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「Afterコロナ」=「喪が明けた」にしないためにできること

「「Afterコロナ」「Withコロナ」を考える」といったセミナーやオンラインでのイベントをよく見かけるようになりました。今回の件で、企業も個人も否が応でも、これまでにはない働き方を強いられることになり、いい面、悪い面、その人の置かれている環境で、私の周囲でも様々なことが生じしています。

少なくとも、今回のようなことはそうそうあることではないと思うので、こうしたインパクトのある事象をチャンスに変えていくマインドはものすごく必要だと感じています。
といいつつ、リーマンショックの時も「100年に一度」と言われていましたので、また違った「100年に一度」の出来事が今後もそれなりに起こるということもある程度想定しておかなければならないのかもしれません。

在宅勤務がスタンダードになるか

ちなみに個人的な感覚としては、「Afterコロナ」「Withコロナ」の全体的な論調は、これまでの働き方が大きく変わる、というものです。確かにこれまで企業間によっても温度差があった「テレワーク」(今回は在宅勤務とほぼ同義ですね)を例にとれば、今回の新型コロナによって、テレワークが大きく広がったということは間違いないことだと思います。

ただ、テレワークが「有事」によって広がりはしたものの、在宅勤務、フルリモートでの勤務がこのまま一般化するかというと、今の日本の状況からするとなかなか難しいのではないかと思っています。

もちろん、そうなることが個人的に好ましいと思っていますし、テレワーク下での新しい可能性も見えたりしてきたと感じています。おそらく、これまでよりはテレワークやリモートでのコミュニケーションが増えてくることは間違いないと思いますが、それがスタンダードになるところまでは至らず、あくまでもオプションとしての範囲は超えない企業もまだまだ残るのではないかと思います。
もう少し言うと、いわゆる「喪が明けた」となっただけで、大きなパラダイムシフトにまでは至らない、という懸念も持っていたりします。

そう考える理由はいくつかあるのですが

1.日本人は同調圧力に弱いので、他社(他者)の動向を気にする。

2.「結局、顔を合わせた方がいいよねー」、ということを再認識して、
 これまでよりも顔を合わせたコミュニケーションが重視される。

3.中途半端にテレワークをした人が「やっぱテレワークは使えねぇ」と
 勘違いしてしまい、その後の進化の足かせになる。

特に、3が、「偉い人」の発言であればあるほど、その組織の「空気」がその方向に行ってしまうのが厄介なところです。(あれ?これって、これまでの「働き方改革」の中でも同じようなことがあったような・・・)

更に、社会的な仕組み(特に役所関係)もIT化どころかまだまだペーパーレスが進んでいないということも大きな要因としてあり、ちょっと悲観的に考えすぎかとも思いつつも、どうすれば、そうならないか(元に戻らないか)を自分なりの考えている最中です。

「偉い人」のマインドがどう変わったか

ご覧になった方も多いと思いますが、「働き方改革」のリーディングカンパニーであるサイボウズの青野社長はこんなことをおっしゃっていました。

また、いわゆる昭和的な働き方(という言い方も適切ではないことは承知ですが)を徹底して進められていた印象のある日本電産の永守会長のこのご発言は衝撃でした。
「50年、自分の手法がすべて正しいと思って経営してきた。だが今回、それは間違っていた。テレワークも信用してなかった。収益が一時的に落ちても、社員が幸せを感じる働きやすい会社にする。」

ある意味、「働き方改革」では両極端と思っていた二つの会社のトップの方がこんな発言をされていたのは非常に興味深いものでした。
すべての経営者がこうした考え方に変化すれば、「After コロナ」=「喪が明けた」だけにはならないはずですが、個人的にはそうはなりづらいと思っているので、結局、二極化していくのかなー、とも思います。

HRにできること

とはいえ、経営者が何かしなければ何も動かない、ということでは本当にもったいないので、HRの人間としてはそういう状況を少しでも変えていく動きは積極的にしていきたいと思っています。
今、できることとしては、シンプルですがこんなことかなと思っています。

①オンラインでの成果、効果等をしっかり残しておく
➁オンラインとオンサイトのプロコンを整理しておく
➂オンラインだろうがオンサイトだろうが本質的に変わらないものは何かを考えておく

例えば、①については、研修やワークショップ等はオンラインの方がよい、といった声もありましたし、➁については、ちょっとしたミーティングは、あれほど面倒だった場所確保とかが不要なのでスムーズにできる一方で小さなお子さんがいる人などは、家庭内調整か必要だったりとか、色々なことが見えてきました。また、同じチームのメンバーがどんな家庭環境に置かれているとか、どんな思いで働いているのかが、よりクリアになった、ということはこんなことがなければ、なかなか進まなかったと思います。

➂については、例えば「研修設計」なんかはオンラインだろうが、オンサイトであろうが、どう効果的に研修をデザインしていくかのプロセスは同じはずで(いわゆる「インストラクショナルデザイン」の考え方)、こんなことを改めて考えてみるいい機会だと思っています。
立教大の中原淳先生もブログでも書かれているように、元々課題だったけど顕在化していなかったことが、今回の件でよりクリアになっただけ、という課題(例えばマネジメントスキル)も多いのではないかと思います。

まずは、こんなところから、スタートしつつ、「Afterコロナ」「Withコロナ」がよりハッピーな状況になるようにしていきたいです。

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