見出し画像

「OK Google 今日の天気は?」

サウンドバーに話しかけ、兄は理科の課題プリントに気温を書き込んだ。先週の課題ではちゃんと外に出て、温度計を使って計測していたではないか。「それいいの?」と聞くと、「いいんだよ、先週は毎日の気温を測ること自体が宿題だったけど、このプリントは自分で調べるやつだから」と言うのでプリントに目を落とすと、「身の回りの植物について調べて書きましょう」と書いてある。図鑑などで調べたものでもいいらしい。兄は「コレ、いろんな図鑑が入ってて便利なんだよなー」とつぶやきながら、手元に準備した電子辞書を開き、内蔵の植物図鑑を見始めた。

名前、気温、題名、絵、観察文…と、サクサク仕上げていく。結局、椅子から一度も降りることなく、理科の課題を終えた。兄が選んだ植物は、ハイビスカス。我が家の所在地は東京である。身の回りの植物ではないじゃないか。内容によっては外で気温を測るよう説いて聞かせようと思っていたが、もはや現在の我が町の気温は無意味な記載である。これを提出して、4月に赴任してきた新しい担任の先生からは、どのような反応が返って来るだろうか。昨年の先生は兄のボケを好意的に受けとめてくれていたが、今年はまだお会いもできていないし、個人面談もできないしで展開が読めない。期待と不安が入り混じりながらも、課題に口出しはしなかった。

題名は「ハイビスカスは常緑樹」。そういえばそうかも。沖縄も数回しか行ったことがないし、知らなかったな。机上の空論、実物に触れない学びには不安を覚えるが、デジタルメディアが子どもの視野や世界観を広げてくれるのは確かだと感じる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?