ニュートンと太陽系を例とした簡単な構造主義

ニュートンを例とした簡単な構造主義

・簡単な構造主義の例

 構造主義とは全体を形成する要素と要素の関係からのみ全体を理解する考え方です。この際、要素も関係も全体も明確にします。
 対象をモデル化したり理論化して見ると言ってもいいかもしれません。ポイントはそれ以外の見方を排除することです。要素や関係や全体以外の見方以外では対象を見ません。別の見方をしたければまた別の仕方で対象を形成する要素や関係や全体を規定します。その上でそのモデルを作ったり理論を作ったりします。
 現代哲学としては対象に対して複数の見方をするのが大切です。言い方を変えれば対象に対して色々なモデルや理論を作ったり発見して同時に複数の見方をする、あるいは見方を切り替えるような心持を持つのが大切なります。「大切」というと主観的ですが構造主義を知るだけでなく実践して役に立てようとすればやはり必要になります。

・要素、関係、全体

 上のように構造主義を見ると大切なキーワードは「要素」、「関係」、「全体」となります。全ての要素と要素同士の関係が全体をなしてそれを構造とします。関係は作用とか働きとか影響とかいろいろ言い換えれたりする場合があります。

・必ずしも静的で固定的でない構造
 
 構造というと建築物のような変化や動きのない静的なイメージがありますが、構造を形成する要素が相互に動くような場合も構造主義は扱います。今回は例としてニュートンの古典力学や万有引力の法則という理論を使って太陽系のモデルを作ってみます。

・ニュートンの太陽系

 ニュートンの発明はアップルで有名な万有引力の法則です。また古典力学の3つの法則があります。①慣性の法則、②作用反作用の法則、③f=maの法則です。それに幾何学、解析学、代数学など数学を使うと太陽系の星の動きをシミュレートするモデルができます。
 大雑把に恒星と惑星を見てみます。太陽とその他の惑星です。惑星じゃないのも混じっているかもしれませんがいわゆる水金地火木土天海冥などです。衛星でも彗星でもチリのようなものでも質量があるものがこの太陽系という構造の要素になります。硬さがあり形や体積を持つものとして考えます。これを剛体と言います。すると重心が大切になります獣心自体が固定した座標系に対して運動している場合と、自転のように座標系から見て重心が動いていない運動の場合があります。後者は無視して前者を考えます。
 星は全ての星同士が2体間で万有引力の法則で引き合います。これが要素と要素の関係性です。そうして構成と作成で太陽系が形成されています。星は他の全ての星から距離に関係なく引力で引っ張られます。ですから星が2つしかない場合よりは太陽系の星々の運動というのは細かく見れば実際には複雑です。しかし太陽の質量が大きいので太陽の影響が圧倒的でパッと見ると太陽を中心に他の惑星が同心円運動をしているように見えます。
 仮に星が太陽と地球しかなくても実際は円運動ではなく楕円運動運動です。宇宙では相対的な位置と速度の関係で楕円になったり垂直落下や上昇になったり、もしかしたら放物線運動や双曲線運動になったりします。新円の運動になるケースがあるのかもしれませんがそれはよく分かりません。ただ太陽系の星を単純化したモデルで考えると各星は太陽の周りを楕円運動していると見れます。単純化しないと3つの星の相互作用だけでも難問になったりして3体運動というのは19世紀の数学や物理学のテーマでした。

・要素、関係、全体
 このモデルでは要素は太陽系の星、関係は星の間の万有引力、全体は星々全体からなる太陽系です。どの2つの星も万有引力で関係していて作用して本当はとてつもなく複雑な運動を思想ですが他の星に比べて太陽の質量が大きいのと惑星間の距離が非常に離れているのと万有引力というのがあまり大きな力でないのとその他いろいろあって全体としては太陽を中心に円盤の上を円運動しているように見えます。またやはり同じような理由で太陽以外の惑星同士の関係、力の相互作用は無視してイメージしてしまうのが我々にはわかりやすいです。そしてそのイメージが太陽系の全体です。そして太陽系の構造です。

・構造という言葉は適切か
 また将来別の所で解説しますが「構造」という言葉は静的なニュアンスが強いです。例えば絵建造物です。今現在の言語の文法や数学のある分野は非常に静的かもしれません。ただ要素同士が相互に動て移動したり関係の在り方が変わるような構造もあります。構造と同じニュアンスを別の言葉で表現しようとある意味頑張っているのがドゥルーズやガタリで例えば構造を「機械」という言葉で表現しています。それ以外にもリゾームや粒子など多様な表現を使っています。デリダなども差異という言葉から時間で変化しうる動的な差延という言葉を提案しています。
 構造主義という言葉で理解するのに十分かもしれませんが、やや静的で固定したニュアンスが強く構造主義の持つ多様性や全体像を理解しそこなったり誤解する可能性もある気もするので別の適切な言葉があればそれに変えるのもいいかもしれません。

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