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正直に話してくれてありがとう

今日は兄の学習塾のテスト日であった。無論、このような状況なので、事前にテスト用紙が郵送され、自宅で受験して送り返すシステムになっている。今回の単元は難しかったようで、テスト開始時刻(と言っても、本人が勝手に定めた時刻=テスト後、夕飯までにswitchをして、クレヨンしんちゃんとドラえもんを観るだけの時間が余る時刻)のギリギリまで復習を続ける兄の顔には、どんどん余裕がなくなっていくのがわかった。

「全部の復習は無理だから、ある程度見て終わりにしたら?」「どうしても復習を続けたいなら開始時刻を遅めたら?」と声をかけてみたが、「開始時刻はズラしたくない」「でもまだできる気がしないから復習が終わらない」と言い、若干涙目になりながら意固地になる兄。不穏な空気を感じながらも、本人が頑なに譲らない開始時刻を迎え、そのままの勢いで国語のテストタイムに突入した。

勉強机の上に置いたストップウォッチを押して、私は子ども部屋から退室した。それから40分後、普段は遠くにアラーム音が微かに聞こえ、兄が部屋から「終わったよー」と叫んでくるのだが、しんとしている。時間が残っていたら悪いので、そろりと上階へ向かい、そろりとドアのレバーを引いた。一生懸命に問いている。まだ時間じゃなかったかと引き返した。しかし、それから10分が経過しても何も言って来ない。おかしい。部屋に入ってタイマーを見ると、更に16分も残っていた。

「始めた時刻から50分も経ってるよ。何かあった?」と私。「え!気づいてなかった!タイマーの後ろにあった湿度計が、途中で倒れてきたんだよね。そのときに止まっちゃったのかなぁ」と兄。「でも今、動いてるよ」と私。「あ、そっかぁ、2回倒れたから1回めで止まって、2回めに動き出したのかなぁ」と兄。「どんな風に落ちてきたの?」と言いながら、湿度計がタイマーに倒れる様子を再現する私。何度も何度も倒すがタイマーは止まらない。「お母さんは今、ウソを話しているんじゃないかって聞いてるんだよ」。 兄は泣き出した。「ごめんなさい!ウソを話した!」 私に責める気持ちは1ミリもなかった。「正直に話してくれてありがとう」。

1教科めでこのようなことになり、残りの3教科も散々な結果となった。自分で自分の首を締めるとはこのこと。身を以て感じてくれただろうか。「良い点を取りたい」という執念が見えたのは収穫だった。センシティブな兄の今後の成長に期待。頑張れ。


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