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アウトレットモールを歩くとき

※12月4日分

「アウトレットへモール」へ行くと毎回複雑な気分になる。

断っておくと、アウトレットモール自体やアウトレットモールへ行くことは好きである。個人的にスポーツをやるということもあり、スポーツウェアが安く買えることはありがたい。

また、店が密集しているので買い物がしやすい。梅田や難波のようにあちこち歩かなくとも似たようなジャンルのお店が集まっているので便利だ。特に何か買う予定がなくとも、ぶらぶらとウインドウショッピングをするのも楽しい。レジャーの目的地としても行く価値がある。

関西にあるアウトレットモールはどれも行ったことがあり、どのアウトレットモールでも買い物したことがある。事実としてアウトレットモールのお世話にはなっている。


確かにアウトレットモールは好きだが、「アウトレットモールへ来ている他の人達の姿」を見るのがとても嫌いなのである。アウトレットモールへ行くと、必然的にアウトレットモールへ来ている人達の姿を見ることにもなるので不可避なのことではあるが、どうも苦手だ。

彼ら彼女らは幸せそうな顔で、満足げな顔で、ブランド名が入った紙袋を手に持ちながら、「次は何のブランドを買おうか」と探している。そして、身に付けるモノもブランド品やブランドのロゴが入った彼ら彼女らなりのブランドファッション戦闘服でアウトレットへ来ている。言わばブランド好きの集まりだ。

もちろん全員が全員このような様相をしているわけではないが、これらがアウトレットモールへ来ている人の平均的な姿であることには共感いただけるだろう。

アウトレットモールには基本的にその筋のブランド店が店を構えている。スポーツウェアブランドや服飾ブランド、シューズメーカーや調理用品ブランドなどあらゆる種類の「ブランド」と呼ばれる店がずらりと並ぶ。

そしてアウトレットモール内では先述のブランドが大好きな人達が「ブランド」を求めて、ブランドのロゴが描かれた紙袋を持ちながら闊歩している。「ブランド(紙袋もその一種)を身に付けながらブランドを求めて歩く姿」がとても生々しく見えてしまって苦手なのである。


そもそもアウトレットとは「はけ口」を意味する。売れ残った商品や余った在庫を安く売るのがアウトレットの本来の存在意義なのである。それを単に「安くブランド品が買える場所」と理解してしまう人は浅はかであろう。アウトレットは実は安くブランド品が買えるというよりも、「売れ残った商品を安く掴まされている」くらいに考えなくてはならない。

アウトレットモールの商品に奇抜な色やデザインの商品、やけに大きなサイズが多く売られているのはそのためだ。そのような場所で「血眼になってブランド品を探す」という姿勢は「余った商品でもいいからブランドが欲しい」という姿を露呈するだけだ。


ブランド品とは本来それなりの価値や品質を保持することによってブランドとして存在できるはずだ。そしてこれ見よがしに見せるモノではなく、あくまでさりげない所有や着用が本来のブランド性のはずである。

だが、アウトレットモールに渦巻くのは「ブランドさえ身に付けておけば大丈夫」「なんでもいいから安くブランドを手に入れたい」などという短絡的かつ安易な欲望だ。どんなファッションをしようが、いくらで商品を買おうがそれは個人の勝手ではあるが、そういった「ブランド信仰とその生々しさ」が見え隠れするという点でアウトレットモールが苦手なのである。


とりあえずブランド品?

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