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nanapachi78
忘れられない先生
忘れられない先生は何人かいるが、今日は最も心に残っている先生の話をしようと思う。
その先生は春の麗らかな陽光を思わせるような人だった。その穏やかな人格と授業のスタイルから先生は皆から好かれていたと思う。先生は僕の部活の顧問でもあったので、僕は随分とお世話になった。
部活で好きにやらせてくれた先生には今でも感謝している。
高校生になる前くらいには僕も教員を目指そうと決めたのだが、「あなたなら心配ないわね」と言っていただいたのを覚えている。放課後、部活が終わって渡り廊下を歩いているときだった。
大学生になっても年賀状のやり取りだけは続いていて、「学部を卒業する時には報告ができると良いな」と漠然と思っていた。
しかし、ある時先生が亡くなったという知らせが飛び込んできた。僕は俄かには信じられなかった。だって今年の年賀状には「また会いましょう」とあったし、まだ先生はお若かったはずだった。「教員になりました」という報告すらできなかったのだ。
僕自身がどうにかできた問題ではない。むしろ最短コースを歩んでいたはずだった。それでも、人生には後悔する出来事が生まれるのだと思い知らされた。僕にできるのは、その先生が「やっぱり心配なかったわね」とほほ笑んでくれるような教員になることだけだ。
桜の季節になると先生を思い出す。先生に最後にお会いしてからもう十五年近く経つが、いつまでも忘れられない先生だ。
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