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英国ましロードを作る旅第2章~Travel with Trouble

1 はじめに


「英国ましロードを作る旅」、第2章へようこそ! 今回は、5月26日の旅についてふりかえる。この日はほぼ完全な一人旅で、スコットランドの港からフェリーで、北アイルランドの首都であるベルファストへ向かい、その後電車でベルファストからアイルランドの首都であるダブリンへ向かう予定だった。しかしこの日真しろを待っていたのは、数々のトラブル。本当に、この日の目的地であるダブリンにたどり着けるのだろうか……。トラブル続きの1日だったため、文章量の割には写真が少ない点はご容赦いただきたい。


旅の行程

2 Trouble 1: 港が思ったより遠かった!


7時30分。大体思った通りの時間に起きれたので安心してゆっくり準備をして、グラスゴーからCairnryanという港の経路を調べてみると……びっくり! 公共交通機関を使うと3時間近くかかってしまうことが判明。フェリーの出航時刻は11時半。のんびり電車とバスで行けると思っていたのに、今から急いで朝食を食べても間に合うかぎりぎりのライン。そう思って時刻表を調べると、余裕で間に合わないことが分ってしまった。車なら2時間でたどり着けるのでなんとかなりそうだ。1本遅いフェリーにするか、かなりお金はかかるが、タクシーを使うか。迷った末に、後者を選ぶことにした。
理由は3つ。

・    すでにフェリーを予約してしまっていて返金ができないから。

・    電車とバスを使ってたどり着けるかどうかタクシーより可能性が低いから。

・    あとの予定への影響が少ないから。

なんて冷静に考えていたかどうかさだかではないが、急いでチェックアウトすることに。ホテルの人に状況を伝えると、「タクシーで行くしかないけど、300ポンドかかるかもしれないよ……。」と心配そうに言われてしまった。とはいえ、すぐにタクシーを予約してくれた。タクシーが着くまでの間、なんとか急いで朝食も取ることができた。昨日の夕食探しといい今回の事といい、大変親切なスタッフの方だったので、本当はきちんと感謝の気持ちをお伝えしたかったのだが、切羽詰まって早口になってしまったのが悔やまれる。


3 Trouble 2: フェリーに間に合わない!?


午前9時。タクシーに乗り込み、Cairnryanの港へ向かうことに。距離は実に70マイル。1時間40分程かかるらしく、車でもかなりぎりぎりの時間になりそうだった。


追い打ちをかけるように、道路は予想よりも混んでいて、予定到着時刻がどんどん遅れていく。これは最悪のパターンも考えておかなくてはいけない状況になってきた。というのも、よほど大渋滞に巻き込まれない限り、11時半のフェリー出航には間に合うと思われるのだが、フェリーに乗るには飛行機と同じでチェックインの手続きが必要なのだ。徒歩で利用するとはいっても、この手続きをしないとフェリーに乗ることはできない。徒歩で乗船する場合、原則として、遅くとも40分前にはチェックインを済ませないとゲートが閉まるのだ。つまり、10時50分にチェックインをしないと乗れない可能性が出てくる。


乗れなかった場合、さっきの解決策として選択肢に上がった、1本遅いフェリーに乗るという手もあるが、すでに満席の可能性もある。その場合最悪の手段にはなるが、グラスゴーへ戻って、飛行機でダブリンへ飛ぶことも視野に入れなくてはいけない。とにかく今日中のダブリン上陸が、何を差し置いても最優先の目的だからだ。鉄旅をしたいとか、お金をかけたくないとか文句は言っていられまい。


そんなことを考えているうちに港が近づいてきた。時間を見る余裕もないほど焦っていたので正確な時間は分らないが、タクシーの運転手さんにも手伝ってもらって、なんとかチェックインすることができた。


cairnryan港 フェリー

今後フェリーを使った旅を計画される読者諸氏、および未来の自分に伝えたい。港と現在地の位置関係はきちんと調べておくべし。そして、チェックインの時間を加味してスケジュールを組むべし! 少なくともこのような奇跡はほとんどの確率で起きないので、声を大にして言いたいのは、タクシーの運転手さんやチェックインカウンターの方々に感謝したいということだ。


ちなみにタクシーは300ポンドの半分以下で済んだので、その点は少し安心した。とはいうものの、予算よりはかなり多くのお金がかかってしまった事になる。


4 Trouble 3: 海上でスマホがおちる!


改めてこのフェリーの概要について書く。このフェリーは、Stena Lineが運航していて、スコットランドのCairnryanから北アイルランドのベルファストを結ぶ便で、1日に複数出ているようだ。先ほども書いたように、Cairnryanの港は街の中心地の近くにはないので、スコットランドからフェリーでアイルランド方面に行くのは少しコツがいることになる。ウェブサイトはこちら。


https://www.stenaline.co.uk/routes/cairnryan-belfast


実は真しろは、日本ですら、遊覧船などを除いた船旅の経験がなく、人生初のこのような船旅を海外で経験することになったのだ。だからこそフェリーのチェックインについてあまり考えていなかったのである。船旅とはどんな物で、フェリーとはどんな雰囲気なのかも非常に楽しみにしていた。


加えて、スコットランドから北アイルランドまでどんな航路なのかも非常に気になっていた。しかし、チェックインを無事できたことに安心しきってしまったため、最初のうちはそれを実感することができなかった。


チェックインを追えると、まずバスに乗って、フェリーに乗るための橋の側まで行く。バスを降りてフェリーに乗り込んでそれぞれの席へ案内される。


フェリーに乗ってみて驚いたのは、建物の中のような雰囲気だったことだ。真しろの席は、広いカフェのようなスペースにあり、てっきりフェリーを待つためのラウンジなのかと思っていたら、どうやらそれがフェリーの船内だったようだ。その錯覚が起きた理由は2つ。

