見出し画像

New Normal に向けた XR ( AR/VR/MR )のビジネス活用と開かれた世界へ


XRが改めて注目されている

来たる5G、あるいはローカル5Gの本格始動とともに、AR/VR/MR 、いわゆるXRが注目されています。

デバイスレベルで言うと、Oculusが出したスタンドアローン型の Oculus Quest が高い評価を受けており、COVID-19の打撃による出荷遅延もありながらも、数十万台は出荷。

MRでは、HoloLens2、Magic Leap1、NrealLight とMRデバイスが注目を集めています。HoloLens2 は、視野角が広がっただけでなく、ハンドジェスチャー認識が良く出来ているとの評価。


5G x XR

そのような中、5G と XR を組み合わせたポテンシャルを考えるイベントや催しも行われています。6月末に、5G x XR イベント「ARISE LIVE」が行われ、(私が統括していた)楽天技術研究所のXR事例紹介等も、現在 楽天モバイル株式会社 経営企画室 5G技術企画部 部長の益子さんから行われました。

7月からは、Magic Leap がNTTドコモと、5G x XR 体験会場を開設しています。


COVID-19の文脈からのビジネスでの活用

このように、XRは盛り上がりつつあります。そして、やはり期待されるのは、産業での普及、業務支援目的での活用です。特にCOVID-19 によって ビジネスや業務の様々な面でリモート化、非対面化が要求されるようになり、単純なビデオ会議やメール・チャットでのコミュニケーションをこえた新しい様式の中でのXRの活用も模索されています。


リモート接客

以前、VR の記事でも紹介した、VRを用いたリモート接客は一つの可能性を提示しています。

この接客は、例えば、カリスマ店員のようなスキルのある店員のファッションスタイリングをどこの店舗でも受けることができるというわけですが、店員も同じVR空間から日本全国の複数店舗に向けて接客も可能になります。また、もし店員が在宅で接客をしたい場合にも対応が可能になります。


以下のホロックス社のリモートAR接客システム ホロトークは、在宅からの受付業務を可能にするものですが、このようなものもでてきています。


リモート接客はリモート診療にもつながります。以下の記事は、ロンドンの St. Mary's Hospital 他4つの病院にて、Hololens を用いてリモート診察も導入しながら、COVID-19の患者に接触する医療者の数を減らす試みが紹介されています。



3Dモデルを用いた生産性向上

また、去年(2019年9月)、5G時代における職場環境がどう変わるかという記事を書きました。その中で、3Dモデルを用いた生産性向上について述べました。

「例えば、ARやVRです。建設業、住宅産業、製造業においては、AR、VRを活用することで、従来のコンピューター画面にうつされた平面での見取り図、設計図、製品のモデル等に頼らなくてもよくなります。ヘッドマウントディスプレイや今後開発され、普及されてくることが期待されるホログラフを投影するディスプレイを通し、直接3Dモデルを用いてプロジェクトを進めることが可能になるでしょう。
もちろん直接3Dモデルを使うことは、ヘルスケア領域、教育産業、農業、交通、警備等、多様な領域においても従来の業務プロセスをより効果的なものへと変化させていくと思われます。」

この未来像に関しては、COVID-19 で在宅ワークあるいはリモートワークが常態化しつつある現状において、そのニーズがアップデートされており、リモートで分散した社員同士でも3Dの物体を確認しながら業務を行いたいという需要となって高まっています。

例えば、以下の Magic Leap におけるユースケースで、恐竜の骨を組み立てるように、3Dオブジェクトされた自社製品を確認して業務を行う等です。


そのようなニーズに合致したものとして例えば、以下のようなベルシステム24とマイクロソフトによるコールセンター業務支援の実証実験があります。

オペレーターが自宅からであっても、HoloLens 2 を通して自社製品を3Dオブジェクトとして確認でき、サポート業務が実行できるようにするものです。こちらは、COVID-19 感染拡大前に実施された実験であり、先見の明があるといえます。


開かれた世界へ

今後、COVID-19 が我々に要求している新しい様式、New Normal へのシフトにより、XRのビジネス活用はより多く試行されることになるかと思います。リモートでの接客、リモートでの3Dの物体を確認しながらの業務の実現はまだまだハードルが高いトピックでもあります。ですが、少しずつでも実例が増えていくことにより、単にリモートで可能な業務が増えたということをこえて、「空間や条件を超えて、誰もが業務を行うことができる社会」への道を開きます。例えば、病気や障害、あるいは介護等、様々な制約から遠隔でしか働けない人に対して大きく可能性を開く、社会参画を促す技術につながっていくでしょう。それは、多様な形でビジネスをスケールさせていき、世界をより開かれたものにしていくことにもつながっていくはずです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?