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音楽レヴュー 2

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2019年9月の記事一覧

Moon Diagrams「Trappy Bats」



 ディアハンターのモーゼス・アーチュレッタによる変名プロジェクト、ムーン・ダイアグラムズが最新EP「Trappy Bats」をリリースした。一聴して驚かされたのは、反復の中毒性で踊らせる秀逸なダンス・ミュージックが収められていることだ。
 なかでも、オープニングを飾る“Trappy Bats”は素晴らしい。ひたすら4つ打ちを刻みながら、音色の変化や音の抜き差しによって、踊れるグルーヴを生みだす

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Kano『Hoodies All Summer』

 イギリスのイーストハムで生まれたケイノは、グライムをメインストリームに押しあげた功労者だ。2004年のデビュー・シングル“P's And Q's”をアンダーグラウンド・シーンでヒットさせて以降、現在に至るまで存在感を見せつけてきた。
 グライムをあまり聴かない人でも、ケイノの名前くらいは知っているだろう。2010年のアルバム『Method To The Maadness』にはホット・チップやボー

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CLC(씨엘씨)「Devil」



 CLCの“Devil”を聴いて、驚きました。「No.1」のリード曲である“No”や、それに続いたシングル“ME(美)”の路線とは異なる、レトロチックなサウンドだからです。しかも、昨今流行りの80'sではなく、60'sの風合いが目立つレトロ。
 そう感じるのは、VOX Continental(ドアーズのレイ・マンザレクなどが使っていた楽器)を想起させるオルガン・サウンドが終始鳴り響く影響もある

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Red Velvet(레드벨벳)が描く女の子たちの世界



 溌剌とした姿が目に浮かび、心が飛び跳ねてしまう。楽しさはもちろんのこと、生きていくうえで味わうほろ苦いエモーションもかすかに滲んでいる。ベッドルーム、ドライヴ、ショッピングモールなど、聴く場所を選ばない高性能ポップ・ミュージック。先日、レッド・ヴェルヴェットが発表した最新ミニ・アルバム「‘The ReVe Festival’ Day 2」のことだ。

 正直、6月に出た前作「'The ReV

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