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【美術館の名作椅子#02】東京国立近代美術館

東京国立近代美術館

設計:谷口 吉郎
開館:1952年




・Cab 413 Chair

《cab 413》

デザイナー:マリオ・ベリーニ
発表:1977年
メーカー:Cassina
価格:¥418,000(2024年5月現在)

アームなしの412とともにMoMAにも収蔵されている名作椅子。
東近美では別の展示室にも大量に採用されている。
この場所には圧巻の15連。計6,270,000円!

Cab 413と共に置かれたスツール。
アアルトの名作《スツール60》かと思いきやコピー品だった。
ここはオリジナルにこだわってほしい。



・AIR FRAME 3001 Bench

《AIR FRAME》 ベンチ

デザイナー:デヴィッド・チッパーフィールド
発表:1992年
メーカー:ixc.
価格:¥300,000前後(張地により変動)(2024年5月現在)

シンプルで主張せずに場に馴染むので、多くの美術館・博物館で用いられているベンチ。
張地によって価格が大きく変わるがここのは安価な合成皮革が用いられていた。
本革に比べ質感は圧倒的に劣るが、不特定多数が雑多に座る公共空間では合成皮革の方がメンテナンス性は高いかもしれない。



・バタフライスツール

《バタフライスツール》

デザイナー:柳 宗理
発表:1956年
メーカー:天童木工
価格:¥57,200(2024年5月現在)

ジャパンデザインのアイコン的存在。
世界の名だたる美術館にコレクションされている。
座り心地や強度に関してはそれほど優れているわけではないが、モノとしてのシンプルな存在感は唯我独尊。
我が家にも一脚あり。



・スツール S-3010, 3030

《スツール S-3010, 3030》

デザイナー:剣持 勇
発表:1960年
メーカー:ワイ・エム・ケー長岡
S-3010:¥67,100
S-3030:¥63,800(共に2024年5月現在)

長岡の籐家具メーカーが作る日本の伝統工芸的スツール。
日本作品のブースの雰囲気にとても合う。
散らして不規則に配置しているのも心地良い。



・ANT Chair

アントチェア

デザイナー:アルネ・ヤコブセン
発表:1952年
メーカー:FRITZ HANSEN
ラッカー仕上げ ¥56,980(2024年5月現在)

別名アリンコチェア。
この椅子も多くの美術館で用いられている。
ここでは監視員用の椅子として使われている。
いくつもの仕様があるがこれは比較的安価なラッカー仕上げと思われる。



・Side Chair

《Side Chair》

デザイナー:ハリー・ベルトイア
発表:1952年
メーカー:Knoll
価格:¥194,700(2024年5月現在)

「眺めのよい部屋」に多数置かれる名作椅子。
ほぼ同時期のイームズにもワイヤーチェアがあるが、それとはまた違う雰囲気。
床のカーペットの色合いと共に醸し出すミッドセンチュリー感が近代美術館の雰囲気に合っている。



・ヒモイス

《ヒモイス》

デザイナー:渡辺 力
発表:1952年
メーカー:オリジナル・横山工業

「眺めのよい部屋」の奥に置かれたヒモイス。
オリジナルは戦後物資が少なかった時代にローコストでの量産を目指して作られた。
2013年にシリアルナンバープレートをつけて「ロープチェア」として101脚のみ限定復刻された。

座面横紐本数がオリジナルは5本、復刻版は8本。
座面縦紐本数がオリジナルは13本、復刻版は15本。
ということで、近代美術館のものは復刻版であるのだが、101脚しかないとのことなのでいずれにせよ貴重品であることには変わりない。
なお、現在は入手できない。



・USM Haller

《USM Haller》キャビネット&デスク

デザイナー:フリッツ・ハラー
発表:1965年
メーカー:USM
手前4つのボックスの組み合わせで約¥300,000

名作中の名作。
何種類もある長さのパイプやパネルを用いて自由に形を組み替えられる。
公共機関やオフィス、ショップ、個人宅等、様々な場所で使用されている。
「【#01】国立西洋美術館」でも触れたが我が家でも複数愛用中。
USM Hallerは組み立て分解がたまらなく楽しい。
組み立てる度に新たな発見があり設計思想に感動する。
まさに大人のレゴ。

デスクもUSM。
椅子は裏面のシールを見たらVitra製だったがモデル名は不明。
スタッキング機能を有するようだ。



・リキ ベンチ

《リキ ベンチ》

デザイナー:渡辺 力
発表:1960年
メーカー:オリジナル・天童木工
カンディハウス製:¥372,900(2024年5月現在)

無垢材の重厚感あるベンチ。
このベンチ、以前は室内で用いられていたかと思うのだが、写真の品は屋外に吹きっさらしで置いてある。
何やら貼ってあるので見てみると、

…とのこと。
今後修理するのか廃棄になるのか。
個人的には丁寧にメンテナンスをすればまだまだ使えそうな気もするのだが。
オリジナルは天童木工製だが現在はカンディハウスから販売されている。
東近美のものはどちらかわからなかったが年季の入り具合からすると天童木工製だろうか。


各国の名作椅子とともに、渡辺力、剣持勇、柳宗理など、戦後のジャパニーズ・モダンの礎を創った巨匠たちの作品をしっかり採用しいているところはさすが東近美。



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