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【美術展2024#50】五感で味わう日本の美術@三井記念美術館

会期:2024年7月2日(火)〜 9月1日(日)

日本の古美術や、日本で受容された東洋の古美術に親しんでいただくことを目的に、夏休みに合わせて企画している「美術の遊びとこころ」シリーズの第8弾。本展では、人間が持つ五感を活用しながら、絵画や工芸品を鑑賞していただきます。
作品に表現された花の香りや動物の鳴き声を想像したり、描かれた人物の気持ちに思いを寄せたり、あるいは美しい水辺の景色に涼を感じたり。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの感覚を研ぎ澄ませて、作品の声に耳を傾けてみてください。きっと新しい発見や驚きがあなたを待っているはずです!

三井記念美術館


自館コレクションの引き出しから作品をピックアップしテーマを設けて展覧会を構成する。
コレクション展こそ学芸員の腕の見せ所。
今回は「味を想像してみる」「温度を感じてみる」「香りを嗅いでみる」「触った感触を想像してみる」「音を聴いてみる」「気持ちを想像してみる」等のテーマを設けて作品群を見せる。
感覚に重きを置いて作品を愛でるというのは作品と対峙するための良いアプローチかもしれない。


「味を想像してみる」カテゴリーでの出品だが質感が金属そのままなのであまり美味しそうではない。
だがそれとは別にこの時代の工芸作品は本当にすごい。
脈々と続いてきた日本の工芸技術の集大成というような名作揃いだ。

日本美術は工芸も絵画も彫刻も、写実化する技術もさることながら、省略や強調する技術がとにかく秀逸。
徹底的な写実を目指した西洋美術との大きな違いのひとつだろう。


円山応挙が絵を描いた皿。
このような分業というか協働というかそんな作品結構あるけれど、「一点もの」とか「限定コラボ」とかの単語に弱い私。
皿だからかこちらも「味を想像してみる」カテゴリーでの展示だが、私には鶴の広げた羽がはばたく「音」が聞こえてきた。



こちらは円山応挙の屏風。
カテゴリーは「温度を感じてみる」。
なんだかなんとでも言えそうだな。
作品自体はもちろん素晴らしい。

《山水図屏風》 円山応挙



国宝茶室「如庵」の再現。
国宝指定されている茶室は三つあり、そのうちの一つだ。
その広さ(狭さ)はわずか3.5畳。
だけどなんだか我が家の8畳の和室よりも広く感じるな。



占い師が持ってそうな水晶玉。
台座も豪華。
カテゴリーは「触った感触を想像してみる」
これは触ってみたい。



またしても高瀬好山の自在置物。
カテゴリーは「音を聴いてみる」
なんか無理やりブチ込んだ感が否めない。
もちろん作品そのものは素晴らしい。



めっちゃぶった斬られている。痛そう。
カテゴリーは「音を聴いてみる」
なんの音?ぷしゅ〜〜〜〜と血が吹き出る音か?
聴覚よりも触覚の方が合っているような気もする。



次の作品はすごいぞ。

キャプションによると、

お坊さんたちが「おなら」を矢のように操り、戦っています。おならを描く、迷いがなく鋭い直線からは「プーッ!」という高い音が聞こえてきそうです。よく見るとおならで鳥帽子が吹き飛ばされた人もいます。
この時代、鳥帽子が落ちて頭が見えてしまうのはとても恥ずかしいことでした。おならと落冠という、二大・恥ずかしいハプニングの組み合わせに、当時の人々も思わず笑みを浮かべたことでしょう。

キャプションより

「ばかだねえ、じつにばかだねえ」とドラえもんのぼやきが頭をよぎる。

「音を聴いてみる」じゃないのよ。



これも「音を聴いてみる」でいいのか?
風が肌に当たる触覚感も結構強いが。



全体的になんだか無理やりカテゴリー分けしている感が否めなく、途中から分類はどうでも良くなってきたが、なんだかんだ名画名品が多かったので、展覧会自体は楽しめた。
財閥コレクションは三井も三菱も素晴らしい。



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