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クリミア・タタール語を勉強しよう

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【第14回】確定未来形-EcEK/ -ycEK【クリミア・タタール語】

【第14回】確定未来形-EcEK/ -ycEK【クリミア・タタール語】

確定未来形はクリミア・タタール語でkelecek zaman qatiy şekliといいます。qatiyには「確定した、はっきりした」という意味があるようです。

確定未来形は話者が確実に起こると思っている行為や未来の予定を表します。これに対して不確定未来の形式があることが予想されます。

【単語】
月曜日 bazarertesi
火曜日 salı
水曜日 çarşenbe
木曜日 cumaaq

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【第13回】過去形【クリミア・タタール語】

【第13回】過去形【クリミア・タタール語】

※表記上の注意
母音調和による音の交替は大文字を用いて表します。
E=e / a、I=i / ı

過去形はクリミア・タタール語でkeçken zamanと言います。keç-は「過ぎる」、-kenは過去の形動詞(形動詞の説明はいずれ)なので、直訳すると「過ぎた時間」くらいになるでしょうか。

tとdの使い分けについてははっきりと書いてある参考文献はありませんでしたが、おそらく無声子音の場合にはtと

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【第12回】現在形【クリミア・タタール語】

【第12回】現在形【クリミア・タタール語】

※表記上の注意
母音調和による音の交替は大文字を用いて表します。
E=e / a、I=i / ı

現在形はクリミア・タタール語でşimdiki zamanと呼ばれます。Усейнов et al. (2005)では現在・中立形と呼び、ロシア語の現在形と使い方が似ていると言っていますが、用法については今後もっとたくさん用例を見る必要があると思います。なお、ロシア語の現在形(不完了現在)は現在進行や

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【第11回】存在文【クリミア・タタール語】

【第11回】存在文【クリミア・タタール語】



今日は存在表現です。説明は上記参照。

主としている参考文献の3冊で適当な説明が見つからず、自力で例文を探してきました。時間がかかりましたが、その分面白い例文は載せれたかと思います。内容は割と単純なので今回は例文に新しい単語をできるだけ使いました。

dülberの訳は辞書ではロシア語でКрасивый 「美しい」と出ました。Красивыйは男女共に用いられるので日本語訳は「かっこいい」でも

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【第10回】数詞【クリミア・タタール語】

【第10回】数詞【クリミア・タタール語】

※表記上の注意
母音調和による音の交替は大文字を用いて表します。
U=i / ı / ü / u、I=i / ı

数詞はクリミア・タタール語でsayıと言います。物事の数量を表す基数詞はmiktar sayısı、物事の順番を表す助数詞はsıra sayısıと言います。

0はアラビア語の借用語です。1~10、20~50、100、1000はオリジナルの形です。60、70は元は6と7であっただろ

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【第9回】所有人称接尾辞【クリミア・タタール語】

【第9回】所有人称接尾辞【クリミア・タタール語】

※表記上の注意
母音調和による音の交替は大文字を用いて表します。
E=e / a、U=i / ı / ü / u、I=i / ı

所有人称接尾辞は所属人称接尾辞とも呼ばれ、名詞に付加されて所有・所属関係等を表す接尾辞です。クリミア・タタール語ではmülkiyet affiksleriと呼ばれます。

所有人称接尾辞の最初の母音はU=i / ı / ü / uですが、-(U)mIz、-(U) ñI

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【第8回】代名詞の格変化【クリミア・タタール語】

【第8回】代名詞の格変化【クリミア・タタール語】

第6回と第7回で名詞の格変化について見てきました。今回のテーマは代名詞の格変化です。名詞の規則的な格変化と代名詞の格変化がどう違うかに注意して見ていきましょう。

まずは規則通りの名詞の格変化を思い出しましょう。属格は-nIñ、対格は-nI、与格は-GE、位格は-DE、奪格は-DEn、具格は-nenでした。

人称代名詞編パッと全体を見渡すと3人称の単数と複数が全体的に名詞の格変化の規則通りに変化

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【第7回】格(2)【クリミア・タタール語】

【第7回】格(2)【クリミア・タタール語】

※表記上の注意
母音調和や子音同化による音の交替は大文字を用いて表します。
E=e / a、D=d / t

「ペンで書く」のように手段を表す格を具格、「Aさんと一緒に」のように誰かと一緒に行動を行うことも表す格を共格と言います。クリミア・タタール語では-nenが、具格と共格の機能を担っています。

