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【対談シリーズ①】おもいを叶える仕事は一つだけですか?

「今、途轍もなく経営が苦しい」

という言葉は私にとってずっしりと重みを感じました。

はじめまして、ぺると申します。

私が又木さんを知ったきっかけは熊本県の茶師ヒロさんが毎朝配信しているInstagramライブでした。
鹿児島県の又木さんと共同で末吉製茶工房のお茶を紹介していたのです。
ライブ中、又木さんは茶工場の寒い環境にいながら常に穏やかな笑顔を絶やさずに視聴者へ語りかけていました。
又木さんの笑顔を思い出しつつ前回の投稿を一つひとつ噛み締めるように読む。笑顔の奥にはいろいろな葛藤があるのだな、なにかお力添えできないかなと思いました。

対談シリーズは、又木さんが末吉製茶工房を設立するまでの出来事や会社の経営理念を伺っていきます。過去をふたたび思い出し振り返りながら、いま・未来に向けてのヒントを探す旅。
さあ、始まります!



原点は茶畑の風景


ぺる:はじめまして。
と言っても熊本県山鹿市の茶師ヒロさんとコラボした、朝茶Instagramライブでお姿を拝見しているせいか、又木さんと初対面の印象はまるでないなあ。本日はよろしくお願いします。

又木:よろしくお願いします。

ぺる:末吉製茶工房を立ち上げる前までの経歴を拝見しました。
商業高校から一橋大学へ進学。そして、公認会計士。努力家の印象が強く残りました。茶業に携わるまでのお話に興味があるので、ぜひ聞かせてください。

又木:努力家なんて…。まず商業高校を選んだ理由から話しますね。

ぺる:お茶関係だと農業高校っぽいイメージがありますが、商業高校へ進学されたのですね。

又木:祖父母の代から茶業を営んでいて僕は3代目です。
小さい頃から両親が茶畑でお茶づくりをしている姿を見ながら畑のそばで遊んでいました。その生活から漠然と自分もいつかはお茶づくりをするのだろうなあと思い描いていたのです。
高校進学の際は農業高校と商業高校のどちらにしようか迷っていて…。両親から学べる内容が少ない商業高校を選択しました。

よく遊んだ茶畑_1

(幼少期によく遊んでいた茶畑。奥には霧島連山が映えます)


ぺる:ご両親から学べる内容が少ないとは、どういうことでしょうか?

又木:両親の経営がざっくりしているというか、どんぶり勘定だなあ〜と子どもながらに感じ取っていたのです。だから、弱点になり得る経営の面を強化したいなと。
高校在学中、日本商工会議所主催簿記検定1級を取得。それが、一橋大学AO入試の出願要件(当時)に該当しました。

ぺる:高校生で日商簿記検定1級!大人でも難しい検定で合格するとはすごい!



ありがとう、みんなへ恩返しをしたい


又木:AO入試する際はいろいろあって…。
まず、僕は高校卒業後の進路に関して、大学進学にこだわっていませんでした。大学進学と就職どちらでも良いかなと。特に決め手がないまま毎日が過ぎていきました。
大学入試願書の提出締切日に高校の先生から呼び出されて「今日はAO入試の願書を書くまでは部屋から出さん!」と言われました。その日の授業は出席せずに、別室でひたすら願書を書いていました。

ぺる:先生の強いすすめがあったから、大学受験への道が広がったと?

又木:もう一人、キーパーソンがいます。郵便局のおばちゃんです。

ぺる:おばちゃん??

又木:時間があと少ししかない!願書を送付するために郵便局へ急いでいきました。そこで気づいたのです。受験の収入印紙代を持ってきたけれど、郵送の切手代が足りないと!

ぺる:慌てていると、あり得ないような行動をしてしまいますよね…。

又木:願書提出の締切当日だったので、切手代を取りに帰る時間もなく、もう受験ができないと愕然としました。
すると、郵便局のおばちゃんが「私の親戚も一橋大学を受験するの。あなたのことも応援しているから」と仰って切手代を貸してくれました。おかげで無事に願書を郵送できました。
僕って…本当に運が良いというか。高校の先生に、郵便局のおばちゃん。人に恵まれているなと思いました。やさしさを与えてもらうばかりではなく、自分の運が尽きてしまう前に周りへ恩返しをしたい。
この時からより一層強く意識して行動しています。


たくさんの人と関われる仕事は?僕の答えは公認会計士だった


大学時代_サークル活動

(大学時代に所属した音楽サークルにて。OB・OGとの交流ライヴ)


ぺる:大学在学中は、どのような生活を送っていたのでしょうか?

又木:授業とサークル活動でとても充実していましたよ。
音楽系のサークルに所属していて、ギターやベース、打楽器を経験しました。
転機は3年生の時。同じゼミ生が公認会計士試験に合格したのです。同年代が難関試験に合格したのは、自分自身の将来を考える上で良い刺激になりました。また、ゼミの先輩が既に公認会計士として活躍していて、仕事の話をよく聞かせてくれました。20代そこそこであっても、資格があれば様々な企業の経営者さまと知りあえる。会計の面で対等な話し合いができる。これってとても面白そうだなと思いました。高校生の時から簿記を勉強していたので、会計に苦手意識がなかった点も大きいです。
大学卒業後の就職について、一度は会社勤めをすると両親と話し合っていたことを思い出しながら公認会計士として活躍してみよう!と思い、試験に挑戦する決意をしました。

ぺる:大学の勉強と資格の勉強。想像するだけで両立が大変そうです。

又木:公認会計士試験を受験すると決めて、合格するまで約3年かかりました。しかし、合格して以降も大変だったのです。



又木さんの『人に恵まれている』『恩返しをしたい』という言葉には、人とひととのつながりや人とお茶とのつながりを大切にする姿勢を感じました。
共感する部分も多く、思わず話に引き込まれてしまう。あっという間の対談2時間はとても楽しかった。
さて、念願の公認会計士試験に合格した又木さん。その後に一体、何があったのでしょうか?

次回につづく。

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