見出し画像

スタバを受け入れられないイタリア

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

日本はどこに行ってもスタバに出会える。田舎だろうが都会だろうが、スタバが山ほどたくさんある。スタバの公式サイトによると、日本全国の店舗数はなんと1,727店舗(2022年6月末現在)。コーヒーからティーまでの飲み物が豊富で美味しいスイーツやパニーニなどもたくさん。落ち着いた雰囲気も大事なポイントで、読書、お喋り、仕事をしている人がいつもたくさんいる。

イタリア人である僕は、日本に来てスタバに恋に落ちた!
ほぼ毎日スタバに行っていて、パソコン作業だけではなくゆっくり過ごしたいと思う時も無意識に飛んで行く。
日本在住のイタリア人友達もいつも喜んでいる。甘い系の飲み物と甘いスイーツをセットで注文する友達は珍しくない。その姿を見て、やっぱりイタリア人は甘いものが好きだろうなぁと思いながら、気が付いたら僕が持つトレーの上にも同じ光景が広がっていたのだった。

驚くのは、スタバが同じビルに何店舗が入っているということ。例えば、銀座にあるスターバックス リザーブの隣にはスタバがある。もう少し歩けば、もう1店舗ある。確かに、スタバの看板を見て安心するよね。新しい地域に行く時に必ずスタバに入る。そうすると、なぜかホッとする。

コーヒーの文化が強いイタリアに行くと、話は180度変わる。まずは、イタリア全国にスタバは17店舗しかない。少ないけど、思ったよりまだ多い。
イタリアのスタバ1号店ができたのは2018年だ。実は、2015年2016年に何回もスタバオープンのニュースや話が上がっていた。ところがその度に反対派が多く、「イタリアには来るな」「偽物のコーヒーは必要ない」などの言葉が多かった。

創業者のハワード・シュルツがイタリアに行った時にイタリアのカフェ文化に感動して、そこからスタバのアイデアが生まれたらしい。ところが、悲しいことにイタリアに合わない部分もあって、彼が言ったのはこちら。

イタリア人は、バーの外でコーヒーを飲んだり、歩いたり運転したりしながら飲むことさえ考えていないため、プラスチック製のカップが好きではありません。

スターバックス創業者のハワード・シュルツより

味と飲み物の組み合わせだけではなく、カップや周りのことまでこだわりがあることが納得。

イタリア現地の人に「スタバについてどう思う?」とミニ調査して分かったのは、コーヒーが飲みたい時以外に行くことを検討するそう。コーヒーの文化から離れて完全に違うものならまだ行きやすいという声もあった。ミラノに住んでいる友達はチャイラテを飲みたい時だけ行く。イタリア人は受け入れるのが苦手で、1番美味しい文化を持っているからそれ以上のものがないと考えてしまう。そうなると、発想力とアレンジの気持ちが出てくる前になくなってしまう。

イタリアと日本の大きな違いは、イタリアの場合はコーヒーを飲むのが目的。日本の場合はゆっくり過ごしたい、お喋りしたいというのが目的。
もう一つの大きな違いはスタバで仕事してる人、打ち合わせしてる人が意外に多い。イタリアではカフェで働く習慣がなくて、最近はユーチューバーのような若者だけ少し増えている。

イタリアにいた頃に気が付かなかったことがある。コーヒーのお持ち帰りがないということだ。ない、というよりも、本当に頭の中にはその考えがなかった。

長く日本に住んでいるから、僕の中でカフェに対する感覚が変わったと思う。コーヒーではなく、コーヒーの周りの雰囲気が重要でカフェに入って過ごすエクスペリエンスがメインなのだ。
知っていることと違って、知ろうとしないことがイタリア人の残念な部分だ。新しい気持ちで新しいものを楽しむという考え方があまりないイタリアを見て海外に住んでいるおかげでチャレンジするという考え方が強くなった。

同じスタバだけど、国によって感覚が変わるなんて面白い。
言葉が通じなくても動きとやり方を見て国民性がわかるから、自分のことまで考えるきっかけになってある意味、成長できる。良い悪いの話ではなく、自分の感覚と見方の限界を確認できる。

当たり前のことは当たり前ではないということを忘れずに美味しいスタバを飲もう。

Massi

P.S. この記事を書いているのも、もちろんスタバ。

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。