英語を見てください。

成功原則1:次につながる失敗を促す (Encourage “Successful Failure” )

アマゾンにはA/Bテスト文化があるといいます。ある施策をするとしないで顧客がどのような動きをするのか、それによって売上にどんな変化があるか、常に実験を繰り返しています。そして良いものは取り入れ悪いものはすぐ捨てる、このサイクルをどれくらい高速に、そして大量に回せるか、というところが成長のドライバーになっているということですね。

そういう意味では失敗という言葉よりも実験、という言葉のほうが本質をついていると思います。

成功原則2:大きなアイデアに賭ける (Bet on Big Ideas) 

元々の構想からベゾスCEOはあらゆるものをネットで検索して買えるようにするという大きなビジョンを持っていました。

そのアイデアを実現するために最も効率の良い方法を逆算していった時にロングテールが聞きやすく、在庫していても商品の劣化が遅い「本」を売るということころからはじめていくわけですが、大事なのは大きなアイデア、行きたい場所が先にあって、ということろです。

彼がネット本屋で儲けるぞ!からスタートしていたら今のアマゾンはないわけです。品揃えを拡張するだけでなく、電子書籍の端末を作ったり、スマートスピーカーに積極的にチャレンジしたり、常に理想の社会というものを思い描きなら事業を構想しています。

今、ベゾスCEOの構想は地球を飛び越えて宇宙に向かっています。Wikiには、有人飛行の事業とありますが、彼のやりたいのは宇宙でたくさんの起業家たちが思い思いに事業を始めるためのインフラづくりです。

_15__アマゾンCEOジェフ・ベゾスが語る、ビジネスを成功に導くマインド___GQ_JAPAN_-_YouTube

彼がネット通販事業をはじめた時に、インターネットや物流網は既に先人ががんばって作ってくれていた。彼はその自分では作れないインフラを上手に活用して事業を作った、という認識があって、それと同じことを後進の起業家たちに提供したい、という思いがあるんです。ロマンチックな人です。

成功原則3:ダイナミックな発明や革新を仕掛ける(Practice Dynamic Invention and Innovation)

スマートスピーカーのアマゾン・エコーはアメリカではスマートスピーカーのシェアで7割をおさえているという調査があります。

アマゾンのスマートスピーカーは音声認識、認識した音声の解析、文脈特定、そこから応えるべき質問・ニーズを特定し、必要なアウトプットを特定し、音声に変換するといった一連の作業をクラウド上のAIでやっています。

そういう意味でスマートなのはあのスピーカーではなくて、インターネットの先にあるアマゾンのクラウドで動いているAIなわけです。そして、実際に便利なカタチに仕上げるまでにこの分野で長年研究を続けてきたという背景があります。

そこに未来を見てリスクをとって少なくない金額を投資し続けてきたからこそ7割のシェアをとれているということですね。

_15__アマゾンCEOジェフ・ベゾスが語る、ビジネスを成功に導くマインド___GQ_JAPAN_-_YouTube

_15__アマゾンCEOジェフ・ベゾスが語る、ビジネスを成功に導くマインド___GQ_JAPAN_-_YouTube

このAI、機械学習/マシーンラーニングのテクノロジーはあらゆる分野に応用が効くものなので、今後この研ぎ澄ましたAIを使ってアマゾンがどんなサービスを展開していくのか注目です。

成功原則4:顧客理解に執念を燃やす(Obsess Over Customers)

日本語の本では顧客にこだわる、という表現でしたが僕の感覚でいうとObsessというのはもっと偏執的というかストーカー的というか、もう毎日そのことしか考えない、みたいな言葉なイメージがありますし、実際それくらい顧客に集中しているのがアマゾンといえると思います。

インタビューでも事業の中核はあくまでも顧客であって、他社との競争ではない、と語るとともに、顧客の要求は”常に”尽きることがない、と言い切っていることから、競合のこと見ているヒマがあったら、変化し続けるお客さんを知り続ける努力をし、その要求に誠実に答え続けるのだ、というベゾスCEOのポリシーが感じられます。

_15__アマゾンCEOジェフ・ベゾスが語る、ビジネスを成功に導くマインド___GQ_JAPAN_-_YouTube

_15__アマゾンCEOジェフ・ベゾスが語る、ビジネスを成功に導くマインド___GQ_JAPAN_-_YouTube

_15__アマゾンCEOジェフ・ベゾスが語る、ビジネスを成功に導くマインド___GQ_JAPAN_-_YouTube

成功原則5:長期視点で見る(Apply Long-Term Thinking)

結構な文字数になりそうなので、この辺はあっさりと。原則2の大きなアイデアにかけるというのと近いですね。大きなアイデアを実現するには時間がかかります。ただ、利益を出す構造自体はきちんと作っている前提でその利益を長期でみた大きなアイデアに再投資する、というのが彼のスタイルと思います。

