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ジョブ理論を通して、売れる商品コンセプトを考える

こんにちは。
このnoteでは、ジョブ理論を踏まえながら「売れる商品コンセプト」の考え方についてまとめていきたいと思います。

このnoteを通して得られること

・ジョブ理論の基本概念について理解することができる
・顧客が解決したい課題の洗い出し方法が分かるようになる
・商品コンセプトの作り方について理解することができる

ジョブ理論とは

まずはジョブ理論について基本的な概念を説明します。
ジョブ理論とは、商品やサービスを購入する上でのメカニズムを論理的に説明した理論のこと

ジョブ理論について
私たちは、特定の商品を購入するのではなくて進歩(ジョブ)のために商品を購入するという考え方

ジョブ理論の全体像について

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①お客様には明確なゴール/目標(進歩)がある
②どんなジョブを解決したいのか「機能」「感情」「社会」的な側面で考える
③現状を把握する

ジョブ理論では、お客様1人ひとりが直面している状況と目指すべき進歩(課題)を考慮するので、お客様の解像度をあげたお客様の商品を購入する理由を捉えることが可能です。

ジョブ理論の基本的なポイント

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①私たちは進歩(ジョブ)のために商品を購入する
②ジョブは、形容詞/副詞で説明しない
③ジョブは、適切な抽象度が必要
④お客様の片付けるべきジョブを理解して、それを妨げる障害物を把握すること
⑤ジョブは、「どんな場面で」「なぜ?」にフォーカスして考える
⑥ジョブは、お客様にアクションを取りたいと思わせるものであること

ジョブ理論は「ニーズ」と違うのか?

「ジョブ理論とニーズは同じ意味なのか」とふと思いますが、この2つの要素は別です。それぞれの定義を再度考えて、どんな違いがあるのかを考えます。

■ジョブ理論:達成したい目標(進歩)のために解決する必要があるもの
>>ニーズが生まれたり、生まれなかったりする「源泉」

■ニーズ:サービスにおける興味/関心のこと
>>(顕在的に)思っているもの

ジョブ理論を活用して、お客様の課題を明確にする方法

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具体的なイメージ
①お客様の置かれている「状況」を把握する
②お客様の進歩・ゴールは何かを考える
③進歩・ゴールを達成する上で、障害物となるものはなんなのか、どんな「ジョブ」を解決したいのかを見極める

ポイントは、お客様のターゲティングを見るのではなく、お客様の「状況」を見ること。よくやりがちなのは「ターゲティング」をすること。
なぜ、「ターゲティング」が良くないのかは、販売対象を自分から狭めることにより売れるマーケットを小さくしているからです。

・いつ
・どこで
・だれと

など5W1Hに関する事項の他、「その前まで何をしていたか」「このあと何をするつもりか」など、複雑な生活上の文脈まで加味することで、ジョブの定義でもある「ユーザーが遂げようとしている進歩」に近づくことができるので、『生活の中の不満』を見極めるように考えましょう。

お客様の『現状』把握は『マクロ』『ミクロ』の視点で考えること

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マクロ
・ライフステージ
・ライフスタイル
・家族構成
・財政状況
ミクロ
・5W1H
・特定の状況で考えていること

お客様が解決したいジョブを定義するときに、まずはお客様側の置かれている「状況」を『マクロ』『ミクロ』の視点で明確にしていきます。ミクロの視点では、お客様が商品/サービスを購入する時点での前後最中の『特定の状況』を把握します。

例えばスポーツドリンクを購入するお客様を分析したとき、特定の状況は以下になります。

・特定の状況(行動前):運動して喉が渇いたから、喉の渇きを解消したい
・特定の状況(行動中):スポーツドリンクを購入して飲んだものの、甘すぎて嫌だ
・特定の状況(行動後):次からはもっとさっぱりした味のスポーツドリンクを購入しようと思った

上記の分析結果をストーリー仕立てにして、アイデアや改善策を考えます。

ジョブは「機能」「感情」「社会」的な側面に分けられる

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お客様側がゴール/目標を達成するために解決したいジョブを可視化していきます。ジョブは「機能」「感情」「社会」的な側面の3つに分解することを推奨しています。

