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ミスチルが聴こえる(短編小説)

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Mr.Childrenの曲を聴いて浮かんだ小説を創作します。 ※歌詞の世界観をそのまま小説にするわけではありません。
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#夏

君がいる夏 (ミスチルが聴こえる)

君がいる夏 (ミスチルが聴こえる)

 

 僕の好きな夏が終わってしまった。同時に、学校が始まってしまった。夕暮れも悲しくなる季節が来る。海を見ても虚しくなる季節が来る。冷たい風が吹き、寒くなるこれからが、僕は嫌いだ。

「何聴いてるの?」

 放課後。君はイヤホンをした僕の肩を叩いて、訊く。

「言っても知らないよ、君は」

 それでも君は僕を離さない。

「いいじゃん、教えてよ」

 小さな子供みたいにせがむ君。仕方なく、僕は教

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HANABI『ミスチルが聴こえる』

HANABI『ミスチルが聴こえる』

 晩夏。僕らの上に広がる夜空に、火の花が咲いた。それは温かく、煙の匂いがした。
「若いっていうのは、とても幸せなことだよ。だって、若ければ何にだって挑戦できるからね。それに、若さは純粋である証でもある。何も知らない分、スッと飛び込めるパワーだってある。若いというだけで、未来は明るく見える」
 父さんは目を細めながら夜空を見上げ、打ちあがる炎の輝きに投げかけるように言った。
「父さんだって、まだまだ

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