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この世の未練

父が他界し、七日ごとのお勤めで供養をしている。
浄土真宗の真宗大谷派では35日が忌明け法要となり、早くも今週の土曜日が忌明けとなる。

夜、お寺様がこられて、最後の七日参り。
いつものお勤めのあと、仏壇の飾り方のお話があり、今日のお参りが終わった。
袈裟を整え、帰り支度をするお寺様にふと気になったことを尋ねた。
「父は今どこにいるのでしょう」
つい口にしてしまったが、バカな質問をしたかなと恥ずかしさを感じた私に、お寺様は丁寧に答えてくださった。
「仏様は忌明けまでここにいます。忌明けまで喪に服し、地味な生活、質素な生活をしなさいと言われるのは、仏様がこの世に未練があるからです。仏様に対して、『この世は楽しいところではないので、天国へいくんですよ』と見せるために、派手な生活はせず、忌明けまで喪に服すということをしているのです」

お寺様の説明は、私の腹にストンと落ち、全てのしきたりには意味があるということを、身に沁みて感じた言葉だった。

忌明けまであと数日となってしまったが、今まで自由に振る舞ってしまったな。
エビフライも食べたし、カレーも食べた。父が大好きな猫もたくさん抱き締めてしまった。

この世に未練が残ってしまうような振る舞いをたくさんしてしまったけれど、きっとあの世はもっといいところだと思うので、ちゃんと歩いて向かってほしい。
あの世では、この世で飼うことが出来なかった猫と一緒に暮らせる世界だと信じてる。

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