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さよならの前が、一番仲良し。

肌触りがふわふわで最高な、お気に入りのカーディガン。
色はオフホワイト。
ふわふわなのに着膨れせず、平べったくて大きめなボタンが程よいアクセントになっており、一目で気に入って一昨年に購入。
去年も引き続き、大変お世話になった。

そして今年。
そのカーディガンを買ったお店で、新たに少しデザインが変わったものが販売されていた。
しかも素材や基本的な形は同じ。小さなポケットがついていたり、袖や襟のデザインに少しだけ手が加えられていて、より私好みのカーディガンに進化しているではないか。

これは早めに買っておかねば。

去年、あまりにも使い勝手がよく、頻繁に着すぎて少しヨレてきたので、
もう一枚買おうかな。とお店を覗いたところ、
すでに希望の色やサイズがなくなってしまっていたのだ。

まだ残暑の残る9月、早々に購入した。

10月に入り、ようやく肌寒さを感じられるようになってきた。
今年の夏は本当に暑くて辛かった…。
…と、毎年言っているような気がするけれど。

さあ、いよいよカーディガンの出番だ!

おしゃれ着から部屋着へ


家の中で来ている服は“部屋着”。
外に来ていく服は“おしゃれ着”。
仕事に来ていく服は“仕事着”。

と、何となく分けているが
今の仕事になってから、服装が自由になったので
“おしゃれ着”の需要が私の中では圧倒的に高まっている。

そして今回のように、古いものの代わりとなる新しい洋服が購入できた時。
そろそろ外に来て行くにはヨレてきたかな?という時。
毛玉などが気になってきた時。

私は、おしゃれ着から部屋着へと役割を変える。
さすがに部屋着なので、
お腹周りが締まっていたり、レースなどの装飾が気になる洋服は適さない時もあるけれど、
これまで外に行く時にだけ着ていた洋服を部屋の中で着ていると、
ほんの少し気合いが入るし、気分も新しくなる。

そして本日。
去年までおしゃれ着だったお気に入りのカーディガンを、
ついに部屋着としてデビューさせたのである。
一年ぶりのふわふわの肌触り。最高。
まるで巨大なコットンに抱きしめられているみたい。


はじめに役割を変えた時は、

おしゃれ着から部屋着へ“降格”。

という意識を持っていた。
着古して、最後には雑巾にまですると言う人の話を聞いた時には、
自分はまだまだだな。と感じたものだ。

しかし実際に部屋着として着続けていると、
おしゃれ着の時よりもずっと、愛着が湧いてくるのだ。

毎日のように来ていると、自分の一部になってくる。
着ないと落ち着かないし、
着ると落ち着く。
気持ちをオフモードに切り替えられる。
はじめの頃は、着ると少し気合いが入って、
家の中でもほんの少し背筋がピンと伸びるような、清々しい気持ちが続くのだが、
不思議と徐々にリラックスしていくようになる。

そして最後には

新しい部屋着がやって来たり
季節が変わったりして
お別れがやってくる。

寂しいけれど、
最後が一番たくさん着ることが出来たから
後悔はないし、
一番仲良くなれたような気がするのだ。
そして思い出も
最後に一番たくさん作ることができる。
だから心から
「ありがとう」
と言う気持ちで、お別れすることができる。

古い服の放つ魅力


コーヒーや醤油のシミをつけてしまったり
爪に引っ掛けて繊維が飛び出してしまったり
毛玉がなぜか右腕にだけ多かったり
ショート丈のデザインが、いつのまにかロング丈にまで伸びてしまっていたり…

毎日着ていると、あっという間に古びていく。

でもそれこそが
その洋服をたくさん着た証。
その洋服とお別れするまで過ごした、一番濃密な時間で、
自分の一部となった、大切な思い出なのだ。

部屋着もおしゃれ着も関係なく、
汚れや傷を含め、
時代や個性を表現するデザインは
それまで人と触れ合ってきた洋服の軌跡。
それだけ多くの時間、人に愛されてきた証。
古着に魅力があるのは、
値段だけでなく、その服の放つ、時間と思い出を重ねただけの魅力が人を惹きつけるからなのかもしれない。


ふわふわのカーディガンよ。
今年から部屋着としてよろしくね。
お別れするその日まで
たくさん思い出つくろうね。


2023.10.9

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