創作と狂気「黒い鳥がいる麦畑」ファン・ゴッホ
創作と狂気「黒い鳥がいる麦畑」
数年前、新しい思想の発想はあるものの、その作品のエネルギーに飲み込まれそうになって、精神のバランスを崩していた時期があった。
作家業そのものを続けるべきか悩んでいた時に、ファン・ゴッホの
「カラスのいる麦畑」
と出会った。
この絵は、
1890年7月、ゴッホがピストル自殺する一週間前に描いたとされる作品。
以前にも、美術書などで何度かみたことがあっただろうに、
その時は、身体に電気が走ったかのように動けなくなった。
そして、ただ涙が流れた。
紺青の空は嵐を含み待ち構えていて、画面いっぱいに黄金の麦畑が広がっている。
道は3つにわかれている。
真ん中の道には不気味な黒い鳥の群れが浮いていて、嵐を含む紺青の空が待ち構えている。
両側の道へ進むこともできる。
でも、ゴッホが歩むべき道は決まっていた。
真ん中の道、黄金の稲穂のように作品を生み出す道、
しかして狂気と隣合わせの暗黒へと続く道。
そして、僕も知る。
創作する者が進むべき道は、すでに決まっていることを。
1890年 ファン・ゴッホ 黒い鳥がいる麦畑 ゴッホ美術館
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