・    床に絨毯が敷き詰められていて、空港のラウンジに雰囲気が似ていたから。

・    フェリーが全然揺れないから。

カフェではコーヒーやスナックもいただけるということで軽食を取ることに。そんな動く建物のような空間でのんびりしようと思ったのもつかの間。次なるトラブルが発生した。そしてこのトラブルが、自分の中で最大級にこの旅で緊張するものとなった。ズバリ、海上でスマホがおちたのである……。


断っておくが、決して海の上にスマホを落としてスマホが水没してしまったわけではない(笑)。冗談はさておき、突然スマホの電源が切れてしまったのだ。充電はかなりあったはずなのに画面が動かない。これは非常に問題である。幸いなことに、真しろはもう1台予備のスマホを持っていたので、完全にスマホ無しで生きていく状況にはならなかったが、やはり旅行中に機械が壊れてしまうのは大きなストレスになる。もしスマホが直らなかった場合のことなどを色々考えながらフェリーに乗ることになった。


とはいうものの、穏やかなラウンジの雰囲気に少しずつ気持ちも軽くなり、近くのお客さんとお互いの行き先について情報交換をしたり、簡単な自己紹介をしたりして少し話をすることもできた。やはり旅先で出会う人の存在は大きい。


スマホのことを不安に思っている間に、フェリーは北アイルランドに入り、ベルファスト港へ無事に到着。真しろは、スタッフの人に案内されて、再びバスに乗り、今度はダブリンへの電車に乗るために、ベルファストのターミナル駅へ向かう。


ベルファスト駅

5 Trouble 4: 電車のチケットが取れていない?


ベルファストは北アイルランドの首都で、グラスゴーと同じく、この日は日差しが強かった。町中は一瞬しか歩いていないのであまり何か感じることはなかったが、車もたくさん通っていて、都会の印象だった。ベルファストからダブリンに向かう電車に乗るために、ベルファストの市内電車に乗ったところ、車両は小さく、おそらくディーゼル車だった。


さて、すんなりダブリンへ向かおうと思ってオンラインのチケットを確認してみると……予約していたチケットが別の日付になっていた。またまたトラブル発生である。


駅員さんに間違って買ったチケットを見せて、余分なお金はかかったが、なんとかチケットを買い直すことができた。もし予定の電車に乗れない場合は、次の電車、もしくは別ルートを考える必要があった。ちなみにベルファストからダブリンへの一般的な移動方法はバスのようで、フェリーのスタッフさんにも、「電車で行くの?」となんども聞かれたほどだった。つまり、電車に乗れない場合は、バスに乗ることになっていた。


ベルファストからダブリンへは、Enterpriseという国際列車が走っていて、2つの都市を2時間で結ぶ。北アイルランドは英国、アイルランドはアイルランドであるため、仮にも国際列車扱いとなる。サムネールの画像はこちらの列車だ。ウェブサイトはこちら。


https://www.irishrail.ie/offer/take-the-enterprise-service-to-belfast


いくつかトンネルを通ったり小さな駅も何度か止まったりしていた。特筆して強調しておくべき面白いことはなかったが、案外乗客がたくさんいるので、利用している人は多いらしい。


6 今日のお宿へ、そして決着


ダブリン

16時5分にベルファストを出た列車は、西日の中を走り抜け、18時半頃にはダブリンへ到着した。とはいっても、まだまだ日は高く昇っていて、21時半に日が沈むという初夏のアイルランドの季節感を表すような天気だった。タクシーで10分ほど行くとホテルに到着。タクシーもホテルもポンドではなくユーロでのお支払いになるので、ここは英国の外なのだと実感させられる。


金曜日のダブリンはとても賑やかだったので、パブにも行ってみたかったのだが、まだ解決していないトラブルが残っている。海の上でおちたスマホの復旧だ。とりあえず充電器につないで待つしかない。不安な自分の気持ちとは裏腹に、ホテルのそばにあるクラブから楽しそうな音楽と歌声が聞こえてくる。初夏のダブリンの夜は活気に満ちていて楽しそうだ。


根気強く待つこと数時間。日付が変わる直前にようやく復旧。おそらく地図アプリを使いすぎたことでスマホが疲れてしまったことが原因のようだ。トラブルが多いわりには体はまだ元気だったが、スマホはもう限界だったのかと思い知らされ、かなり反省したものだった。そして、なんとかトラブル続きのこの日を終えられた安心感が眠気に変わり、林檎1個で夕食を済ませたまま眠ってしまった。


7 おわりに


Travelにtroubleはつきものとはよく言われるが、まさに今日はそんな1日だった。そしてそのトラブルのほとんどは、旅慣れていないが故に起こってしまった初歩的な物だったと思われる。この日はとりあえず、金銭面はさておき、ほぼ予定通りに進行して、なんとかホテルできちんと眠れているのだから、この状況に感謝するしかない。そして、そんなトラブルにまみれたトラベルのそばには、ホテルのスタッフの皆さんやフェリーや電車のスタッフの皆さん、乗り合わせた乗客の皆さんの存在があった。悩ましい顔をしている真しろに、彼らは声をかけてくれたり、話を聞いてくれたりした。トラブルが解決しなくても、先が見えなくても、それだけでとても安心するものだった。travelにはtroubleがつきものだけれど、旅には旅先の人からの些細な言葉も大切な要素になることを知った日でもあった。


たくさんの反省点のある2日目を終え、明日は再びイングランドへ舞い戻る1日になる。どんなtravel、もしくはtroubleが待っているのだろうか。


それでは今日はこの辺で。Have a nice day!

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