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マンホールからベンガルトラまで その4

ネパールの長距離バス


サイやゾウがいると言うチトワン国立公園に移動することにした。
そこで動物を撮影するのがこの旅本来の目的だ。

ネパールの首都であるカトマンズから国立公園のあるソウラハという村までバスに揺られること五時間。
まさしくガタンゴトンとバスに揺られる。
バス自体は日本でも走っていそうなくらい悪くない高速バスなんだけど、道が悪いから揺れるゆれる。
結構な山道をバスは走る。
崖道にもガードレールといったエレガントなものはついてないので対向車とすれ違うときには地面が崩れそうで背筋がひんやりすることもある。

ちなみにチケットは500ネパールルピー(だいたい500円)くらいで五時間も走ることを考えると激安。
日本との物価の違いを深く感じる。
超得した気分。

予約制になっていて、チケットを旅行代理店で買わないといけないのが英語の苦手な私には大変だけど。
あと集合場所に行ってもそこにちゃんとソウラハ行きのバスが来るのかドキドキ。

朝の六時にバス乗り場に到着。
早朝だったけど、バスに乗る人を目当てに食料を売ってたのでパンを購入してかぶりつく。
パンも一個20ネパールルピー(だいたい20円)と安い。
日本のパンとは違うけど、甘い系で作りたてのパンらしく、ふわふわ温かくて美味しかった。

バスはちゃんと集合場所に到着して乗り込めた。なぜかペットボトルの水も無料でついてきた。
旅人にはありがたいサービスだ。

途中で食事出来る休憩場所に止まった。他の客はみんな慣れた様子で食事や買い物を楽しんでトイレに行ったりしてるが、私は出発時間を聞き取れなくてバスがいつ発車するか不安で最低限のトイレだけしかいけずにあとはバスで待機。
同じバスに乗ってる人に何時に出るか聞いたけど首をすくめられた。
これは様子を見てての予想だけど、運転手がご飯食べたりトイレ行ったりして帰ってきて、客の人数を数えて合ってたら時間関係なしに出発する。みたいな感じなんじゃないかな。
でも、こっちの人はアバウトだからたまに置いてかれる客もいるに違いない。油断は禁物。用心に越した事はない。
結局三十分くらいは止まっていて余裕だった。ちくしょう、売店でお菓子くらい買っとけばよかった。
海外で美味しいお菓子とか発見すると嬉しいんだよね。
 

ずいぶんと揺れたので気持ちは悪くなったけど無事にソウラハに到着した。

あれ?…

到着したと思ったんだけど、何もない草原みたいなだだっ広い大地だった。
そこにバラバラと十台以上のジープが止まっていて私がバスを降りると今度はジープから人が降りてきてワラワラとバスの降り口に集まってきた。
20人くらいはいるぞ。

なになに?なんだ?

じりじりと怯えながらバスを降りると
「乗っていきなよ!」
「いい宿あるよ!」
「良くて安いよ!」
「一人旅ならうちだよ!」
「いやうちだ」
「こっちだ!」
「お前のところは前回乗せただろう、次はうちだ!」

と、てんやわんやでたくさんのおじさん達がお互いをかき分けながら迫力のある顔で近づいてくる。
・・・恐怖だ。

わかりやすい英語だからまだ内容がわかってよかった。
どうやらホテルの客引きらしい。
でも、バスに乗ってた人達は途中でみんな続々と降りて行って、残った客は私一人しかいないんですけど・・・選ぶのが怖い。20人以上のおじさんの顔がこちらを見て私が選ぶのを待っている。
勇気を振り絞って泊まろうと思っていたホテルの名前を叫ぶと、私のホテルだ!連れて行ってやるという男がいた。
その車に乗った・・・が、案の定違うホテルに連れて行かれた。
そうかそうか、だんだん分かってきたぞ、ネパール。
でもメインストリートの近くまでタダで送ってもらえたと思えばラッキーだ。
ホテルが違うと言って断り、目的のホテルに泊まることにした。
私もしたたかになってきたもんだ。

結局、旅行誌オススメの安くて清潔だというレインボーサファリリゾートというホテルに泊まることにした。
安宿だが大きなホテルだ。
着いたらまず、そこのボスと代金の交渉をする。

「一日なら90ドルだね。」
ボスは平然とした顔で言う。
ん⁉︎ ドルって言った?
90ルピーじゃなくて90$?
頭の中がこんがらがる。
アメリカドルの計算だと日本円で一万円くらいになる。
物価が五分の一以下のネパールでこの金額はあり得ない。
全然安くないじゃん!
話しにならないと言うと、ボスはテーブルに置いてあるチラシを指差した。
「このネイチャーツアーがついての値段なら安いと思うんだがね。」
そこには観光客向けのいろんなアクティビティーが掲載してあった。カヌーやゾウに乗ったり。ジャングルの近くでサイを探したり。
あ、そういうことなのね。
ここは世界的にも有名な自然と動物あふれるチトワン国立公園。旅行に来てこういうホテルに泊まる人は大抵体験ツアーをセットで頼むのが当たり前ということらしいのだ。
ちゃんと最初に説明してくれないとビックリしちゃうよ。

長期宿泊でツアーを組んだ方がゆったり予定をとれるし、いろんな事がやれるからいいよと言うので、三泊四日の140ドルで手を打った。
部屋も話しのとおり掃除が行き届いており、スタッフもフレンドリー。
ここがソウラハ村での行動の拠点となる。
動物が沢山見られればいいな!


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