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瑠璃の囀り

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青果店の店員として働く「青沼さん」と、大学生の「私」との交流を描く小説です。
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【小説】瑠璃の囀り 第5話「香水」

【小説】瑠璃の囀り 第5話「香水」

※X(Twitter)の企画に参加し、「香水」というテーマで執筆させていただいたお話です。

 公園を散歩していた私の鼻を、良い香りがくすぐった。辺りを見回すと、いつものタートルネック姿の青沼さんが歩いているのを見つけて駆け寄る。
「青沼さんっ」
 青沼さんはこちらをみて目を丸くした後、にっこりと微笑んだ。
「こんにちは。またお会いできて嬉しいです」
「私も嬉しいです! 青沼さんの匂いがしたので、

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【小説】瑠璃の囀り 第4話「電車」

【小説】瑠璃の囀り 第4話「電車」

 夏休み。隣町に住む祖母に逢いに行くため電車に乗り込むと、青沼さんがクーラーボックスを抱えて座席に座っているのが見えた。
「あ、青沼さん!」
 青沼さんはこちらを見て少し口を開いた後、柔らかい笑みを浮かべた。
「ここでお会いできて嬉しいです。驚きました」
「私もびっくりしました……お隣、よろしいですか?」
「ええ。どうぞ」
 私は青沼さんの隣に座った。電車が動き出す。
「……それ、何が入ってるんで

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【小説】瑠璃の囀り 第3話「散歩」

【小説】瑠璃の囀り 第3話「散歩」

 今日は大学の授業が早く終わったので、再びあの公園へ散歩しに行った。
 昼間は猛暑だが、夕方になると涼しい風が吹いてきて心地良い。ボールを追いかける子供たちを微笑ましく眺めながら、ベンチでひと息つく。
「こんにちは」
 横から声を掛けられ、見るといつの間にか隣に青沼さんが座っていた。
「わ⁉︎」
 思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「驚かせてしまってすみません。またここでお会いできたのが嬉しくて

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【小説】瑠璃の囀り 第2話「再会」

【小説】瑠璃の囀り 第2話「再会」

 大学の授業が終わった後、少し寄り道して商店街に入る。あの人が今日も青果店で働いていた。
「いらっしゃいませ……あ」
 どうやら気付かれたらしい。薄い唇が嬉しそうに微笑む。
「また、お会いしましたね」
 覚えていてくれたのが嬉しいからか、それとも緊張からか。少し体温が上がるのを感じた。
「何か買っていかれますか?」
「……え、あ……じゃあ、せっかくなので」
 商品を見るだけの予定だったが、弾んでい

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【小説】瑠璃の囀り 第1話「邂逅」

【小説】瑠璃の囀り 第1話「邂逅」

 休日。何の気なしに近所の公園を散歩していると、ふわりと爽やかな香りが鼻を掠めた。
(香水?)
 香りの方を見た瞬間、すぐ横を背の高い人が通り過ぎていった。顎のあたりまで伸ばしたボブカットの黒髪から一房、青緑色のメッシュが覗く。切れ長の黒い瞳。すっと通った鼻筋。微かに笑みを浮かべた唇。薄いグレーのタートルネックや黒いズボンにしなやかな身体の線が出ている。性別は分からないが、とにかく美しい。
 思わ

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