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最近読んだ本:ゲームAI、デフレーミング、バブル経済、非エリート英語学習

今回は、最近読んだ本をいくつか紹介しようと思います。5冊です。


まず始めは、ゲームAI開発者 三宅陽一郎さん とゲーム作家 山本貴光さんによる「高校生のためのゲームで考える人工知能」 です。

人工知能について勉強する時、ややもすると、機械学習・深層学習のトレンドや技術の奥深さに入り込んで、そもそもの人工知能の全体像というのを見失いがちです。そこで、自分の人工知能を作っていくことで人工知能について考えを深めようというのはまさに大切なアプローチだと思います。

また、本書において何回か、答えをすぐに提示せずに、「考えてみてください」と読者に投げかけをするのは、「高校生のための」という本書の位置づけからでもあるのですが、ただ、答え(やり方)は一つではないのはまさにそのとおりで、考えることが大事です。人工知能を素材に、「考えること(=知能)」の大切さを感じさせる作りでもあるところは素晴らしいと思った次第。

(ところで、自分もその後、「中高生に向けたAI講義」を行いました。以下にその資料を載せておきます。)


また、重要だとうならされたのは、ゲームでのAIエージェントの活動をより最適化(または、こういう風になるといいよね的な方向性付)を行うメタAIの存在ですが、ずっと読んでいるとこれはもしかしたら組織戦略やオペレーションを考える上での示唆も満ち満ちているのではないでしょうか。


次も三宅さんの本なのですが、

「ゲームAI技術入門」を読んでいます。(一回読んだぐらいでは、読了とはとても書けない。)


20年に渡るデジタルゲームを題材としたAI技術、手法、視点が網羅されている渾身の書だと思います。最終的にはゲームという観点もこえて、シミュレーションシステムをどう構築し、その品質を保証していくのか、というシステム開発、あるいはコンピューターが取り扱っているテーマそのものの骨格が立ち上がってきます。

広大な人工知能の世界を体系的に学ぶにはもってこいで、バケーションの時にリゾート地でどっぷりと読む、あるいは、関心のある人達で集まって、章ごとに輪読を回す読書会をする、というようなじっくりとしたアプローチで読みほどきながら、また自分自身の中でその世界を再構築していくのがおすすめです。

踏まえて、企業の情報システムを眺めると、まだまだ本書にあるような、すべてを包含できる大きな哲学的視点をもって、その中で、個々のサブシステムやその開発を有機的に位置づけていく、というアプローチといいますか、パースペクティブは足りてない気がします。企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)をしたあとに、その次に向かっていくべきはこのような地平なのかもしれません。

次は、高木聡一郎さんの「デフレーミング戦略」です。


「アフター・プラットフォーム時代のデジタル経済の原則」というサブタイトルがついています。

Bigdata、AI、5G、IoT、ブロックチェーン 等、各種IT領域における著しい発展をいかに取り込み、従来の物理的に縛られた事業活動から、ハイパフォーマンスを実現するデジタル世界への拡張を成し遂げていくか。そしてそれを通し、産業や生活にどのように新しい価値を届けるか。今日、企業においてデジタルトランスフォーメーションは重大なテーマとなりました。

これまで企業が提供されてきた機能やサービスは今はITの発達により、パッケージから単機能が突出して提供されるようになり、その機能をマッチングするIT部分がプラットフォーム化して有力なサービスとして独立して展開され、更にそれを中心にビジネスが再構成されていきます。

ゆえに、企業はトランスフォーメーションを強いられます。デジタルトランスフォーメーションは部分的なソリューションの導入ではなく、全社の環境、仕事の進め方、組織カルチャー等の刷新も含む全社変革を必要とします。場合によってはM&A、組織再設計、マーケティングの改革、リブランディング等も必要となるでしょう。ここにおいて、「分解し、組み換える」「個別最適化」「個人化」というアプローチに基づく「デフレーミング」戦略は非常に重要な指針になるでしょう。


4冊目は、藤田 勉先生著の「バブル経済とは何か」です。

一見、日本のバブル経済を扱ったタイトルに読めますが、実は多様な項目をカバーした濃密な一冊です。バブルの歴史から始まり、地政学の基礎理論と宗教の話、中東と北朝鮮情勢とトランプ政権、そして仮想通貨とAI、そこからの日本経済の展望。幅広い視野を与えてくれます。

話はそれるのですが、去年、スカパーの藤田先生の番組「フィンテック革命で産業界が変わる」に出演させていただいたことがあります。(あまりフィンテックに関係のない話をしてしまい、すみません。)


最後ですが、岡田兵吾さんの「非ネイティブエリート 最強フレーズ550」です。

岡田さんの体当たりエピソード等も盛り込まれつつ、実際のビジネス英語環境で役立つフレーズや、英語のみに限らない仕事上のマナーや、外国人とのコミュニケーションにおける処世術等も踏み込んだ一冊です。実践的な英語学習本として、またビジネスコミュニケーションのサバイバルの読み物としても読み応えがあります。個人的おすすめです。

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