心の側面から関わる心理療法家の人たちの話

心理系のセミナーに出席していました。

様々なジャンルの専門家たちと関わるとその特徴を感じることができます。

心理の専門の方と対話する際には、一つ一つの言葉や身体の感覚を丁寧に注意深く選んでくださっているのが伝わってきて安心感があります。

治療業界の方や運動関係の方と対話する際にはそういった繊細さを感じることはなく、言葉よりも、指先や体の使い方や知識へのこだわりを感じることが多くあります。

日常見ているものの違いが言葉の選び方にも直結しており、大切に扱っている領域に現れる丁寧さとそうでない部分の粗さがあります。

今回は、ユング派の精神分析の専門家ドナルドカルシェッドの事例をはじめ、いくつかの事例についての解説と2歳未満の発達期のトラウマについて学んでいました。

最新のユング派心理学は、関係性を扱っており、相手の過去のトラウマの舞台にセラピストが加害者として参加させられその中で破壊された関係性を再構築していくというものがあります。

セラピストとクライアント双方が共に傷ついた心の舞台に立ち、共に関わりながら傷の修復をしていく。

ドナルドカルシェッドの話で、暴力的な大柄な男性のセラピーの際、相手の暴力に取り憑かれた様子に反応して我を失い、本来言うべきでない感情的な言葉をぶつけたと言います。
そうして、大男はその言葉に傷つき「もうセラピーはしない。」とトイレに閉じ籠り、我に帰ったカルシェッドが謝罪し、トイレを開けてもらうようにお願いして、対話を試みたところ、大男は初めて人として扱われた。と涙し関係性の改善が起こった。

と言うことでした。

我を失い相手の過去のトラウマに巻き込まれることもセラピーの一部となっていて、逆に言えばそのような対応でしか解放できない過去のトラウマがあると言います。

ドナルドカルシェッドの事例では、相手の舞台の中で本来の夢、過去に心に傷を負った(屈辱と恥)男が両親から見放され、人とのコミュニケーション不全に陥った状態からの回復のプロセスを共に歩むといった対応となっていました。

身体の治療の現場においても、こういった舞台に上げさせられることは少なくありません。セラピスト側が葛藤したり、感情的になったり、もちろん仕事なのでそれを表に出して相手にぶつけたりはしませんが、その感情や葛藤を必要なものだと取り上げて解決の糸口にしていくことが患者の治癒の助けになることは間違いありません。

心の傷も、体の傷も、脳の発火する部分は同じと言われます。

身体を扱うセラピストとして、心の側面で起こっていること、関係性や舞台についても理解を深めていくことが良質なセラピーをする上で大切なのだと改めて感じました。



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