ジョブの見つけ方|5つの視点

ジョブを発見する上で5つの視点を紹介しています。

生活に身近なジョブを探す
日常生活の中での「不満」を見るということです。市場調査に頼るのではなく、人々の生活を注意深く観察して人々の望みを直観することが大切です。

無消費者と競争する
「無消費」とはジョブを満たす解決策を見つけられず、何も雇用しないことをさしています。自社製品も競合製品も雇用していない人々に着目することで今までは発見できなかった「不満」を見つけることができます。

問い合わせの対処策
既存の商品やサービスでは満足に解決できず、顧客自身があれこれ工夫して自分なりに対処しているジョブがあります。どのようにやりくりをしているか観察することで今まで発見できなかった「不満」を見つけることができます。

できれば避けたいこと
できれば避けたいジョブは、「ネガティブジョブ」とも呼ばれています。ゴールを達成する中で障害物としてある課題(ジョブ)を進んでやりたくないと思っている要素をさします。「解決したいけど、それをやりたくないものはないか?」を考えることで商品の販売機会を見いだすことが可能です。

意外な使われ方を探る
ポイントは複数の切り口で考えること(視点、着眼、着想)。お客様側が商品をどのように使っているのかを観察することでもジョブを見つけることができます。つまり、想定していたものとは異なる使われ方をしているときに、そのジョブを解決するための新商品を開発するという考え方です。

もう一度、ジョブの見つけ方を振り返ると

①お客様には明確なゴール/目標(進歩)がある
②どんなジョブを解決したいのか「機能」「感情」「社会」的な側面で考える
③現状を把握する

市場調査、市場規模などのデータだけを見ると、商品を購入してくれるお客様が見えなくなってしまうので、人を観察して「どんな目標を達成したいのか?」「そのためにはどんな障害物があって、解決していのか?」を問い続けたいと思います。

ファスティング商品で考える商品コンセプトの考え方

ファスティングができる商品を販売している例に当てはめて考えていきたいと思います。
*今回はファスティングをすることによってダイエットをする(ダイエット市場に販売する)ことを前提として考えていきます。

STP分析(セグメントを切る)
まずは、ダイエット市場のセグメントを切っていきます。「ダイエットをする」ため(目標)にどんなサービスがあるのかを考え、その中から、今回はファスティングでお客様側にサービスを届けていきます。

仮説を立てる
次にダイエットをするためにそのサービス(ファスティング)は解決策になり得るのかを4つの変数から考えていきます。

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■人口変数
お金はあるけど時間がない

■地理変数
働いているのでジムなどにはいけない(ネットで解決したい)

■心理変数
自分を磨く、ダイエットできるなら必要なお金は使う

■行動変数
内面をキレイにすることで人生を豊かにするものだと思っている

仮説した市場が、「どこにあって」「誰に需要があり」「誰がその需要をみたしているのか」の3つを正しく把握することで事業の勝率がぐんと上がると考えています。

これらを分析して、
「ライザップまでは利用しないがファスティングでキレイになりたい」
「気軽に「ファスティング」できる商品」

はプロダクトアイデアとして良いと考えました。

お客様が置かれている状況はどうなっているのか
痩せたい人がダイエットをする「特定状況」を観察していきます。

■特定状況(行動前)
働いているし、ダイエットする時間が取れない
きついダイエットはやりたくない

■特定状況(行動中)
ダイエットしてみたが、長く続かない
元に戻ってしまう

■特定の状況(行動後)
他の方法(ジム、ヨガ、運動)を探す

ジョブ理論では、年齢、性別、嗜好性などの顧客属性軸では区切らないことがポイントです。

お客様はどんな課題(ジョブ)を持っているのか
続いて、お客様はどんな目標・ゴールを達成したいと思っているのか、それを達成するためにどんなジョブを解決する必要があるのかを明確にしていきます。

■目標・ゴール
痩せる(=キレイになる)ことで、Happyな人生を送れる人になる

目標・ゴールを可視化することができたので、続いてお客様側の置かれている「現状」を明確にし【目標・ゴール⇆現状】のギャップを見ていきます。

■現状
ダイエットはしているけど、長続きしない
仕事しているから他に時間を取りたくない(普段の生活の中で実施したい)

