マガジンのカバー画像

宮沢賢治 やまなし 本質の解明

13
謎多き「やまなし」の解明に挑みます。「やまなし」の味わい方を一緒に考えていただけたら幸いです。
運営しているクリエイター

#お魚

宮沢賢治 やまなし 本質の解明 ④

宮沢賢治 やまなし 本質の解明 ④

 ここで、私が着目した箇所は、「にわかにぱっと明るくなり、日光の黄金は夢のように水の中に降ってきました。波からくる光の網が、底の白い岩の上で美しくゆらゆらのびたり縮んだりしました。泡や小さなごみからはまっすぐな影の棒が、斜めに水の中に並んで立ちました。」の部分です。初め、谷川は、「上の方や横の方は青く暗く鋼のように見えます。そのなめらかな天井を…」と描かれています。この描写を二つの描写を比較すると

もっとみる
宮沢賢治 やまなし 本質の解明 ③

宮沢賢治 やまなし 本質の解明 ③

4 「お魚」の謎 「五月」において、「クラムボン」「カワセミ」と同じくらいに存在感をもつ「お魚」。これについて宮沢賢治は一体何を表そうとしたのでしょうか。やまなしを読解する際に、比較的さらっと解釈されてしまいがちな「お魚」ですが、ただカワセミに食べられるためだけに登場させるのだとしたら、こんなに何度もその行動に言及することもないでしょう。そこにはきっと、「クラムボン」のような深い事情が隠されている

もっとみる