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「言っとくけど」

が、兄弟の口ぐせである。そもそもは兄の口ぐせで、耳で覚えた弟も使うようになった。「言っとくけど」の後ろに続く言葉は、彼らなりのポリシーだったり、男のプライドだったりという、少々面倒なものを表すことがほとんどで、表情は決まってドヤ顔である。

兄は「言っとくけど」を、次に続く言葉に必ず耳を傾けてもらえる、魔法の言葉として扱っている。そのため、兄的にはすごく聞いてほしい話でも、母的にはどうでもいい話が続くことがよくある。長い間、おもしろがって自由に喋らせていたが、家族以外にも同様の話し方をしているのではとの不安がよぎった。そろそろ文法的なおかしさにも気づかねばなるまいと思い、正しい用法をレクチャーし、2分の1成人式の前に大人の階段を上ってもらった。

耳コピ上手な弟は、ドヤ顔とセットで絶賛使用中だ。何かに意欲的に取り組んでいるときは、できるだけ褒めようと心がけているのだが、「上手にできたね」というフレーズで褒めると、途端に「言っとくけど」が始まる。最近の流行りは「いっとくけど、3さいのときからできてたからね」(ドヤ)。今日出来たんじゃなくて、2年前から出来てんだよ、すごいだろ、というハッタリをかまし、自分のスゴさをアピールする器の小ささよ。かわいいなぁ。まだまだ、放置しておこうと思う。

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