後にも先にも理屈では語れない
あの頃の方が良かったなんて1mmたりとも思わない。
あの頃があったから、今があるのだとは思うけれど。
普通の家に生まれて、
普通に学校で勉強をして、普通に部活をして、
普通に就職して、普通に恋愛して、普通に結婚して、普通に家族を作って、
普通に癌になって、そして普通に死ぬ。
という予定で僕の人生はなんとなく進行していた。
高校2年生、17の時に、友達が死んだ。
学校の帰り道、母から掛かってきた電話の声を、
耳元で当時のまま再生させることが出来るくらいには忘れずに憶えている。
当たり前の日常は、なんの前触れも、予兆もなく、終わる時は一瞬で終わる。
読んで字の如く、頭の中が真っ白になった。
あれ、普通ってなんだっけ?
数日後、学校で配られた進路希望調査に僕は何も書くことが出来なかった。
文系、理系、はたまた就職、留学、いや、そもそもどんな未来の自分にも薄ら寒気がして、想像することが出来なかった。
どうやら学校から親に連絡が入ったらしいが、
優しさなのか無関心なのか、特に何を言われることも無かった。
あれから随分と大人になってしまったけれど、
僕は今でも、あの時の空欄を埋めようと、
ただただ必死に踠き、足掻き続けている。
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褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。