成功原則6:成長のメカニズムを理解する( Understand Your Flywheel Growth Cycle)

英語ではFlywheelとありますが、これは車のエンジンの中の部品でエンジンの動力を平均化して安定させる働きがあるそうです。

なんのたとえ話かというと企業は様々な活動を通じて永続的な利益を生み出そうとするわけですが、その仕組みをエンジンに例えて、どの部分とどの部分の力をどう掛け合わせることで前に進む力を最大化することができるのか、そのメカニズムをきちんとわかって経営しようということです。

下の図はベゾス自身が書いたと言われている成長の戦略ストーリーで、以前別の記事で説明していますので、興味がある方はそっちの記事のほうもチェックしてもらえればと思います。

ストーリーとしての競争戦略を学ぶ(前編) アマゾン、マブチモーター、ガリバーの3モデル|あおけん___Doddle_Japan_CEO|note

どうやって一つ一つの打ち手が有機的に成長に結びついていくのか、そしてそのやっていることの中で最も大事な成長のドライバーは何か、というのをきちんと考え抜いてやることが大事なんですね。

成功原則7:秒で決断する( Generate High-Velocity Decisions)

訳は少し誇張しました。資本の少ないスタートアップが大企業と戦のであれば、最も有利なのは意思決定のスピードです。大企業はどうしたって階層構造があるからひとつひとつの意思決定が遅くなりがちです。

でも、アマゾンは大きくても速い。それは、ベゾスCEOがインタビューで「機敏でたくましくあることが企業を守る方法だよ」というように、成長する上で非常に大事なポイントと考えているからです。

_15__アマゾンCEOジェフ・ベゾスが語る、ビジネスを成功に導くマインド___GQ_JAPAN_-_YouTube

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成功原則8:シンプルにする(Make Complexity Simple)

これはKPIの話なんかが当てはまると思うのですが、学校で勉強ができたタイプの人が企業の経営企画なんかで仕事をしていくとKPIもいろいろな指標を何個も設定してそれぞれを追っかけようとする。なぜなら、パイロットがたくさんの計器を見ながらその能力を駆使して操縦している姿、そのほうがカッコいいというのがあります。もし、ボタン1個押したら目的地につくのではカッコよくないですよね。あんなん俺でもできるがな、という人がたくさん出てきます。

でも、本来KPIというのは本当に大事な指標を一個決めてそれをひたすら細かく追っかけるというのが正しい使い方のようですが、学校で勉強ができたタイプの人はさんざんデータを分析しまくって、KPI一個にします!というのは、こいつバカなんじゃないか、と思われるかもしれない、というので中々一個にできない、という話を以前KPIの設定の仕方を書いた記事の時に書きました。

このシンプルにしていく作業というのが、とても大事なのですが、その際に気をつけなければいけないのが、みんなからバカと思われるんじゃないか、という「バカの壁」。笑 気をつけましょう。

成功原則9:テクノロジーで効率を加速させる(Accelerate Time with Technology)

アマゾンでいうと物流センターにロボットを導入して、ピックアップのスピードを上げるといったことがこの原則にあたると思います。
以前、ハイテク物流会社としてのアマゾンについて記事を書いたので、その時のものを一部抜粋しておきます。

合理主義者でありITカンパニーであるアマゾンさんは、どうやったら最も早く、最も安くできるかいつも考えていて、そのためにロジスティックのソフトウェアを開発しています。
ある商品がアマゾン物流ネットワークのどこにあり、いつ、いくつ在庫するのがいいのか、顧客が複数注文した場合どう組み合わせて梱包すればいいかなど物流の課題に対して最も効率がいい数学的なアルゴリズムを開発しています。 
このアルゴリズムによって、顧客の住所、注文の商品を在庫している物流センターの位置、発送時刻などを解析し、すべての変数を考慮した上で最も早く、最も安い方法を算出するのです。
直接物流には関係ありませんが、アマゾンで売られている商品の値付けについても、「自動値付けボット」と言われるシステムを開発し、ライバルが売っている値段を常時モニターしながら、自動的に最安値で提供できる仕組みを構築している点を見ても、完璧なソフトウェア主導の効率化を志向していることがわかります。

(アマゾン VS アリババ 物流センターロボット)

成功原則10: 従業員に経営者視点を求める(Promote Ownership Growth Cycle)

指示→実行の軍隊型の組織では、顧客に固執した経営をすることはできません。顧客が何を求めているか、限られたリソースでそれに最大限応えるにはどうしたらいいのか、社員一人ひとりが経営者視点を持って仕事にあたることで組織は強く、速くなり、結果勝てる組織になります。

成功原則11:カルチャーを作り、守る( Maintain Your Culture)

