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喫茶マウンテンでイタリア人4人がパスタ議論

こんにちは、いつものマッシ(@massi3112)です。

3月上旬、何年ぶりに名古屋に住んでいるイタリア人の友達に会いに行った。会うのも名古屋に行くのも久しぶりだったので、名古屋の名物や喫茶巡りをしたいと説明したら、友達3人ともマッシに合わせるからどこにでも付いていくと言われた。ということで、僕の目的である甘いパスタでもいいと確認を取れたのだった。

お昼ご飯は噂の「喫茶マウンテン」に行ってきた。友達は日本の喫茶文化に詳しくなくてそもそもあまり行かないからとても楽しみにしていた。
お店に着いたらお客様が既にたくさん。何組も待っていた中で、外国人2人もいたから、きっと名古屋の食文化に慣れているんだろうなと感じた。僕も含めて全員のテンションが高くて、座るまで落ち着かなかった。

4人用のテーブルに座ってメニューを見た瞬間に、真面目な表情で静かになり、まるで会議中のような雰囲気になった。やっぱり、イタリア人にとっての食事は人生の中で大切なことの一つだから集中力MAXだった。

喫茶マウンテンのメニュー(一部)

僕の目的は甘口抹茶小倉スパだから、メニューを深く考えずに決めた。友達2人はせっかくだから甘いパスタを食べたいと言い出して、名古屋喫茶文化が大好きな僕は嬉しかった。もう1人の友達はナスみそミートを頼んだ。
注文の時に甘口いちごスパ2つと抹茶小倉スパとナスみそミートを言ったら店員さんはニコニコしながら「甘いパスタは大丈夫?」と確認された。「大丈夫でっす!」と元気に答えたのは言うまでも無い。

食べる前に驚いたのはパスタの量。圧巻である。ここで僕も驚いたけど、頼んだパスタは全員完食して、3人には思ったより喜んでもらえた。ここからイタリア人4人によるパスタ議論が開始された。

日本にあるパスタはイタリアにないと思われがちだけど、実はイタリアにもある。いちごスパのように、イタリアでもいちごを使ったリゾットなどの料理もあって、ネットやレシピの本にもたくさんある。確かに、ピエモンテではカカオを使ったリゾットや詰め物のパスタは僕も食べたことがある。

日常生活で毎日食べるわけではないけど、イタリア食文化の中には存在している。
ちなみに、友達の出身だと、トスカーナ州、エミリア・ロマーニャ州、ラツィオ州とピエモンテ州の僕。ここからそれぞれの地域料理の話も出てきて、知らなかったことが山ほどあった。日本で食べられるパスタは、イタリア料理からあまり変わらない。

ここから話が深くなってきた。
イタリアから出たことがない人やイタリア人シェフがいないと美味しくないと言う人、海外でパスタやピッツァを食べてすぐ文句を言う人が大体イタリア料理に詳しくないというテーマについてだ。彼らは毎日の味に慣れているだけで、知っている味から少し離れるとアウト。
イタリア料理はもちろん美味しいけど、日本での進化やアレンジもイタリアとの繋がりがあるからこそ。比べずにその国の食文化のことも考えて食べたらおいしく味わえる。

イタリア人にとって、「イタリア料理は世界一美味しい」と思いながら海外に行くと100%楽しめなくなる。サイゼリヤはコスパが良くて、味はイタリアに近くてありがたい。サイゼリヤは美味しくないと言っているイタリア人は恐らく、イタリアで内緒でサイゼリヤのパスタを出したら文句なく食べられるだろう、という意見をその場にいた全員が思っていた。

逆に日本で食べられるイタリア料理やパスタ料理はハズレがない。ちゃんと作って情熱も深くてイタリアの安いお店より、日本の方が後悔しない。

僕もいつも思っていたことをイタリア人友達3人も同じことを言っていたからほっこりした。好き嫌いはもちろんあるかもしれないけど、食文化のシャッターや料理のプライドが出てくると、口で判断するのではなく、脳で決めてしまうのだ。

ナポリタンの話になった時にも「パスタにケチャップ」は美味しいけど、イタリアで考えられない理由はケチャップはトマトに見えないから。甘味もあってジャンクフードで使うという習慣がある。その習慣の一歩外に出てみたら、ナポリタンは定期的に食べたくなる鉄板料理になるのに。日本とは違い、イタリアでのアレンジ力は非常に遅い。

昔ながらの味を守ることは大切だ。でも、時代や習慣、ライフスタイルも変わっていくから料理も進化していく。口に合うか合わないかはあると思うけど、心をリセットしてから料理を食べたら、現在の居場所のことを忘れて新しい食の扉が開くだろう。

Massi

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。