シンプル

おおよそ半年くらいかな、新曲が作れずにいた。
バンド活動が不安定で曲を作るしかないと分かっていたのに、何故か歌詞が出てこない。今年でもう21になるといったところだった。かなり焦っていた。早く売れなければ。家族にも迷惑・心配をかけるし、応援をしてくれてる人も少なからずいてくれている。売れるためにはどうしたらいい?答えはひとつだった。売れる曲を書かねば。その考えが思考を遮った。何を書いても嘘になるし、やっと書けた歌詞は嫉妬と憂鬱の汚い部分だけを吐き貯めたような、目にも当てられないものだった。元々ネガティブだし、明るい曲は書けないとわかっていた。サビはキャッチーにしなきゃだし、薄い歌詞はきらいだった。新しいコード進行なんてものは存在しないし、それでも何かを探していた。そんなこんなで半年経って、バンドは活動を止めかけている。サポートベース(ほぼ初心者)に弾いてもらってなんとかライブに出ようと思っていた、けど、新曲を何もやらないのはなんか違うな、と思っていた。(というか既存の曲が難しくて短期間で弾かせるのは無理があった)
そこで、コード進行をシンプルにいこう、と思った。
一番好きなコード進行を使おうと思った。歌詞は、、うん、シンプルにいこう。という結果できたのがこの曲である。
この曲初披露ライブ当日、とある事情でかなり苛立っていた。またこの曲自体、今流行りと言われる人気の曲たちへのアンチテーゼではあった。そのイライラをぶつけた結果、バンド仲間からの評価はよかった。後日も、また評価がよかった。正直皮肉なものだなと思ったけど、売れる売れないに関係なく、いいと言われるものはやはりいいのだな、とそこで納得がいった。そのあとは曲も書けるようになったし、自分の中で一つわだかまりがとれた気もする。
この曲のコード進行は右耳の端の方を流れるギターを聞けば、わかる人はわかるよ。
最後の最後で急に別人のような歌詞になってるけど、それもそれで自分だと思う。
結局この曲を通して言いたいのは、シンプルでいいし、そのままでいい、と思うよ。
あなたも、あなたのままで。

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