『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー2』
ずっとこの子の成長を見ていたくなる。
『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー2』ブレイディみかこ
「ぼく」は13歳になった。
そして親離れの季節が――。
80万人が読んだ「一生モノの課題図書」、ついに完結。
13歳になった「ぼく」の日常は、今日も騒がしい。フリーランスで働くための「ビジネス」の授業。摂食障害やドラッグについて発表する国語のテスト。男性でも女性でもない「ノンバイナリー」の教員たち。自分の歌声で人種の垣根を超えた“ソウル・クイーン"。母ちゃんの国で出会った太陽みたいな笑顔。そして大好きなじいちゃんからの手紙。心を動かされる出来事を経験するたび、「ぼく」は大人への階段をひとつひとつ昇っていく。
これは、読んでくれたあなたの物語。
そして、この時代を生きるわたしたちの物語――(Amazonより)
前作で知り、馴染みのないイギリス・ヨーロッパ・世界と自身を繋げてくれる機会を何度も与えてくれた作者。
今回も期待通りの面白さながら、少し受け取り方が変わってきたなとも思った。前作は更地の無知ってこともあったけど、作者や息子くんを通して未知だけど確実に存在する社会を知っていくような感覚だった。
しかし、今作は思春期を迎えていく息子くん、そして同級生の考え方や物事の捉え方、小さいコミュニティでの振る舞い方が、自分にとっては鮮烈で、何度もハッとする思いをさせてくれた。大人・子どもなど関係なく、その時代の当事者として生きている若者の感覚が印象的だった。そして、そこに感じるものがあるということは、自分自身がその期間を既に通り過ぎてしまったということなんだなと。
あと、配偶者のエピソードや何気ない一言が引っかかるものが多く、さっき書いたこととは逆になっちゃうけど、大人には大人としての役割や責任がなくなることはないんだなとも思った。
『大人がそういう自分たちの過去をすっかり忘れて、自分は汚れなき市民です、みたいな顔して、いまどきのティーンは末恐ろしいとか世の中が狂い始めたとか言うの、ちょっと違うんじゃねえの』
前作よりも増した普遍性によって、遠い国の出来事ではなく、身分や年齢の差を理由にするのでもなく、フラットな視点で社会を見て、学んで、伝えてくことの大切さを教えてくれた。
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