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数分で、アフリカ大陸最大のEC企業 Jumia を概観

 先日、リープフロッグするアフリカという記事を書きました。アフリカは様々なインフラが十分に整備されているとは言い難い状況があります。しかし、そのような状況でも、アフリカにはそれらの半ば常識のように思われてきたステップを、まるで問題ないかのように軽々とスキップし、時代の最先端を切り開いていくポテンシャルがあります。

 ここで、ECについて注目します。以前に、インド最大のEC企業 Flipkart の記事を書きました。

 そんなアフリカ大陸における最大のEC企業についてご存知でしょうか?もしかしたら、多くの方はアマゾンやアリババの名前を思い浮かべるかもしれません。確かにアマゾンは、アフリカ11カ国でサービスをしています。アリババは、AliExpress を通してアフリカ大陸の420万人の消費者にサービスしています。
 ですが、アフリカ最大のEC企業は Jumia Technologies という会社です。2012年にマッキンゼー・アンド・カンパニー出身の Sacha Poignonnec と Jeremy Hodara によって設立され、ナイジェリアからビジネスを開始しました。今やアフリカにも進出しているアマゾンやアリババよりも大きく、2019年4月12日に、アフリカ初、NYSEに上場したテックスタートアップであり、アフリカで三社しかないユニコーン企業の一つです。

 アフリカ、巨大なフロンティアです。今年4月のCNBC調べでは、インターネットユーザーは4億5300万人おり、GSMA調べでは、サブサハラ地域での携帯電話加入人数は5億人に届きそうな勢いですが、ECの浸透率はまだ0.6%程に留まっています(USでは12%)。
 アフリカは、ECどころかリテールビジネスが十分に発達しておらず、需要はあれども常に供給力が足りていないという問題を抱えています。USでは、1000人の消費者に一つのリテールのお店があるのに対し、アフリカでは、6万7000人の消費者に対してやっと一つのリテールのお店があるというような割合になります。
 例えば、ナイジェリアでは、都市部の人口2100万人に対し、ショッピングセンターが2つしかありません。Jumia が、まずナイジェリアからビジネスを始め、大きな潜在需要をECによって満たしていきました。(以下は、ナイジェリアでの Jumia のTV CMです。)


 アフリカには多様なチャレンジがあります。配送のための道路網、交通渋滞、取引可能な商品の数、価格の適正さ、そもそも市場は機能しているのか。インターネットはそれらの課題をすべては解決しませんが、取り扱い可能な商品を全て一覧で示し、情報を広く共有し、売り手や買い手を結びつけ、店舗のビジネスをよりよくしていくことで、市場を大きくし、より機能できるようにし、活性化していくことができます。

 以下のVideoは、Jumia がこれらの状況を良くしていこうとしている彼らのフォーカスポイントがわかる、創業から一年後の2013年の Videoです。

 インフラが整備されているとは言い難い状況があると冒頭に書きましたが、そのうちの一つの例としては、住所というものが十分に整備されていないという国や地域もあります。ある人の家があってそこに商品を運んでもらいたくても表現する住所、手段が存在していません。それもあって、配送のうち40%が注文者に届かないという事態にもなっています。
 Jumia はそのような状況にも細かく向かい合い、例えば配送ドライバーの教育に力を入れて、配送成功率を上げる等、インターネットショッピングを普及させるよう力を入れてきました。(結果、今現在は14%程に低下。)
 他にも、複数サイズの注文を推奨しデリバリー時点でのフィッティングが可能、15日間の無料返品、(ケニア等で最も普及しているモバイルペイメントである)M-Pesa 払いや請求書払いや着払い(アフリカにおける75%の支払手段はいまだに着払い)も可能、購入に関する質問を WhatsApp で受け付ける等、様々な購入の手段や問い合わせに対応して利便性をはかる一方、Jumia Pay という独自のキャッシュレスペイメントの導入にも着手し、従来の支払手段では防ぎ切れなかった不正な注文や支払い拒否にも対応できるようにしています。

 そして、Jumia は、スマートフォン、PC、電化製品、時計、服、靴、食料品、雑貨、様々なものがを買える Jumia Marketplace、有名ブランドの正規品のみを扱う Jumia Mall、航空チケットの購入やホテルの予約ができる Jumia Logistics 等のサービスを展開。またフードデリバリーも開始し、ユーザーのオンラインショッピングのエクスペリエンスを拡充させてきました。ビジネスモデルとしては、直販・委託・ドロップシッピングの割合から、アマゾンのそれよりも ZOZO に近いところがあります。その結果、現在、Jumia は、430万人の消費者と、8万1000ものマーチャントを、アフリカ全54カ国のうち、ナイジェリアをはじめ、エジプト、アルジェリア、ケニア、モロッコ等、14の国で結びつけています。今年はNYSEへの上場を果たしました。

 順風満帆に見えますが、問題がないわけではありません。むしろ、様々な問題が指摘されています。2019年5月には、レポートされている財務・業績の情報の信憑性が疑われ、非難されています。
 また、アフリカ初のユニコーンという触れ込みですが、Jumia がそもそもアフリカ企業なのかというところにも疑義がついています。彼らはアフリカのみでビジネスをやっており、従業員も5000人以上アフリカ各国から雇用していますが、マネジメントチームや株主はヨーロッパ系で構成されており、ドイツのスタートアップビルダー Rocket Internet から支援を受けていることが関係しているのか税金をドイツで払っており、エンジニアやデータ管理のチームはポルトガルにあり、HQはドバイです。そして、ニューヨーク証券取引市場で上場しています。これをアフリカ企業と呼ぶのは難しいのは確かです。純粋なアフリカ系企業とは呼べないという意見がある中で、Jumia 出身の社員たち(Jumia マフィアとも呼ばれますが、)は Jumiaでの経験を活かしアフリカで様々なスタートアップを立ち上げてもおり、アフリカのエコシステム形成に大きく貢献しているという意見もあります。


 まだまだEC の普及はこれからという巨大なフロンティアであるアフリカで、今後も Jumia がどのようにサービスを拡大させていくのか。そして、アフリカという大陸がどのような未来を見せてくれるのか。注目をしていきたいです。

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アクセンチュアでは法人営業戦略策定からSIまで多様な案件を手がけつつ、日本の先端技術リードを努め、パロアルトの研究所展開にも従事。現在、楽天の執行役員及び楽天技術研究所代表として世界の研究開発を統括。JiIT常任幹事、APECアドバイザー等公職も多数。趣味は古武術と形而上学。
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