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ありがとう、内田篤人選手

 note初めて書くならこの時と決めていた時が、突然やってきた。
テレワーク中、Twitterの通知が鳴って目に入ってきた文字を理解できなかった。いろんなメディアや記者さんのツイートを見てやっと理解した。

「内田 篤人選手が2020シーズンをもって現役を引退することになりました。」

シーズンが終わるのを待つことなく、今週の試合がラストマッチだと。自然と涙が出て止まらなくなった。テレワークで助かった。。

 なぜ、noteを初めて書くなら内田篤人選手が引退するときと決めていたか。もちろん、彼は私にとって特別な選手だから。今でこそ新型コロナウイルスの影響でスタジアムに足を運べていないけれど、年間20試合はスタジアムを訪れるサッカーおたくで、サッカーは生活の一部となっている。内田篤人選手がいなければ、こんな生活はしていないと思う。


アントラーズファンになったきっかけは篤人

 彼を知ったのは中学生のとき。鹿島アントラーズが3連覇を果たした2009年、偶然見たスポーツ番組で篤人と彼の所属する鹿島アントラーズの存在を知った。シャーレを掲げる篤人の笑顔がとても素敵で、興味を持った中学生の私はアントラーズの試合動画を見漁った。そこから私のサイドバック推しが始まった。相手のサイド攻撃を封じ、最終ラインから前線まで駆け上がり、シュートに直結するクロスを上げる。右の篤人、左の新井場。左右バランスを取りながら、時には両サイドバックが駆け上がる。派手なプレーは少ないが、攻守に活躍しチームを支えるポジションだと感じた。ひょっとしてこのポジションの選手がうまいとサッカーが面白いのでは?と、オフサイドも知らない少女は感じていた。その翌年、南アW杯で日本は大盛り上がりだったが篤人の出場機会は少なく、その後ドイツのSchalke04へ移籍。アントラーズの質実剛健なチームカラー(異論はあるかもしれないが、少なくとも当時の私の目にはそう映った)にも惹かれ、無事?新井場選手(現:FCティアモ枚方オーナー)推しとなった。(尚、現在は左サイドバック山本脩斗選手推し)

人生で初めて憧れた人はUchida

 ドイツ移籍後もサッカー雑誌を読み漁って篤人を追いかけていた。日本人初のCL準決勝スタメン出場、と言われてもサッカー初心者の私にはよくわからなかった。ただ、彼のコメントはいつも冷静で達観していて、サッカーにまっすぐ向き合っている。そしてどこかに必ず愛があるから誰にでも愛され信頼される。ブラジルW杯では、大きな膝の怪我を抱えながらも素晴らしいパフォーマンスを魅せていた。選手生命に関わることは承知だっただろう。多くの葛藤もあったことは容易に想像できるが、そんな姿は一ミリも見せなかった。こんな人になりたい、と人生で初めてそう思った。私自身、中高大とチームスポーツをやっていたが特に高校、大学時代には少なからず意識して取り組んでいたし、社会人になってからも変わらない。
(あと、ピッチサイドで水飲みながら相手の監督の指示盗み聞きして「Go home!」って怒られたり、茶目っ気のあるところも大好きです)

アントラーズファンとして迎えた篤人

 2018年、篤人がアントラーズに復帰することとなった。いつかアントラーズに帰ってきてくれるだろうと、全サポーターが思っていたことだろう。私自身、アントラーズでの篤人のプレーは生で見たことがなかったので、楽しみにしていた。ただ、こんなに早く復帰するとは。このときから、「篤人はきっとここで引退するために帰ってきた。あと何年彼のプレーが見られるのだろうか。」と、いつも心のどこかで思っていた。正直、篤人の膝では90分パフォーマンスを維持できない。サッカーは交代枠が3人。通常、試合の流れを変えたり、追加得点を狙ったりするとき、交代するのは前線の選手が多く、ディフェンダーであるサイドバックを代えることは戦略的に難しい。そんなこともあり、篤人に対する厳しい意見もよく目にした。
 そんな中迎えた2018年ACL準決勝ホーム水原三星戦、後半アディショナルタイムで決めた逆転弾。このゴールは他サポでも覚えている人が多いのではないだろうか。この年、アントラーズは念願のACL初優勝を成し遂げているが、篤人のこのゴールがなければ優勝はなかっただろう。ずっと憧れていた選手が大好きなクラブで活躍した。このゴールは一生忘れることのないゴールの一つだ。
 復帰後、ゴールやアシストというわかりやすい活躍は多くは見られなかったが、彼は間違いなくチームの支柱となっていた。ベンチに入れば監督ばりの檄を飛ばす。後輩たちのコメントには「内田さん」の文字がよく出てくるし、憧れの選手として名前が挙がることも多い。彼の背中を見て育ち、現在ポルトガルリーグに挑戦している安西幸輝選手が筆頭だ。篤人の存在は、ここ2年間のアントラーズに間違いなく必要だったと私は思う。

内田篤人選手、と呼べるのは今日で最後

 8月末で契約解除。契約はシーズン末まで結んでいたようだが、篤人自身の申し出で、8月23日が最後の試合となる。実に篤人らしい最後だなあと。
偶然だとは思うが対戦相手は、アントラーズで育ちフランスへ移籍後、Jリーグに復帰した昌子源選手を擁するガンバ大阪。篤人が日本代表でチームメイトだった選手も多い。篤人の引退試合でなくとも熱戦必至のカードだ。現在アントラーズは思うように結果が出ない時期が続いているが、必ず勝利で送り出したい。サポーターもより熱のこもった拍手で応援することだろう。
 引退しても、篤人は篤人。でも、「内田篤人選手」と呼べるのは今日が最後だ。ありがとう、内田篤人選手。さあ、最後の試合、いつも通り全力で勝ちに行こう。

さいごに

 膝の怪我さえなければ、ブラジルW杯に無理して出なければ、、という思いはもちろんある。しかし、篤人が向き合ってきたことを否定することになってしまうのではないか、とも思う。怪我も含めて篤人のサッカー人生だったはずだ。まさか、曽ヶ端選手よりも先に引退するとは思ってもみなかったが、彼の選んだ道を素直に受け入れたいと思う。

 篤人はSchalke04からアントラーズに戻ってきてくれた。サポーターも戻ってくるだろうと思っていた。ただ、これは当たり前ではないことを忘れないでおきたい。サポーターは、ただ、選手が日本に戻ろうと思ったときに、一番に思い浮かぶクラブであるために選手を支えるしかない。もちろん篤人が指導者や強化部としてアントラーズに関わってくれるととても嬉しいが、これも当たり前ではないということを肝に銘じたい。まずは奥様娘ちゃんとゆっくり過ごしてほしい。私たちに見えるところで活躍してくれるなら、もちろん見守るし、見えないところに彼の新しい道があるならば、心の中でこっそり応援しています。

 内田篤人選手、サッカーに、Jリーグに出会わせてくれてありがとう。

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