見出し画像

[3000円ワイン]父の野菜と、懐かしさペアリング。〈日本/マスカット・ベーリーA(泡)〉

実家から、新米と野菜が届きました🍚

父は、実家で稲作をやっています。やってる、といってもどこかに売りに出しているわけではなく、先祖代々の水田をそのまま引き継ぎ、家族と親族が1年間食べていくだけのお米を、ほそぼそと作り続けているのです。

実家でのわたしの1年は、当然のごとく、田んぼとともにありました。

長い冬の終わりは、田んぼの季節のはじまりです。春、田おこしをされた田んぼに、ピンと水が張られます。土と水をかき混ぜるしろかきが終わると、田植えの季節。いかにもひ弱そうに見えたはずの稲は、夏が深まるのと同じスピードでぐんぐん葉を太くしてゆきます。

夜になると村中に響き渡る、カエルの大合唱。ときおり出会う、ヒルやマムシ。台風が無事通り過ぎてくれるよう願う夜を超えると、稲穂は重く垂れさがり、いよいよ実りの季節がやってきます。

そんな、田んぼとともに育った娘であるわたし。
ところがこの娘、まったく手伝う気配がありません。ごめんなさい。

田んぼの思い出といえば、稲刈りの終わった田んぼで日が暮れるまでねこと駆けまわったことくらい。だいたいはクーラーの効いた部屋のなかから、父の田んぼ仕事を眺めるだけ。
傷ひとつないわたしのつるつるの手をみて、「なんもせん手(=なにもしない手)」とはよく言われたものです。いやはや、ごもっともでござる。

これは懺悔記事でござる

さて、65歳で定年退職した父には、これといった趣味がありませんでした。
平日は仕事をして家に帰り、ビールと焼酎を飲んでさっさと寝るだけ。休日こそゴルフコンペの練習に出かけていましたが、それも近年はご無沙汰。

『仕事がなくなったら、このひと、どうやって生きていくんやろう?』

それが娘としての、長年の疑問だったのです、が。

退職してみてわかった、父の生態。
父、田んぼと畑のお世話、めっちゃする。

というわけで、この季節になると毎年、実家から新米が送られてきます。父が丹精込めて作った、つやっつやのお米です。
さらに今回はお米と合わせて、これまた父が作った大量の野菜も送られてきました。あの、ふたり暮らしなんだけど、うち。仕方ないので「ええいままよ」と全部ぶっこんでできたのが、今夜の鍋だったのでした。

ますたや野菜のごった煮鍋(量)

マスカット・ベーリーA スパークリング(赤) [¥3410]

<ワインdata>
国:日本 種類:赤スパークリング 品種:マスカット・ベーリーA ヴィンテージ:2021 生産者:Sawa Wines インポーター:ー

<バランス>
酸味★★★☆☆ 糖度:★★☆☆☆ 香り:★★★★☆

ごった煮のお鍋に合わせるのは、やっぱり日本ワインでしょう!
ということで、セラーに入っていたSawa Winesさんのワインを取り出しました。

こちらは、9月に収穫のお手伝いにうかがった際に、ワイナリーで購入したもの。朴訥としてるようでいて実は親切で熱い山本さんと、ほがらかで優しい奥様の笑顔に癒やされながらいただいた1本です。

日本だけではなく、赤のスパークリングってちょっと珍しいですよね。
思いつくのはイタリアのランブルスコですが、むしろそれ以外ってあまり思い浮かびません。

直近だと、10月にふくやまワイン工房さんの瓶内二次発酵ベーリーAを飲みました

でも、わたし、結構好きなんですよね~、赤の泡。

なんかしっかりした味わいが欲しい、でも、赤ワインほどじゃなくていい、そして料理のペアリングとかしゃらくせぇ…!みたいなときに、気軽な赤の泡があると、食卓がちょっと華やぐ気がします。

とはいえ「赤のスパークリングが飲みたい!」ってニーズが、おのれにさほど湧き上がってくるわけでもなく、うきうき連れ帰ったはいいものの、なんとなく飲み時を逸しておりました。今こそ…!

乾杯!

グラスに注ぎ入れると、明るい紫の液面が揺れます。そして聴こえる、しゅわしゅわと泡の弾ける音。お〜、これはまさしく、泡だ。

香りはいわゆるキャンディ香と呼ばれる、マスカットベーリーAらしいカワイイ香りが主体。でもちょっと青みのあるニュアンスもあって、うむうむ、なんというか、日本ワインらしい。

くちに含むと、大きめの泡がしゅわしゅわと跳ねます。それと同時に流れ込む、じゅわ~っと横に広がる酸味。果物の感じもちゃんとあって、全体にジューシーな印象です。

一方で香りほどには糖度は感じず、むしろすっきりとしたドライな仕上がりでした。そうそう、食事に合わせるときって、このくらいのワインが飲みたいんだよな〜!

父の野菜がぐつぐつ煮込まれた鍋をつつきながら、ぐいぐいワインが進みます。寒い夜の鍋って、ほんといいですよね〜
そういえばこの日は、母の誕生日でもありました。還暦お祝いの赤色、ちょうどナイスタイミングじゃないですか…!

年末年始、どうする?なんて話をしながら、いつのまにかボトルが1本あきます。ワインのどこか懐かしい味わいが、故郷の味にちょうどよく馴染んだのかもしれません。

次に実家に帰るのは、いつになるだろう。
それまではまた、美味しいお米と野菜を送ってもらおうと、そんな風に思う「なんもせん手」を持つ娘なのでありました。


それではここまでお読みいただいてありがとうございました♪
また次の #ワ活#3000円ワイン でお会いしましょう!3000円ワインの民、ますたやでした🍷

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)、夫婦で1本を分けあって飲みます。2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得、2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパート・WSETLevel2(英語)を取得、現在はWSETLevel3(英語)に挑戦中の、ワイン大好き夫婦です!

▶ 詳しいプロフィールはこちら!TwitterやInstagramもフォローお気軽にどうぞ♪

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

サポートでいただいたお駄賃は、バッカスへの課金に溶かしていきます!