♯16 派遣社員として働いてみて感じる東京の職場と大阪の職場の違い
大阪で正社員として働いた後、数社派遣社員を経験して、
夫の転勤で引っ越してきてからは東京で改めて派遣社員で働くようになった。
両極端な大阪と東京の企業を経験できたことは、本当に貴重な経験だと思う。
働くことはもちろん同じではあるが、職場にいる人や関係性の築き方は全くアプローチが違う。
自分のあくまで体感としてなのだが、大阪の企業は基本的に支社が多いため、慢性的な人手不足な職場が多い。
そのため、仕事が雑多であることが多い。
「いてまえ根性」が様々な場面に反映されていて、じっとしてられない質の人が多いこともあり、
自分の部署の領域を超えた仕事や雑用も当たり前にこなさなくてはならない。
契約にありましたっけ、この仕事?みたいなことも結構やらされるので、派遣社員への仕事の割り振りも説明も雑であったりする。
大阪でずっと仕事を続けていると、その点に関しては正直そこまで気にはならなかった。
その点、東京は業務が完全細分化されていることが多い。
逆に大阪でしていた様に、任されている以上の仕事をしようとすると怒られてしまう。
マニュアルがあり、きちんと仕事を教えてもらえる環境もある。
派遣会社を通して問題点などを指摘すると、迅速に対応してもらえることも多い。
何より派遣社員の受け入れにも慣れている。
大阪に比べて仕事の選択肢も広がり、正直、派遣社員として働く環境が整っていてビックリした。
派遣社員を始めるのなら、東京の方がきっと働きやすいであろう。
でも、何よりも大きな違いだと思うのは、コミュニケーションそのものだ。
大阪の企業はコミュニケーションがあってなんぼという感じで、
派遣社員であっても、出勤初日から色んな社員に今までの経歴や個人的なことなどとにかく質問をされる。
「どんな職場で働いてたん?」
「家族は?兄弟姉妹は?」
「どこに住んでるの?」
・・・・・
逆に相手に対しても質問を求められる。
これがある種、大阪流のコミュニケーションだ。
社員や他の派遣社員の距離は近く、その場にガッツリと馴染まなければならない。
もちろん馴染めれば楽しい。
逆に東京の企業はびっくりするぐらいに向こうからは個人的なことは聞かれない。
大阪の時の様にこちらからも聞かない。
派遣社員同士も親しくならずに終わることもある。下手すると一言も誰とも話さない職場もある。
派遣社員は自分の仕事を全うする「会社には仕事をしにきている」という徹底したスタンス。
徐々に仲良くなることもあるが、個人的な話題で仲良くなることはほとんどなかった。
上辺だけの会話で十分である。
最初はその距離感の取り方がわからず、戸惑っていたが、その中で居心地の良さを作ることは十分にできるのである。
ある東京の企業で働いていた時。
仕事帰りに用事があったのでいつもとは違う電車に乗ったら、急にある女性に親し気に声をかけられた。
なんとなく見たことあるな…誰かな?と思っていたら、部署は違うが、職場が同じパートの人だった。
東京の会社で珍しくフレンドリーな人だな…と思って心底驚いていたら、その人は案の定、大阪出身の人だった。
ほぼ初対面に近いその人から、
「で、時給いくらなん?」
と、いきなり聞かれ、大いに大阪を感じたのだった。
東京で働く大阪出身の人と出会って話していると、
「職場で誰もしゃべってくれへん…寂しくて辛い…」
という人も多い。
確かに大阪が恋しくなることもあるが、私はむしろ逆に東京の会社の居心地が良かったりしている。
年齢を重ねると、あまり立ち入ってもらいたくないプライベートな部分もある。
そこに土足で入り込まれることなく、しっかりと距離が守られるのは本当に私にとってはありがたかった。
だからこそ、東京で派遣社員を続けられた面が大いにあったのだ。
私自身は大阪にずっと住んでいたのだが、父は関東出身で母は関西出身である。
昔、母が父に対して
「お父さんは秘密主義で肝心なことは何も話してくれへん!!」
と、良く怒っていたのだが、そういう訳ではなかったのだとこちらに来て理解した。
関東の人は自己開示の習慣がそれほど重要ではなく、大阪の人は自分のことをかなり話し過ぎているのだろう。
今更ではあるが、一段深く父の性格を理解できたことは一番の収穫だったかもしれない。
ただ、東京での仕事で一点、今も辛くて慣れられないことがある。
それは、首都圏の尋常ではない通勤ラッシュだ。
これさえマシになれば、東京での派遣生活はより快適になるのだが…
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