これからの時代、"個の力"じゃ生きていけない
日本の労働環境の中で集団主義から個人の自立や自己実現を重視する価値観へシフトが見られるようになり、"個の力"が注目されるようになってずいぶんと時間が経ちました。
スカイベイビーズのメンバーも、ほぼ全員が何かしらの分野のスペシャリストでもあり、まさに個の力をつけた人々が集まった組織だといえるのではないでしょうか。
個としての力を磨いた結果、フリーランスを選択する人も多い時代ですが、フリーランスとして仕事をしてきた人がスカイベイビーズに参加するパターンはとても多い。フリーランスというと、組織に縛られず自由に働ける点が魅力に映るかと思います。それでも、組織に所属することを選んだ。
理由は何だと思いますか? 決して、フリーランスでは食っていけないから、という理由ではありません。
メンバーからは、「仲間がほしかった」「横に味方がいる環境で仕事をしたいと思った」「もっとみんなで何かを実現したい」なんて理由を聞くことが多いんです。
この現象って、ちょっと大げさにいえば、これからの社会の縮図みたいなものだと思います。
スペシャリスト思考が世の中のマジョリティに
なぜ、個の力が求められるようになったのか。
それは、これまでヒエラルキー組織が世の中のほとんどを占めてきたことが大きな原因になっていると考えます。
ヒエラルキー組織に所属している場合、基本的には役割ごとに割り振られた業務が上から落ちてきます。経理なら経理の仕事をスペシャルにやり遂げることが求められるわけです。そうやって、仕事がどんどん分化していく。その結果、スペシャリスト思考が世の中のマジョリティになっていったような気がします。スペシャリスト思考の流行の裏側には、能力主義の浸透があると言えるでしょう。一方、ジェネラリスト志向の人は減っていったように思います。
バブル前は、年次が上がれば自然と給料も上がっていくものでした。その前提がバブル以降で徐々に見直されるようになり、個人の能力や成果に対して評価が行われるようになりました。そのとき、人間関係とか調整力とか、そういった"数値化しづらい"スキルよりも、点数をつけやすい特定のスキルを伸ばしてもらうほうが、組織として都合がよかった。
個の力が求められるようになった時代背景にはほかにもいくつかの要因があります。
SNSなどの普及により、個人の発信が容易になったことも要因のひとつでしょう。あと観点は異なりますが、核家族化もそうです。一世帯当たりに住む人数が減り、プライバシー思考が高まり、個人の行動に他人が関与しづらい世の中になりました。これによって、できる限り小さなコミュニティで生きていくことが求められるようになった結果、より個が強くなる必要があったのではないでしょうか。
殺伐とした社会にならないために
"個の力"が求められ続けた結果、自分のことは自分で責任を持つしかなくなりました。すべて自分の責任でやり遂げなければならない。誰も助けてくれない。
このまま行き過ぎた自己責任論が根付いていけば、助け合いも生まれなくなります。お金を稼ぐ能力を持つ人だけが豊かになり、格差が広がっていく。お金を稼げない人は、それも自己責任だからと見捨てられてしまうでしょう。
こういった現在の世の中に息苦しさを感じる人が、私も含め一定数いると感じています。
個の力を高めること自体は決して悪いことではありません。自分の強みを理解し、それを伸ばして価値を発揮できるのはとても素晴らしいことです。しかし、社会全体が個の力に固執しすぎると、格差社会が広がり、人々が分断し、殺伐とした世の中になっていく。
そうならないためにも、これからは個の力だけでなく、"全体の中の自分"に目を向けていく必要があります。身近なコミュニティで自分はどんな役割を担うのか。チームでプロジェクトに挑むとき自分にできることは何か。これからの地球環境のために自分が今できることはあるか。
個の力だけの時代は、もう終わりです。
これからは、個人としての幸せと、自分が触れる世界"全体"の幸せを、シンクロさせながら生きるを考える時代になっていくと確信しています。
私たちは、「これからの時代を生き抜く力」「自然体であり続ける力」を模索しています。これまでにまとめた記事はこちらから。
❶非認知能力の中の、自己認識力
❷名もなき仕事を発掘し、推進する力
❸セルフマネジメント力(自主経営能力)