上記のメインなお客様を動かすための商品コンセプトを考えていきます。

3つの側面でジョブを考える
ジョブ理論では3つに分解していくことを推奨しています。

①機能的なジョブ
②感情的なジョブ
③社会的なジョブ

痩せたい(=キレイになりたい)人のジョブを整理していきます。

①機能的なジョブ
ex)体型をスリムにする、肌をキレイにする

②感情的なジョブ
ex)生まれ変わって人生を楽しみたい

③社会的なジョブ
ex)他人から羨ましく思われたい

機能的な側面にのみ着目していては、思い浮かぶアイデアや改善策に限界があります。しかし、感情や社会的な側面に目を向ければ、これまでは気づけなかった側面に気づくことができ、新たなアイデアを見出すことが可能です。

お客様のジョブを片付けるストーリーを作る
ジョブを片付けるストーリーを下記に当てはめて考えていきます。そうすると、チーム内で共通認識が持てるし、目標・ゴールとそのために解決しなければならないジョブとの相関関係を可視化することができます。

ストーリーに落とし込む
①お客様はどんな進歩を望んでいるのか、どんな目標・ゴールを達成したいのか

②それがうまく機能していないのはなぜか

③①を実現する上で、どんなジョブを解決する必要があるのか

④一時しのぎの不完全なサービスに頼っていないか

⑤何か新しい解決策を欲しいと思わせているのは何か

5つのストーリーを考えることで「顧客がなぜ欲しがっているのか」が明確になります。ジョブを見極めるうえで大切なのが「なぜ」という言葉です。数値化されたデータだけではなく、柔軟に根拠を提示しましょう

お客様視点/N=1分析で「行動データ」「心理データ」を洗い出し
まずは、「行動データ」と「心理データ」の2つからメインのお客様の解像度を上げ、アイデアを明確にしていきます。

目的
「アイデア」を見つけるために、「いつ、どのようなきっかけで、ブランドを知ったのか/買ったのか/ロイヤル顧客化したのか」を時系列で知ること。

「バックグラウンド」「シーン」「ドライバー」「感情」でキーインサイトを明確にする
お客様の解像度を上げたら、その情報をもとにインサイト(キーインサイト)を見極めます。客観的なデータをもとに決めるのがポイントです。

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①シーン
自分の体型と比較、自分で自分を見る環境

②ドライバー
周りのキレイな人を見たとき
お風呂に入るときに自分の体型が鏡に映った瞬間
鏡で顔を見た瞬間

③バックグラウンド
日常生活での転機

④感情
「何かを変えたいな」と思う

キーインサイトを明確にした後はバリュープロポジションを決める
キーインサイトは、前に「隠れた不満や欲求のエッセンス」です。

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キーインサイト
「何かを変えたいな」という感情に対しての、「日常生活で転機(悪いこと)があった際、自分の体型を自分で見た瞬間、『変わらないと』という決意をする」

次に、整理した『キーインサイト』に対しての価値を体験させるアイデア(バリュープロポジション)を考えていきます。

バリュープロポジション
「普段と違った体験」で内側からキレイになって変わる

アイデア
1週間ファスティングで内側からキレイになる

「客観的な事実に基づいてインサイトを見抜いたのか」
「バリュープロポジションは、キーインサイトの価値を体験させるアイデアなのか」を意識して具体化していきます。

併せて、導いたプロダクトアイデアが正しいのかどうかをテストマーケティングを実施し、お客様がの反応を見ていきます。このとき、「行動データ」「心理データ」を踏まえながら、商品コンセプトの練り直しをしていきましょう。

まとめ

今回は、ジョブ理論と消費者インサイトを使って、お客様の解像度を上げ、商品コンセプトを作り上げる方法をまとめました。

自分でもアウトプットして感じたことは、「マーケット起点」と「顧客起点」の両側面でお客様を観察することが大切だと改めて感じています。

これからDtoCの事業を実施される方や既に実施されていて、なかなか商品の販売がうまくいかないという人にお役立てができればと思っています。

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