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急性心筋梗塞⑦ ICU 集中治療室

二度の山場を乗り越えて何とか三途の川を渡らずに引き返し、ドクターの呼びかけに気がつくとそこはICU(集中治療室)でした。
大きな手術を終えたばかりの方や重篤な症状の方が
文字通り集中して治療を受ける部屋で各部屋ごとに減圧や酸素濃度、心電図や薬剤投与の為の設備などが管理された特別な病室です。面会も厳重な管理のもとコロナ対策もバッチリ。家族も親族のみ。一組15分。
大きな手術の後は感染症のリスクも高まるのでその対策をという事です。

目を開けて最初に飛び込んで来たのは身体に繋がれたチューブ。数えると10本はあっただろか。
両腕、お腹、口、首、尿道からとチューブが伸びそれぞれ機械や薬剤に繋がっている。
コポコポ シュー ピッピッピッ コーハー とまるでスターウォーズのダースベイダーの様な音がしている。

張り付きと呼ばれる担当のドクターが私の足元でモニターを常に診ながら薬の投与をしている。

私は、意識がクリアな時と混濁している状態を繰り返しているようだ。

とにかく動くことができない。動けない。痛みより苦しいという表現が勝る。
ドクターと看護士さんが定期的に身体の向きをかえたり痰を吸引したりしてくださる。

私は目だけ動かせるので心電図のモニターを見たり 投与している薬剤のたまにブクブクと出る泡を見たり数えたりしている。

こんな状態の時 人間はやたらと五感がさえる。
ICUはそれなりにかなりのベッド数とドクターやナースステーションが同じフロアにあるのだが、いろいろな方々の会話がめちゃクリアに聞こえる。リアルな会話か幻聴かは置いといて、「今日何食べて帰る?」「最近良い店見つけた」「彼氏が最近・・」看護士さんの会話 ドクターの会話 面会に来た他の患者さんと家族の会話 クスッとにやける内容からかなりプライベートなもの、病院なのでお気の毒と思えるものまでいやでも耳に飛び込んでくる。

目を閉じると暗いまぶたの裏側に紫や青、赤っぽい虫のようなモノがチラチラする。
全体的にふわふわした浮遊感。まずは自分を取り戻すところからか。約1週間ほどICUでの闘病は続いた。

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