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日本でイタリアの知識が広がった話

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

イタリアのことはイタリア人に聞けば知っているはず、すぐ教えてくれるはずと思われがちだけど、実はそうではない。
今日は僕にとってちょっぴり恥ずかしい話をしようと思う。驚いたり笑ったりしながら読んで貰えれば、嬉しい。本人も記事を書きながらクスクス笑っている。

イタリア北部のピエモンテに生まれて、大学卒業までピエモンテに住んでいた。その中で、イタリアを少し回ったけど今考えると大したことがない。イタリア好きの日本人と話すと、僕のイタリアの知識は恥ずかしいくらい小さくて、まるで勉強していない受験生のような気持ちになることが少なくはない。

日本人に限らず、多くの外国人がイタリアについて知っていることが、とにかく多い。日本に住むことによって、イタリアを学ぶことができたことに感謝している。やっぱり、海外に住んでからではないと気がつかないこと、知らないことを調べよう、といった気持ちにならない。イタリアの文化だけではなく、イタリア語のこともいい勉強になった。

まずは、知らない日本人がいないくらい有名な映画について。ロードショーされると盛り上がる人も多いと思うけど、僕は実は見たこともなかった。その映画は「ローマの休日」だ。なんとなくタイトルは聞いたことがあって、知識としてはローマで撮影された映画だろうな、というレベル。日本に来て初めて興味が湧いて、観た。

ここからもっと恥ずかしい話が続く。「ニューシネマパラダイス」を初めて見たのは、実は日本だった。映画の存在とストーリーは知っていたけど、イタリアでは見る機会がなかった。
ちなみに「ひまわり」という有名な映画も知っていたけど、初めて見たのは日本の小さな映画館で。

日本に住むことで、イタリアではなかった行動力が一気に出てきた。

話は映画からスイーツに変わる。2021年から流行っているマリトッツォのことも、実は深くは知らなかった。ローマに行った時にたまたま入ったバールで、マリトッツォを一回食べたことがある。でも、マリトッツォの由来やストーリーまでは知らなくて、「調べてみよう!」と思ったのは、日本でマリトッツォブームが来てからだった。

あまり知られていないかもしれないけど、日本ではイタリアの伝統菓子を食べられるお店がたくさんがある。そのオーナーさんはイタリアで学んで、経験を重ねてから日本で再現して販売した。
僕はピエモンテとイタリア北部以外の伝統菓子を食べた経験が少なくて、日本でイタリアのそれぞれの地域のお菓子を食べられるなんて、感謝してもしきれない。初めて名前を聞いて美味しさに目が覚めた僕は、日本に来てよかったなぁとしみじみ感じるのだった。

KALDIに行く度に、イタリアの色々なお菓子や食材などに出会えるから、イタリア旅行の気分にもなるし新発見もたくさんある。懐かしいものから気になっていたけどまだ食べてない、完全に見たことがないものまで揃っていて、その事実だけで日本がますます好きになる。さらにイタリアの勉強にまでなるのだ。

実は「イタリア料理」というのは存在しなくて、日本のように地域料理が豊富だ。ピエモンテに住むと言うまでもなく、ピエモンテ料理になる。日本に住むことで、イタリアのそれぞれの地域料理を食べられる。イタリアで食べたことがない味を1万キロ以上離れているところで味わえるなんて、なんだかSF映画のようだ。

もちろん、母国語であるイタリア語の大切さも改めて、気が付いた。

海外に住むことで、知らなかった自分、気が付かなかった部分が出てくるから、新しい人生が始まったように感じる。海外ではなくても、故郷から離れたらこのような気持ちになると思う。

僕は2019年の春からイタリアに帰っていない。それでも寂しくならない理由は、日本にいながら新発見のイタリアに出会えるし、日本人の発想によって作られたアレンジもあって、毎日楽しめるからだ。

これからもイタリアを教えてくださいね、日本。

Massi

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。