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恐ろしく抜ける。【日本初解説】/知るべき現代の子の特性

恐ろしく抜ける。【日本初解説】

このことについて解説を加えておこう。 

(参照記事はこちら) 



日本初解説になる。

これはほとんど想像を絶するものだが、
僕はすでに、共に教えている2人の博士とは共有し続けていることでもある。

何が恐ろしいか。


・・・理解したものが抜ける・・・。


通常、我々が「抜ける」と想定するものは、
「暗記したものが抜ける」である。


これは多くの方にも、実感を伴って、理解してもらえることだと思う。

まあ僕だって、今や歳とともに、覚えたものが抜けるという実感がある。
合わせて、暗記力自体もかなり落ちた感がある。
僕で言えば、30代の終わりに、とある資格を取ったんだけれども、それはそれは時間もなくて、行きの新幹線でテキストを読み込むなんてギリギリ状態だったけれど、結局、試験自体は満点だったと思う。
極端に勉強に関するものの暗記は得意だけれども、もうこの40代半ではすっかり無理。
ちなみに、音楽の歌詞は、若い頃から、全く覚えられない。なんだこれは、と思う。


これを読まれる皆さんも、そういう暗記力、記憶力の低下は、年齢と共に、落ちていく実感は結構おありだろう。


さて、話を戻す。

ここで、現代の子たちについて言及していることは、それ以上のことだ。


それは、「理解したもの」が抜ける。

ここで指す理解したものとは、
理解した「概念」であり「仕組み」である。

考えてみてもらいたい。

仕組みを理解するという場面では、そもそも、暗記をほとんど要さない。
その中で使われる単語は忘れることがあるかもしれない。
しかし、概念の理解は、そこに含まれる単語を完全に暗記していなくても可能なもののはずである。


例えば、DAWを例にとる(誰にもやさしくない酷い例だ)。

DAWという音楽制作のソフトがある。
これは、複数のトラックを立ち上げ、各トラックに生演奏のデータや自動演奏用のmidiデータを記録し、同時再生を可能とするものだ。各トラックにはプラグインという小さなソフト、いわゆるエフェクターをたくさんさせる。
また、それらをまとめるマスタートラックにも同じことができる。各トラックは複数の小さな水流れ、いわば支流であり、合流したものが主流、マスタートラックである。

これだけではない。
各トラックには、さらにAUX(オグジュアリー)、またはバス(バストラック)というさらなる分岐を与えることができる。
うちの地域で言えば、一般車が走る県道に、並列して、産業用の道路が追加されている、というような姿に近い。

DAWというソフトは、この概念(仕組み、全体像)の理解こそが最も重要なのだが、ここで考えてみていただきたい。


このソフトの説明で、出てくる単語がある。
実際に扱うときには、もっと細かい用語が登場するのだが、細か過ぎて、実際にはユーザーは、なかなか覚えていられない。
しかし、概念、仕組みがわかっていれば、それは大した問題ではない。
midiという単語自体を忘れても、DAWというソフトが持つ概念は、説明されうるはずだ.


ところが、今、何が起こりうるかというと、このDAWというソフトの概念自体が抜ける、のである。


お分かりだろうか。


現代の子たちに起っていることは、単に、暗記が抜けるとか、暗記する力が弱いとか、そういった次元でのものはない。

理解したものが抜ける。
暗記をさほど要さないはずの概念や仕組みが抜けていくのだ。

どなたも、掛け算の九九(の表)を暗記した覚えがおありだろう。

もしかしたら、九九の言い回しは、時間が経つとあやふやになる方もおられるかもしれない。

問題はその暗記部分ではなく、掛け算自体がそもそもどんなものであるか、その概念が抜けてしまうことなのだ。

子どもたちは、学習のど真ん中にいる。学校に行き、日々授業を受けている。
大人の皆さんと違って、毎日、教科書的学習に触れる日々ゆえに、学習は、生活の中心、または一部である。
当分、勉学から離れてしまい、暗記したものを忘れてしまうという大人にありがちな状況とは一線を画す。

今、只中にある、その重要事項を、暗記項目のみならず、概念のところから、失っていく。


なんと衝撃的なことであろうか。


今は、これを踏まえて、子どもたちを見ていく必要がある。

先生も親もこれは同じで、特別に抜けることを認めつつ、どう取り組んでいくかという戦略が必要になるのだ。

このことがわかると、ただわかりやすい授業に意味がないことがわかる。

また、課題宿題を闇雲にやることも、効果的ではないことがわかるだろう。



ついでに言及しておくと、昨今の話題の中に、分数のわからない大学生、新社会人というびっくりするようなものがある。勉強がそもそも苦手な人の話ではなく、偏差値60超えのような若者に起きる衝撃的な現象だ。
実は、これもこの記事を読んでもらえれば、完全に説明がつくことがお分かりになるだろう。
ここで述べるリアルは全国的にはまだ語られていないので、付け加えておく。


現状を把握する(ここでは子どもたちの特性の一つを理解すること)ことではじめてすべきことが見えてくるわけだが、今回はここまで。 


ひとまず、当たり障りのない範囲で、「恐ろしく抜ける」ことについて、日本で初めて記述しておくこととする。
(本当はもうちょっとあるんだけれども、もう衝撃的過ぎて卒倒しちゃう人が出るので、無料ではここまで)


(おわり)



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