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【適応障害休職中】ADHDを生かした個人事業

1 ADHDのメンター


先日、隣町で農業と加工業を続けている、ひとまわり歳上の先輩とお話しする機会があった。

お互い忙しく、私が休職したため、タイミングが合ってゆっくり時間を取れたような格好だ。

不幸中の幸い(転んでも、ただでは起きないとも言う…)

夏は観光農園もしていたり、イベントや単発の企画ものにも引っ張りだこの方で、以前から「農業分野でのメンター」と仰いでいた。

彼女も、ADHDの特性を抱えて生きてきた。


2 己を知り、強みとして生かす


彼女は以前からFacebookを通じてADHDであることを公表しており、先日も学校で講演を依頼された時、自らのADHDに関連するエピソードや失敗、対処の道筋、自らの個性をもがきながらもどう生かしてきたのかという話をされたそうだ。

経験談を気楽にオープンにすることで、学生たちの中に自分と同じような悩みや行きづらさを抱えている人がいたとしたら、「こんな生き方もあるんだ」という何かの気づきや発見の機会点にしてもらえたら、という思いがあったようだ。

彼女の場合、幼少の頃からのひどい物忘れ(日に3回同じものを忘れるなど)、得点出来る教科とそうでない教科の落差の大きさ、イジメの標的になりやすく、クラスの中で常に浮いている感覚…などが主な悩みだった。

正式な診断を求めずとも、自身で本を読み、自身のADHDを認識。

メモを取るなどの基本的な行動改善をしつつ、苦手の克服だけではなく、ご自身の「強み」を更に強化されていったのだと推察する。


興味の対象が移ろいやすいことは、自らの商品を営業し販路を開拓することで。
新しい発想がわき出てじっとしていられないところは、様々な人や会社との出会い、その人たちとアイディアを語り合うことで、イベントや新商品の開発につなげるなど、その並外れた行動力に変えることで。
好奇心の旺盛さは、人と実際に会いに、そしてソーシャルメディアを利用してのマーケティングや広報活動として活用することで。
言葉の多彩さは、自身のSNSでの発信に留まらず、加工品に添付するメッセージカードや商品説明のレジュメ、更には地元農業媒体の現編集長としてフル活用することで。

決して平坦でもラクでもなかったご自身の人生と、「出来ること・やりたいことの収益化」の道程は、いまだに継続中と仰るだろう。

それでも、自分自身をつぶさに観察し(それは「自分探し」とは真逆のベクトルを持つ)、手持ちの資源を最大限に活かすやり方を常に試行錯誤し挑戦を続けている姿に、私は尊敬の念を禁じ得ないし、彼女と会って話をする度に「私も真似しよう。私にも出来ることがある」という、確かな手応えを感じさせてもらえる。

彼女の自分自身に対する、そして周りの人たちとのコミュニケーションの取り方がまさに、彼女のビジネスの進め方見事にリンクしているように思われてならない。


等身大の自分をフラットに観察し、行動することで最大限の効果を引き出す。

手持ちの資源を過小にも過大にも見積もることなく、丁寧に分析する。

そのうえで、家族や地域の方々、取引先や顧客などの「ヒト」、自家製農産物や加工品、田んぼや畑などの「モノ」、モノを土台とした営業や宣伝・広報、イベントなどの「コト」ー自分から少し円を広げた環境要因ーに対して、積極的に働きかけ、地に足のついた影響力でユニークさと付加価値を与えている。

まさに、「地に足のついた」戦略。

感情的にも、経済的にも、関わった人たちはWin-Winの関係となる。

このことは、一朝一夕になし得ることでなく、彼女が長年にわたって、様々な生きづらさを克服して前に進もうとするのをやめなかったからなし得たことだ。


3 「続ける」ことは難しいことか?


別れ際、恐らく一番聞きたかったことを尋ねてみた。

「飽きなかったんですか?」

私の中で、最も興味があり、また聞くのが最も怖かったことでもある。

なぜなら、私のADHDの特性上、これまでの人生で生きづらさの最大の原因となっていたことだから。

彼女は、思ったより時間をかけずに答えた。

「成功してないからじゃないかな?」


農園も、加工も、うまく行ったと思う年はあっても、翌年は大不作だったりと、安定しないと話していた。

…安定しないことが、継続の秘訣なのか…

「不安定」という言葉の響きはネガティブに捉えがちだけれど、私のような性質を持った人間には、否定的な側面ばかりではないのかもしれない。

目からウロコだ。


私自身、休職に入って(どれほど収益化出来るかは現時点では不明だが)複数の興味をベースに、【複業】の個人事業主としてやっていく道を模索中だ。


またひとつ、そっと肩に手を置いてもらった気がした。

アイディアを形にするため、書籍代やカフェで作戦を練る資金に充てたいです…