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エッセイ作品集

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文章の練習のため書いているエッセイ兼日記のマガジンです。ときおり更新します。
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記事一覧

【エッセイ】休職ニート、若干の徳を積む

【エッセイ】休職ニート、若干の徳を積む

適応障害で休職した。最初の一か月間は、メンタル面でも体調面でも本当に狂っていた。

狂っている中でも何かやらねば……という思いのみが強くなっていく。

その中で正気を保つためによし!徳を積むか!と唐突に思いついた。

この時点で既に狂っているが、この行動のおかげでメンタルの安定を少しずつ取り戻していった……と思う。

と、いうことで休職ニートが行った本当に微々たる善行を以下に記す。

①轢かれそう

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【エッセイ】にげるがかち!

【エッセイ】にげるがかち!

一匹の虫が逃げた、標本にする予定の虫だった。

適応障害で休職している私は、自身の状況から目を背けるため、よく友人と散策している。

その散策を続ける中で、たくさんの虫と出会った。
散策の目的は昆虫観察になり、友人も私もそれを楽しんでいた。

そのような日常の中、友人が昆虫標本を作ってみたいと言い出した。
標本として手元に置きたい虫ができたらしい。

標本作成に乗り気な友人とは対照的に、私は消極的

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【エッセイ・転職活動記】泥を食べてみてください

【エッセイ・転職活動記】泥を食べてみてください

転職活動において面接になかなか通らない。
その悩みを解決しようと、最近はとりあえず数をこなしている。

何のための転職活動だ、と思われるかもしれない。
私の場合ははっきりしている、健康に生きるためだ。

職場にはセクハラ、パワハラ、前時代的な価値観もすべてが揃っている。
昭和の時代から醸成された地層からとんでもないハラスメントが出土する。
さながら不快のバイキングと言っても過言ではない。
どの食事

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【エッセイ】紙魚はどこかに行ってしまった

【エッセイ】紙魚はどこかに行ってしまった

高速バス、地元から都会まで3時間。

転職が決まらずもう4ヶ月目に入ってしまった。『転職 期間 どのくらい』検索エンジンの出した答えは約2~3ヶ月だという。

その3ヶ月を超えてしまうと、もはや焦りすら抱かなくなった。転職エージェントが自身を気遣うメールがメールボックスに溜まっている。ビジネスの中の思いやりだけが私の先を越して走っていくように感じられ、ただただメールも放置している。

大学で4年間

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【エッセイ】不真面目な接着剤

【エッセイ】不真面目な接着剤

太宰治の小説が好きだ。

特に人間失格や黄金風景、正義と微笑のような太宰本人の口調で書いたであろうものが好きだ。津島修治の書くものが好きなのかもしれない。

ほぼ本人の不平不満で構成された作品もあるが、そこに特有の嫌味な感じがない。これは本当に不思議だった。嫌味な文章を書いているというのにそこに胃もたれするような泥臭さを全く感じない。そういった文体の津島修治が好きなのである。

秋はずるい季節だと

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【エッセイ】Aha! Aha!

【エッセイ】Aha! Aha!

「ここら辺一帯はもう全部かわっちゃったのねえ」

「あーはいはい、まさしく」

「もうあそこも取り壊しちゃって、ねえ、変わっちゃうのねえ」

「そうですねー、あはあは」

休職期間になってからというもの運動不足が続き体重が10キロは増えた。

急激な体重増加のせいか、それとも元からだっただろうか、太もものあたりには石のような脂肪の塊がついており、これを少しでも落としたいと天気の良い日はジョギングす

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【エッセイ】石の裏談合

【エッセイ】石の裏談合

深夜、雨が降りしきる中、助手席に友人を乗せてある喫茶店に来た。

傘も持たず車から出入り口まで一直線に走る。営業終了1時間前に来たにも関わらず、意外にも客が入っている。職場の同僚に似た人影が見えてとっさに肘で顔を隠した。

雨雲に月が覆われたせいでより暗さを感じる外の景色とは対照的に、店内は橙色の照明にあたたかく照らされている。いつも選ぶ席とは違う場所を今日は選んだ。テーブルにはぽつりぽつりと木材

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