努力は報われません。『真澄の空』

パチン。竹刀で面を打つ音。
中学時代、僕は剣道部で鍛錬を積んでいた。
誰よりも真面目に一生懸命練習した。
だけど、三年間で一回しか勝てなかった。

今になっては笑える思い出話だけど、
あの頃の僕は結構必死にやっていた。
努力が報われるって信じていたから。
だけど、僕はことごとく勝てなかった。

周りはサボっていることも多かった。
練習で手を抜く奴も多かった。
だけど彼らは僕より強かった。
それが現実、才能こそが正義。

単純な話、だけど誰も教えてくれない真実。
努力は報われません。それ、本当です。
報われたら、多分こんな卑しい人間じゃなくて
もっと輝きのある人間だった気がするね。

とはいえ、僕は頑張ってきた。それも現実。
努力の仕方を間違えて、加えて才能がなくても、
僕は剣道部でたしかに稽古に励んでいた過去がある。
それが『無駄』だったとは思えない。

現に、僕は初段という資格を手に入れている。
ただ、それは勝利とは関係ないものだけど。
みんな簡単に取れていたものだけど。
それでも、不器用で最弱な僕は資格を取った。

努力は報われないけど、勝利はほど遠かったけど、
真面目に頑張って生きることの素晴らしさを
剣道を通じて知った気がする。
汗をかいた分、得たものは大きかった。