O, işni qalemnen yaza.「彼は作品(仕事)をペンで書きます。」
Ayder k

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【第6回】格(1)【クリミア・タタール語】

【第6回】格(1)【クリミア・タタール語】

※表記上の注意
母音調和や子音同化による音の交替は大文字を用いて表します。
E=e / a、I=i / ı、G=g / ğ / k / q

格とは名詞や代名詞等に付加され、それらと他の単語とを結ぶ関係を表すものです。日本語の「てにをは」にあたる機能を持っています。クリミア・タタール語で格はkelişと言います。

今回は主格、属格、対格、与格の曲用の仕方をご紹介します。機能(用法)に関しては、動

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【第5回】名詞文(現在形)【クリミア・タタール語】

【第5回】名詞文(現在形)【クリミア・タタール語】

※表記上の注意
母音調和による音の交替は大文字を用いて表します。
E=e / a、I=i / ı、U=i / ı / ü / u

今回からついに文を作るために重要な文法事項に入ります。まずは、名詞文です。「AはBです。」という言い方を覚えましょう。

これも文法説明に役立つような単純な文で条件に合うものがなかなか見つからず、肯定形の形容詞の例や否定形の形容詞があげられませんでした。単純とは言って

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【第4回】代名詞(主格)【クリミア・タタール語】

【第4回】代名詞(主格)【クリミア・タタール語】

今回は代名詞の主格です。代名詞はクリミア・タタール語で代名詞はzamirler、人称代名詞はşahıs zamirleriまたはşahsiy zamirler、指示代名詞はişaret zamirleri、疑問代名詞はsual zamirleri、主格はbaş kelişと言います。今回は疑問代名詞だけでなく、疑問形容詞なども含めていますので、合わせて「疑問詞」としています。

【会話表現】
Sa

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【第3回】単数・複数【クリミア・タタール語】

【第3回】単数・複数【クリミア・タタール語】

クリミアタタール語で単数をteklik、複数をçoqluqと言います。

基本的には、単数は一つのもの、複数は二つ以上のものを指します。

複数を表す接辞は-ler/ -larで、母音調和に従って用いられます。使い方と例は以下の通りです。

-ler/ -larをつけるときに母音調和に従わない例として挙げられているものは、語中のlの口蓋化(リャのようになる)によるものと理解できるような書き方をして

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【第2回】母音調和【クリミア・タタール語】

【第2回】母音調和【クリミア・タタール語】

音の話はそんなに丁寧にできませんが、テュルク諸語でとても大事な規則の一つ、母音調和について学びましょう。

母音調和とは読んで字のごとく、母音が上手いこと調和しているんです。どういうことかというと、一つの語の中に仲間の母音しか来ないようにうまいことできているんです。仲間の母音というのは、その音が持つある条件が同じであるということですが、クリミア・タタール語で大事になってくるのは①舌の前の方で発音す

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【第1回】文字と発音【クリミア・タタール語】

【第1回】文字と発音【クリミア・タタール語】

第1回は文字と発音です。クリミア・タタール語では「アルファベット(文字)」をarif、「発音」をsesと言います。早速下の表を見てみてください。

クリミア・タタール語の表記にはクリミア半島ではラテン文字、ロシアではキリル文字が使われているようです。このページではラテン文字を使っていきます。なぜかって、私がキリル文字のキーボードを覚えていないからです(泣)それと、見てくださる方にもわかりやすいかと

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