アマゾンにはこれまた「14のリーダシップ・プリンシパル」というのがあります。詳細はアマゾンジャパンの経営層として働いた経験がある方が解説しているこちらの記事を見ていただきたいのですが、このプリンシパル/原則がアマゾンのカルチャーそのものだと思います。

この方は安易に日本語訳すると意味が変わってくるということで英語のまま載せていますので、ここでは英語のままその原則だけ載せておきます。詳細気になる方はその記事を読んでください。

1 Customer Obsession
2 Ownership
3 Invent and Simplify
4 Are Right, A Lot
5 Learn and Be Curious
6 Hire and Develop The Best
7 Insist on the Highest Standards
8 Think Big
9 Bias for Action
10 Frugality
11 Earn Trust
12 Dive Deep
13 Have Backbone; Disagree and Commit
14 Deliver Results

いくつかは今回の原則とかぶっていますね。

成功原則12: 高みを目指す(Focus on High Standards)

妥協せずに高みを目指す姿勢は、上のリーダーシップの7番でも語られています。

30歳にして経済的にも、社会的地位でも成功を収めていたベゾスさんがなぜ自宅のガレージで本をひとつひとつ梱包して配送するようなところからスタートしたかというと、そこに世の中を変えたいという志があったからです。

高い志を持ち、高い目標を掲げ、そのために全力を注ぐまさに起業家魂がこの原則に息づいています。

インタビューではアマゾンプライムの番組作りについて、テレビがスポンサーの意向など色々気にすることが多くてなかなかチャレンジができない中で、アマゾンプライムであれば、番組制作側がリスクをとって大胆なことができる、その結果本当に面白い番組を作ることができる、といっています。

_15__アマゾンCEOジェフ・ベゾスが語る、ビジネスを成功に導くマインド___GQ_JAPAN_-_YouTube_🔊

_15__アマゾンCEOジェフ・ベゾスが語る、ビジネスを成功に導くマインド___GQ_JAPAN_-_YouTube_🔊

僕なんかが大笑いしたドキュメンタルなんかも、結局は”顧客に執着して本当に顧客が喜ぶものを提供する”というこのベゾスの思想の上で実現しているんですね。

成功原則13: 議論ではなく、データによる意思決定をする、但し、正しい目的とプロセスで。そして、最後は直感を信じるべし。(Measure What Matters, Question What’s Measured, and Trust Your Gut)

膨大なA/Bテストを仕組みとして繰り返しているアマゾンは、ひとりの人間の限られた知識と見識だけで議論をし、意思決定をすることを嫌います。

データありき、なのですが、ただデータは、正しい目的を持って正しく活用しない限り宝の持ち腐れとなってしまいます。
ですから、自分がビッグデータを使って分析している視点や手法が本当に意味のあるものなのか、顧客への提供価値向上につながるのかどうか、その点を常に疑い、軌道修正、アップデートをすることを仕組み化しています。

但し、最終的に決断をするのは人間であり、きちんとしたプロセスを経て思考した上で迷っていることがあれば、最後は直感に従い、自分の意思決定を信じよう、としています。そして、仮に期待通りの結果がでなくても、次につながる失敗になるのであれば、間違いはありません。

成功原則14:初心忘れるべからず( Believe It’s Always “Day 1” )

誰にとっても最初にチャレンジを決めた日、はじめた日というのがあります。しかし、時が経ち環境に馴染んで来たり、さまざまな人間関係や課題に直面すると当初の”事を成したい”というモチベーションが徐々に下がってきたりするものです。

毎日が”DAY1”、あらたなチャレンジの始まりであると考え、仕事に取り組む。自分、チームのモチベーション管理も成長のために大事な原則です。

まとめ

ということでボリュームのある回となりましたが、ひとつひとつの原則はとても深く、大事なものですが、すべての人がこの14原則を毎日続けられるほど人間タフではないのも事実です。

ただ、何かにぶつかった時に道しるべとなる原理・原則があるのはとても有り難いことなので、物事が思ったように進まない時や、気持ちが停滞している時などは、この原則を見返してベゾスイズムを注入してもらおうと思います。

ということで、本日のお話は以上です。

日報

昨日の備忘録として。

・人事系調整(扶養、保険証) (am)
・PRプラン調整 w. Eさん (am)
・P マイクロフルフィルメントセンター確認(am)
・UXフローアップデート(pm)

明日は、EC・ロジスティクスの水曜日。生鮮食品のオンライン販売モデルについて書く予定です。

マーケティングの月曜日
経営戦略・事業開発の火曜日
EC・ロジスティクスの水曜日
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の木曜日
グローバル・未来の金曜日
ライフハック・教養の土曜日
エンタメの日曜日

それでは今日もよい一日を。


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