血と砂 岡本喜八&三船敏郎

最近のNetflixはどうなってるんだ。岡本喜八監督の作品がいっぱい見放題になってるやんか。

独立愚連隊。独立愚連隊西へ。血と砂。沖縄決戦。日本のいちばん長い日。

これが見放題になってるなんてNetflixの邦画担当者が変わったとしか思えない。それかなにか大人の事情があるんか。

日本の戦争映画は右側なのか左側なのかですぐツッコミが入るからきっとややこしいんですよ製作側がね。
ニュートラルな視聴者の俺からしたらそんなのはどっちでもいいんです。
悪いのは戦争なんだから。それは右でも左でも一緒やしね。

この時代の映画は戦争を経験した人達が作っている映画で、その中でも軍隊に所属していた人達が製作していた頃やとおもうんです。

生で経験したことが映画という表現として必ず出ちゃってると思うんですよ。だからとても生々しい。
人の死と直結してた人達が作るものはいまの人間にはなかなかできない。
とくに岡本喜八監督の人の死の表現ってのは現実的であっさりしているのが特徴ですよね。
俺も仕事柄、人の死と直結しているけど、その部分がものすごくわかる。
ここが岡本喜八監督の大きな魅力なんですよね。

で、今回は「血と砂」について。
まずオープニングが最高です。マーチングバンドですよね。戦場でマーチング。底抜けに明るい。独立愚連隊西へとの共通点でもあるよね。

いまの時代に戦争映画を作るってなったとしてもまず明るいオープニングにしたら誰かに怒られるんちゃう?
その怒りそうな人は戦争を経験してない人やと思うのに。

ま、ストーリーはまた調べてください。とりあえずこの映画に出てくるマーチングバンドは全員が若者の日本兵なんですよ。アメリカの民謡やと思うんやけどその歌が好きな日本兵たち。
銃の扱いも知らない若者たちの武器は「楽器」です。
その若者たちを守るために三船敏郎が自分の命を守る術を必死に教える。
そして、女を知らない若者たちと慰安婦と三船敏郎との交流。音楽の大切さ。これらがテーマとなっています。
これが俺にはいっさい作り話には思えない。

もちろんモノクロでいまの映画と比べたら俺ら世代には抵抗があるのはわかります。でもね、
これが戦争だ。これが反戦なんだ。ということがこんなに感じれる映画はないんじゃないかな。
自身が軍隊として戦争を経験して作られた映画は右左関係なく重みがある。
これは歴史の授業の先生の話よりも重要やと思う。黒板の内容をノートに書くくらいなら1本の映画を観てもいい。

映画好きな俺は単純に岡本喜八監督の戦争映画はめちゃくちゃおもしろいし、嘘っぽさをいっさい感じない。

これから先も戦争映画は作られていくやろうけど、岡本喜八超えをするような戦争映画が観たいね。
というわけで血と砂はあんま関係なかったな。

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